財前 光
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▼財前視点
誰やねん、こいつ…
かったるい授業を抜け出して、屋上のいつもの場所で羽伸ばそう思たら、俺の特等席は取られとった。
そんでもって、何や知らん女がいびきかいて寝とる。
「勘弁やわ…」
俺が隣に行っても、起きる気配は無い。熟睡いうより爆睡やわ、これ。
他の所でも良かったんやけど、特等席は譲りたくないから嫌味ったらしく、ハァ…とため息ひとつついて、そいつの隣に寝転んだ。
それから大体10分後。うとうと…と、してきたぐらいやった。
寝ぼけた女が抱き枕を抱き締めるかのように、俺に抱きついてきた。
「…ちょ、」
ほんま迷惑なやっちゃな。息出来んようにしたろ思うて、自由な左手で鼻をつまんだった。
『…ぶはっ』
一応起きたらしい女は、寝ぼけた目で俺をじーっと見てきた。
目の前には女の顔があって、それも結構綺麗な顔立ちをしとった。
不覚にも赤なっとんがバレんように平然を装って、デコピンを一発打ったった。
『痛いっ!ちょ、痛っ!』
「はよ離せ、ドアホ」
『え、おぉ!ごめん!』
女は慌てて立ち上がって、顔を真っ赤にしながら、何回も頭を下げながら謝ってきた。
『ごめん!えらい事してもたな、ほんまごめん!』
「ほんま えらい事されたわー」
『いや、ほんまごめんって!お詫びに何でもするから!』
「何でも?」
『何でも!』
「ほな…、メルアドでも教えてもらおか」
『あぁ、もうそんなんで良ければ!』
女は、どうぞどうぞというように携帯を差し出してきた。
綺麗な顔立ちとは裏腹に雰囲気は気さくな感じやな、勿体な。
「………登録完了。また善哉おごれっちゅー、メールするからな」
『やっぱ、そう来ますか…。あ、あかん!次の数学、授業サボったら補習やった!ほなまた!』
女…いや、ミョウジナマエが走り去った。
まるで嵐が去ったように後には静けさが残って、よくよく考えたら俺の口からよく「メルアド教えて」なんて言葉が出たな、と思うた。
一連の出来事でミョウジに少し興味を持ったっちゅーのは勘違いでも嘘でもなくて。
俺はミョウジの連絡先を見ながら、少し緩んだ顔を直し携帯を閉じて屋上を後にした。
いつもと違う日常で
(君に出会い、興味を持った)
「…なんでここにおんねん」
『おーう、財前くんやん!自分、酷いなぁ…同じクラスやんかー』
「嘘やろ…(確かに、こんなんおった気がせんでもない…)
『改めて、よろしゅうな!』
「誰がや」
『ちょっ!』
再び、緩む頬をバレないように隠した。ちょっと嬉しかったっちゅーねん。