まさか、本当にまさかだった。俺にとっては知り合いというか…友人に近い感覚で。好意は純粋に嬉しいが、ナマエをそういう目で見たことはなかった。そのことを正直に告げる。

頬を伝う涙を見て、ぎょっとした。泣いているところは見るのは初めてだ。

「あ、えっと、目にゴミが…ハハ…」

こんな時まで、こちらを気遣うような言葉に胸が苦しくなる。俺のせいで泣いているのではない、と言っているようで。

泣いて欲しくない、泣き顔は見たくないと頬に手を伸ばそうとしたが、その手をそっと下ろす。…俺にその涙を拭う資格なんてなかった。

「…あの、またご近所さんとして仲良くしてくださいね」

無理に笑う彼女を見て、胸がチクリと痛んだ気がした。