ムーンストーンの溜息(FEH/ヴァルター)
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「さて今日は闘技場日和!」
「……何だそれは?」
彼は大きな声で人を集める。小声で突っ込んだのはヴァルターだけではない。
「さて、ニニアン、ルキナ、ヴァルター、ニノ! 君たちは俺と一緒に闘技場に来てもらうよ!」
「え、私ですか……?」
名指しされ、明らかに困惑しているニニアン。
ヴァルターも多少は戸惑ったが何も言わない。
ルキナとニノは既に準備万端のようだった。
「大丈夫です。私たちが力を合わせれば怖いものはありません。丁度相性も揃っていることですし」
「あたし達みんな攻撃高いから大丈夫だよ! ニニアンちゃんが危なくなる前に全員倒してあげる!」
「皆様……」
頼もしい女の子2人だ。レイシは誇らしげに笑う。
しかしその女の子の群れに突っ込まれたヴァルターはただただ困惑の様を呈していた。
正直そんなヴァルターを見ることはあまりないわけで、なかなか貴重だ。
「じゃあさっそく行こう!」
その掛け声の後に4人は着いていった。
しかし、相手はなかなか手ごわかった。
「ああっごめん!」
遠くから指示を出すレイシだが、今日はいつになく謝罪の言葉が多い。
それもその筈、既にニニアン以外はかなりの傷を負っていたのだ。
「レイシさん、しっかりしてください! 私たちはまだ大丈夫ですから……!」
気丈な少女ルキナに励まされる。実際に戦うのはレイシではないから、大切な仲間が自分の采配のせいで傷つくのを見るのはどれだけ辛いだろう。
想像もできないようなことをヴァルターは考えていたが、気がつけば自分に指示が下されないまま、自軍のターンは終わっていた。
「おい、レイシ? 私はどうなるんだ?」
「え? あ、あの、えーと、」
「このままだと攻撃を食らうぞ?」
ヴァルターが睨むのも当然だった。敵から攻撃を食らう範囲にヴァルターはそのまま置かれている。
しかしその危険範囲をよくよく数えてみれば、残り3人しか入れるスペースはない。つまり誰か1人は必ず何かしらの攻撃を受けなければいけないのだ。
「ヴァ、ヴァルターはちょっと元気だし、ほら!」
「……後で見ていろよ?」
ターンは敵軍へ。当然のごとく進軍してきたサナキのシムベリンを食らう。
すぐに移ってきたターンでヴァルターはサナキを倒し、彼らは何とか勝利を収めた。
「ふう……危ないところでしたね」
「皆様、ご無事ですか? すぐに帰って手当てを……」
女の子たちが固まって話し出す中、無言のヴァルターは竜の手綱を引き、レイシの傍へ飛んでいく。
「貴様……どういうつもりだ?」
「うわあああごめんヴァルター!」
いつもの狂気が微塵も見えない。それはそれで悪くないことの筈だが、普段のそれより余程怖かった。槍を握るのはやめてほしい。
「私を殺す気か?」
「だ、だって! 女の子たちに攻撃を受けろっていうのも可哀想じゃないか!」
「だったら私が死んでも構わないということか?」
いつになく恐ろしい雰囲気のヴァルターに負けそうになるレイシ。
隣に居たルフレが見かねて口を出す。
「あのー……ヴァルターさん?」
「何だ? 貴様も食われたいのか?」
「レイシさんは、全て分かってらっしゃいましたよ」
「何をだ?」
ヴァルターの低い声音にルフレのツインテールが揺れる。
「敵のサナキの攻撃を受けてもヴァルターさんが耐え切ることをです」
「それが何か関係あるのか?」
「あなたのことを信頼していたってことではないでしょうか」
レイシがルフレとヴァルターを交互に見た。
その言葉を聞いたヴァルターは苦虫を噛み潰したような表情をする。
そしてそのまま、何も言わずに闘技場から出て行った。
「ルフレ……ありがとう」
「レイシさん、もう少し素直に仰ったらどうですか?」
「え、何の話?」
「今は私が居たからいいですけど……もしいなかったら、本当に殺されていたかもしれませんよ」
「はは……ルフレ、冗談キツイよ……」
そう笑うものの、彼も心の中では分かっていた。ヴァルターの危うさを。
先日、共に修練の塔に出かけた日の朝のように、あの男はレイシのことを狙っている。どういう意味にしても。
しかしそうかと思えば、今のように、平気で人を殺しかねない目をする。
「一度、話し合ってみてはいかがですか?」
ルフレとは共通点も多い。何も聞かずとも人の能力を見通す力があるし、策を共に練ることもある。
だからルフレにそう言われた時、確かにそうだな、とレイシは何の疑問も持たず受け入れた。それは自分も薄々考えていたことだからだ。
