おはようございます、ビリーさん!
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ある日、寝坊してしまって家が出るのが遅くなってしまった。いつも通り門前で掃除するバンダナの彼に声を掛けて、足早に通り過ぎる。
いつも通り駅に着いて、改札を通ろうと鞄から定期を出す。が、その定期がどこにも見当たらなかった。いくら探しても見つからない定期に、諦めて財布を取り出そうとしたところ、ポンと肩を叩かれた。
「おい、これ」
「あっ、えっ?」
振り返ると赤いバンダナの彼がいた。手に持っていたのは、少し明るめなネイビーのシンプルな、私の定期入れだった。
「これ、落としていったぞ」
「す、すみません。ありがとうございます!…あの、どこにありましたか?」
「道場の真ん前で落として行ったぞ。声掛けたんだけどよ、聞こえてなかったみたいだし、これ無いと困るだろ?」
ほら、と言って差し出してくれた定期を受け取る。この前チャージしたばかりなので、内心ドキドキで焦ったけど、こうして手元に戻って来てくれて本当によかった。
「わざわざ届けて下さって、本当にありがとうございます!あ、あのお礼を…」
「いいって、別に」
「でも…」
「それより、急いでたんじゃねぇのか?」
そう言われてハッと気付く。ポケットから取り出したスマホで時間を確認すると、私が乗る電車の発車時間まで、あと3分というところだった。
「えと、また後日に改めてお礼をさせて頂きますね!」
「いいって言ってんのに」
フッと笑う彼を見て、胸が高鳴る。もしかして、笑った顔を見たのは初めてではないだろうか。…あんなに優しく笑うんだ。
その後、なんとか乗れた電車でほっと一息をつく。でも、胸のドキドキは一向に治らなかった。