「お時間大丈夫ですか？」
「…あぁ、まだ大丈夫だ」

お嬢と一緒に洗濯物を干していく中、そう声をかけられた。チラリと、腕時計に目をやる。約束の時間まで、まだ時間があった。今日はナマエと出掛ける日だ。

「今日はデートですか？」
「なっ…んで、そう思うんだ、お嬢」

素直に問われた問いに驚き、動揺が隠せなかった。
お嬢にも道場の奴らにも、今日は出掛ける、としか言ってなかったはずだ。ナマエの名前は一切出していないと言うのに。

「ビリーさん、なんだかソワソワしてるというか…」
「そ、そう見えんのか」
「はい。あと、機嫌が良さそうというか…なんだか楽しそうというか…」
「分かった、もう良いお嬢…」

お嬢にも分かってしまうぐらいに、態度に出ていたのだろうか。どんどん自分の気持ちを言い当てられている気がして、少し恥ずかしくなった、と同時に気付く。

「デート、楽しみですね！」
「…あぁ」

楽しみだ。そう感じていた事に。アイツに会うこの緊張も共に過ごす時間も全て、楽しみだ。
さぁ、今日一日、ナマエの時間は俺のものだ。