「……もう少し落ち着いたらね」
とりあえず、今日は帰ろう。
皆に声を掛け、一行は闘技場を後にした。
「……何だそれは?」
彼は大きな声で人を集める。小声で突っ込んだのはヴァルターだけではない。
「さて、ニニアン、ルキナ、ヴァルター、ニノ! 君たちは俺と一緒に闘技場に来てもらうよ!」
「え、私ですか……?」
名指しされ、明らかに困惑しているニニアン。
ヴァルターも多少は戸惑ったが何も言わない。
ルキナとニノは既に準備万端のようだった。
「大丈夫です。私たちが力を合わせれば怖いものはありません。丁度相性も揃っていることですし」
「あたし達みんな攻撃高いから大丈夫だよ! ニニアンちゃんが危なくなる前に全員倒してあげる!」
「皆様……」
頼もしい女の子2人だ。レイシは誇らしげに笑う。
しかしその女の子の群れに突っ込まれたヴァルターはただただ困惑の様を呈していた。
正直そんなヴァルターを見ることはあまりないわけで、なかなか貴重だ。
「じゃあさっそく行こう!」
その掛け声の後に4人は着いていった。
しかし、相手はなかなか手ごわかった。
「ああっごめん!」
遠くから指示を出すレイシだが、今日はいつになく謝罪の言葉が多い。
それもその筈、既にニニアン以外はかなりの傷を負っていたのだ。
「レイシさん、しっかりしてください! 私たちはまだ大丈夫ですから……!」
気丈な少女ルキナに励まされる。実際に戦うのはレイシではないから、大切な仲間が自分の采配のせいで傷つくのを見るのはどれだけ辛いだろう。
想像もできないようなことをヴァルターは考えていたが、気がつけば自分に指示が下されないまま、自軍のターンは終わっていた。
「おい、レイシ? 私はどうなるんだ?」
「え? あ、あの、えーと、」
「このままだと攻撃を食らうぞ?」
ヴァルターが睨むのも当然だった。敵から攻撃を食らう範囲にヴァルターはそのまま置かれている。
しかしその危険範囲をよくよく数えてみれば、残り3人しか入れるスペースはない。つまり誰か1人は必ず何かしらの攻撃を受けなければいけないのだ。
「ヴァ、ヴァルターはちょっと元気だし、ほら!」
「……後で見ていろよ?」
ターンは敵軍へ。当然のごとく進軍してきたサナキのシムベリンを食らう。
すぐに移ってきたターンでヴァルターはサナキを倒し、彼らは何とか勝利を収めた。
「ふう……危ないところでしたね」
「皆様、ご無事ですか? すぐに帰って手当てを……」
女の子たちが固まって話し出す中、無言のヴァルターは竜の手綱を引き、レイシの傍へ飛んでいく。
「貴様……どういうつもりだ?」
「うわあああごめんヴァルター!」
いつもの狂気が微塵も見えない。それはそれで悪くないことの筈だが、普段のそれより余程怖かった。槍を握るのはやめてほしい。
「私を殺す気か?」
「だ、だって! 女の子たちに攻撃を受けろっていうのも可哀想じゃないか!」
「だったら私が死んでも構わないということか?」
いつになく恐ろしい雰囲気のヴァルターに負けそうになるレイシ。
隣に居たルフレが見かねて口を出す。
「あのー……ヴァルターさん?」
「何だ? 貴様も食われたいのか?」
「レイシさんは、全て分かってらっしゃいましたよ」
「何をだ?」
ヴァルターの低い声音にルフレのツインテールが揺れる。
「敵のサナキの攻撃を受けてもヴァルターさんが耐え切ることをです」
「それが何か関係あるのか?」
「あなたのことを信頼していたってことではないでしょうか」
レイシがルフレとヴァルターを交互に見た。
その言葉を聞いたヴァルターは苦虫を噛み潰したような表情をする。
そしてそのまま、何も言わずに闘技場から出て行った。
「ルフレ……ありがとう」
「レイシさん、もう少し素直に仰ったらどうですか?」
「え、何の話?」
「今は私が居たからいいですけど……もしいなかったら、本当に殺されていたかもしれませんよ」
「はは……ルフレ、冗談キツイよ……」
そう笑うものの、彼も心の中では分かっていた。ヴァルターの危うさを。
先日、共に修練の塔に出かけた日の朝のように、あの男はレイシのことを狙っている。どういう意味にしても。
しかしそうかと思えば、今のように、平気で人を殺しかねない目をする。
「一度、話し合ってみてはいかがですか?」
ルフレとは共通点も多い。何も聞かずとも人の能力を見通す力があるし、策を共に練ることもある。
だからルフレにそう言われた時、確かにそうだな、とレイシは何の疑問も持たず受け入れた。それは自分も薄々考えていたことだからだ。
「……もう少し落ち着いたらね」
とりあえず、今日は帰ろう。
皆に声を掛け、一行は闘技場を後にした。