おはようございます、ビリーさん!
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「お、おはようございます」
恐る恐る挨拶をする。眉間にしわを寄せた彼は、こちらを見ることもなく挨拶を返してくれることもなかった。
赤いバンダナを巻いた彼は、ここ最近見かけるようになった人だ。
近所にある道場には、以前から何人か出入りしていたけど、ここ最近急激に増えた気がする。彼はその中の1人だ。
通勤する時に道場の前を通るのだけど、その時いつも門前で代わる代わる誰かが掃除をしていた。
でも、今日の赤いバンダナの彼はちょっとその…強面だった。ので、正直挨拶をするか迷ったけれど、いつも挨拶をして通っているのだ、この人だけしないのは失礼と思い、勇気を出して声をかけるも空振りに終わった。
次の日も案の定、門前にいたのは赤いバンダナの彼だった。昨日と同じように恐る恐る声を掛けてみる。
「お、おはようございます」
「………おう」
挨拶をされると思っていなかったのだろうか。あの鋭い目が少し見開かれた後、控えめな声が返ってきた。
私も挨拶が返ってくると思ってなかったので、少し驚いた顔を見せてしまったかもしれない。
でも、返事が返って来たことがなんだか嬉しくて、その後の駅までの足取りは軽かった。
それからは、赤いバンダナの彼が道場の前を掃除している日が続いた。
通る度に挨拶をしていると、彼も段々と慣れて来たのか、「おう、はよ」と以前よりしっかりと挨拶を返してくれるようになった。
未だに少し強面だとは思うけれど、何度か挨拶を交わすようになってからは、苦手意識は無くなっていった。