K´
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▼エピローグ微バレあり
KOFからしばらく経った後、再会したK´さんとアジトで過ごしてちょうど1か月。
朝、目が覚めた時にはもうK´さんの姿は無かった。
物音も聞こえない人の気配もない空間に、もう行ってしまったんだと寂しさを感じた。
声をかけられることもなく、置き手紙もない。
代わりに机の上にポツンと置かれていたのは小さな鍵だった。
(またここに帰ってくるのかな…)
その時はまた、私と会ってくれるだろうか。
かすかな希望を胸に、小さな彼との繋がりを握り締め、アジトを後にした。
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「遅くなっちゃった…早く帰らないと」
あれから数か月経ち、今日はクリスマス。
今夜はクリスマスパーティをしようと皆で話し合い、足りないものを買い出しに出たのだが、思いのほか時間がかかってしまい、日も暮れようとしていた。
ふと通りかかったイルミネーションに目を奪われ、急ぐ足が止まる。
(綺麗…)
一面に広がる光の世界。この綺麗な景色を誰かと共有したいけれど、残念ながら私の隣には誰もいない。
脳裏にかすかによぎる彼の姿に苦笑いをしつつ、また道場の皆さんを誘って来ようと踵を返した時だった。
「どこに居るのかと思えば…まさか一人でイルミネーション見てるとは思わなかった」
「K´…さん?」
久しぶりに聞いた声。一瞬聞き間違えかと思ったけれど、その声の主は確かに私の目の前にいた。
「帰って…きてたんですか?」
「今日だけ、な」
「そ、そうなんですね」
隣に並んだK´さんをチラッと盗み見る。変わらない横顔に、本当にここにK´さんが居るのだとじわじわ現実味が帯びてくる。
話したい事、聞きたい事はたくさんあるはずなのに、会えた喜びに胸が詰まって言葉が出ない。
「…今日はあれだろ、恋人と一緒に過ごす日なんだろ?」
「クリスマスですか?まぁ…彼氏彼女がいる人達はそうだと思いますよ」
「だからアンタに会いにきた」
「…え?」
突然振られた今日という日の話題に少し驚きつつも返答したら、さらに驚くような答えが返ってきた。
とても嬉しいことを言われている、というのは分かるのだが実感が湧いてこない。
煮え切らない私の態度に、K´さんも少し眉をひそめる。
「…なんだよ」
「あの、それって…私たち恋人同士ってこと…なんですか?」
実感が湧いてこない理由はこれだ。
いくらかの時間を共に過ごしてきたけれど、それらしき言葉を直接言われたことはないし、私の気持ちも伝えていないはずだ。
「…そうじゃないのか」
「その…そういうことを言われた記憶がないので…」
恐る恐る見つめたK´さんの目は、右へ左へと泳ぎ、しばらく考えるような仕草をしてから、大きなため息をついた。
「言ってない…気がする」
ほら!と大きな声が出そうになったのを我慢して、「ですよね」となんとか返事を返した。
なんとなく気まずい雰囲気が立ち込め、二人の間を静寂が包んだのも一瞬、K´さんは私の手を取った。
「ま、そういうことだ」
「…言ってくれないんですか?」
「………目閉じろ」
見られてると言い辛いだろ、とK´さんが言うので、素直に目を閉じる。
忘れないようにとドキドキしながら耳に神経を集中させるも、ふと触れた唇の温かさに気を取られ、すぐに目を開けた。
「今は、これで」
照れているのか少し頬を赤く染めながらも明後日の方向を向いているK´さんに、また胸が詰まって何も言えなくなる。
その代わりに彼の手をぎゅっと両手で握り返した。私も今は、これで。
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