おはようございます、ビリーさん!
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あれから1週間程経った。その間は道場の前も通らず、買い物に行くにもビリーさんに会いそうな時間帯を避けた。
一度だけ、あの道場にいる彼女と買い物をしているのを見かけたことがあったが、ビリーさんはなんら変わってなかった。それに安堵しつつも、少し寂しかった。
「はー!やっとついた!」
「というか、ここで降りるの珍しいね?」
珍しく降りる駅が一緒になった会社の同期と、話をしながら階段を降りていく。
「この駅近くの店で、友達と飲み会する約束しててさ」
「いいなー」
「また今度でも、同期集めて飲み会しようぜ」
いいね、という言葉は声になって出なかった。
駅から出たすぐそこには、ビリーさんの姿があったから。
「よう」
「ビリーさん…?」
見間違えるはずもなく、その瞳は他の誰でもない、私を捉えていた。
「悪いな、返してもらうぞ」
同期を睨み付けるようにそう言い、私の手を取って歩いていく。何が何だか分からない。
引きずられるように歩いていく最中、チラリと見た同期の顔も口を開けて呆然としていた。
何も言わずに連れて来られたのは、近所の公園だった。夜なので人はまったく居らず、照らす明かりは外灯だけだ。
「…随分、仲良さそうだったな」
手を引かれたまま、背を向けられたまま、ポツリと呟くように発せられた言葉。
「あ、会社の同期で…」
「本当か?付き合ってるんじゃねぇのか?」
「付き合ってません!私は何とも思ってないですし、向こうだってきっと…!」
「わかんねぇだろ、そんなの」
「…なんで、ビリーさんが、そんなこと言うんですか」
分からない。なんでこんな責め立てられるように言われなければならないのか。私の気持ちは知っているだろうに。
自然と握られた手に力が篭っていく。その瞬間、強い力で引っ張られ、温もりに包まれる。
気付いた時には、ビリーさんの腕の中だった。
「…悪い」
「ビ、ビリーさん?」
「…アンタ、この1週間どうしてた。道場の前も通らなかっただろ」
「……それは」
「…心配した」
背中に回された腕に力が込められる。
「…気付いたら、アンタのことばっか考えてて。朝、アンタに会えなかった日はなんだか物足りなくて。…俺なりに考えてたんだアンタのこと」
何か返事を返そうにも上手く言葉が出ない。トクントクンと鼓動が早くなる。私だけじゃない、ビリーさんの鼓動も早く感じる。体が熱い。
「…誰かが、俺じゃない他の奴が、アンタの隣に居るのは嫌なんだよ」
そっと体を離されて、頬を両手で包まれる。真剣な眼差しに、心臓が止まりそうだ。
「…ナマエが好きだ」
それを聞いた途端に溢れ出す涙。ビリーさんは困ったように笑って、その涙を拭ってくれた。
「…あの時は悪かった。アンタの気持ちがまだ変わってないのなら…」
「変わってるわけないじゃないですか…!」
頬に添えられた手に、私も手を重ねる。
「…大好きです、ビリーさん」
それを聞いたビリーさんは驚いたように少し目を見開いて、顔を赤くしていた。でもそれも一瞬で、すぐに優しい笑みに変わった。
そして、親指でそっと唇をなぞられる。甘い予感を感じて、瞳を閉じた。