おはようございます、ビリーさん!
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「よう」
「ビリーさん!こんばんは!」
道場とは反対方向の道から、誰かが歩いて来てるとは思ったけれど、まさかビリーさんだとは思わなかった。思いがけず出会えたことに少し嬉しくなる。
「なんだ、こんな時間まで仕事か?」
「はい、最近忙しくて…残業ばっかりです」
「夜道、気を付けろよ。一応、女なんだから」
「一応…」
「あ、いや、嫌味とかそんなんじゃなくてだな」
「分かってますよ。心配、してくれてるんですよね。ありがとうございます」
ふふ、っと笑うと、ビリーさんは気恥ずかしそうに頬を掻いていた。
「…こんな遅くなるんなら、今度から連絡寄越せ」
「えっ」
「駅から家まで送る」
「いやいや!そんな、申し訳ないですよ!」
「人通りもそんな多くねぇし、危ないだろ」
「大丈夫ですよ!それに、いざっていう時のためにスプレーも持ってますから!」
ほら!と鞄の中から催涙スプレーを取り出す。今までも残業で遅くなることは多々あった。
ビリーさんの言う通り、人通りもそんなに多くないし、残業で疲弊した心と体、夜道が怖い訳がなかった。
でも、幸いなことに今現在に至るまでなんてことはなかったし、少しでも安心するものが欲しいな、とスプレーも持ち歩くようにした。
ビリーさんはスプレーを見るなり、大きなため息をつき、一呼吸置いてから口を開いた。
「アンタに少しでも会いたいんだよ。……って言ったら分かるか?」
「…っ、ずるいですよ、ビリーさん…」
「…アンタの方が、よっぽどずるい顔してる」
頬に添えられた手。熱のこもった頬にビリーさんの手は、ほんの少しだけひんやり感じた。
絡み合う視線、閉じられた瞳に私もそっと瞳を閉じて、それを受け入れた。