K´
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▼エピローグ後ぐらい
▼K´視点
いつもなら視界にも入らず通り過ぎるところを、何故だか今日はやけに目に留まり、そして店先に並ぶ赤い薔薇に目を奪われる。と同時に脳裏に思い浮かぶのは、ナマエの顔。
帰宅して、テーブルにぽつんと1本置かれた薔薇の花と睨み合う。なんだかんだと考えている間に店員に捕まり、買ってしまったのだ。
渡す相手はもちろん決まっているのだが…祝い事でも記念日でもないのに、どう渡したものか。ナマエの顔が浮かんだから、と言う理由なんて言えるはずもなく、渡す口実を考える。
「K´さん、帰ってらしたんですね。おかえりなさい」
「あぁ…アンタもおかえり」
「はい、ただいまです!」
どれぐらい薔薇と睨み合いをしていたのか。その間にも、ナマエが帰ってくる時間になってしまっていた。なんだかむず痒くなる、未だに慣れない挨拶を交わす。
「わぁ、それ薔薇の花ですか?お部屋に飾るんですか?」
隠す暇もなかったテーブルの上に置かれたそれにナマエが気付かないはずもなく、そっと手に取り薔薇の花を見る。
結局、何一つ考えつかなかった渡す口実。諦めたように少し息を吐き、口を開く。
「……アンタにやる」
「…ありがとうございます!」
やはり、店先で思い浮かべたように太陽のような笑顔で花を見るナマエ。渡してよかった、と少し安堵する。
「K´さんのグローブと同じ色ですね、…なんちゃって」
ふふっと、少し照れたように笑うナマエに目を開く。まさか、そんな事を言われるとは思っても見なかった。
「ほんと、アンタってやつは……」
「え?」
「ま、俺だと思って大事にしてくれよ」
「はい!」
本当にナマエには敵わない。俺ばかり振り回されている気がする。これを言うと本人は私の方が、と否定してくるだろうけど。
照れ隠しをするように軽口をたたいても糠に釘で、逆にこっちがいつも面食らってしまう。
「あの、ところでK´さん…薔薇の花言葉とかご存知で?」
そう言われてハッとした。確か薔薇の花言葉は…。以前、何かのきっかけで聞いたようなことがある気がする。
ただ薔薇を見て、ナマエの顔が浮かんで、買っただけだ。花言葉のことなんて考えもしなかった。
「…別に、花言葉なんて気にして買った訳じゃねぇからな」
「そ、そうですよね!」
まるで分かってました、と言うような返答に少しムッとする。なら今度は、と薔薇を見つめるナマエに悟られないよう密かに考えた。
「ナマエ」
後日、ナマエの前に差し出した11本の薔薇。
調べたら花言葉だけでなく、本数にも意味があるというのを見つけ、これだと思った。
ナマエを驚かせたい一心で選んだが、割と小っ恥ずかしい贈り物をしようとしてるのではと思うも、時すでに遅く。
今度はこちらから薔薇の本数の意味を尋ねてみる。どうやら知らなかった様でその場でスマホで調べるナマエ。
意味の書いてある記事を見つけたのだろう、途端に真っ赤になる顔に、してやったと思った。けれど、その顔に釣られるように意味を思い出し、こっちも少し照れてしまったのはバレてないといいが。