ムーンストーンの溜息(FEH/ヴァルター)
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召喚師レイシ率いる一行――アイク、ヴァルター、レイヴァン、リズの4人だ――は修練の塔に遠征に来ていた。
理由は簡単で、ヴァルターのレベル上げだ。
1日中それをやるからと言っておいたのに、ヴァルターはやる気がないらしい。
「貴様、物好きだな?」
「えっ?」
しかしどれだけヴァルターにやる気がなかろうと召喚師の指示ならばそれに従わなければいけない。それが英雄の定め。
そんな昼休憩の合間、ヴァルターはわざわざレイシの方に近づいてきた。
「わざわざ私を強くさせようなどと」
「いや、強い人は多い方が良いに決まってるじゃん?」
「だが、他にも既に成熟した者は充分いるだろう?」
「充分ではないよ!」
ヴァルターの言葉に驚いたように彼は答える。
「確かに、今一緒に来てくれているアイクたちは、皆充分に訓練を積んでいるよ。ヴァルターより来てくれるのが早かったからね。でもだからといって、ヴァルターの力が必要ないということではないよ」
「……どういう意味だ?」
そう言いながら首を傾げるその様子は、出発する前に見せた狂気など微塵も感じさせず、思わずレイシは笑った。
そんな顔も出来るのなら、ずっとそうしていればいいのに。その方が軋轢を生まずに済むよ、と。
勿論そんなことを口に出すわけではないが。
「特徴で言うなら、竜に乗って槍を扱う人はヴァルターしかいないんだよ、まだ。そこが物凄く魅力的だ。」
「!」
ストレートに言うレイシに思わずヴァルターは息を呑む。
「勿論それだけじゃなくて、君は訓練すれば、今より物凄く強くなれる」
「……そんなことが何故分かる?」
「俺には分かるんだよ。戦えない代わりに、皆が今どれくらい力を持っているのか、これからどのように成長していくか、どのような局面でどのように活躍してくれるのか、全部ね」
にこにことこともなげに言う彼だったが、それが全て本当だとすれば、とんでもないことに違いなかった。
否、彼が今述べた全ての能力を持ち合わせていることを、ヴァルターは知っていた。こんな、たった短い付き合いの中でも分かるくらい、その能力は際立っていた。
「……面白いな」
「ん?」
「本当にそんな力があるとしたら、このアスク王国がエンブラ王国に負ける筈もあるまい?」
その言葉に、はは、とレイシは笑う。
「確かに。早く勝って、この戦いが終わるといいね」
そのためにはヴァルターの力が必要なんだ。と改まって答える。
「それにさ」
「なんだ?」
「ヴァルターは1人しかいないんだから、君にしかできないことって必ずあるよ。俺はそれを探していく手伝いがしたい」
屈託のない笑顔。咄嗟に言葉が出なくなる経験はいつ以来だろうか。
ヴァルターはああとかそんな適当な言葉を返し、足早にレイシの側を離れる。
近くに居てしまえば次に何をしてしまうか分からなかったし、朝とは違って、少し違う感情も湧いていたからだ。
その後、午前中のやる気のなさとは打って変わり、ヴァルターは真面目に訓練に取り組んだ。何も知らないアイクらが驚くくらいに。
その理由を知ってか知らずか、レイシはずっとにこにこと笑ったままだった。
理由は簡単で、ヴァルターのレベル上げだ。
1日中それをやるからと言っておいたのに、ヴァルターはやる気がないらしい。
「貴様、物好きだな?」
「えっ?」
しかしどれだけヴァルターにやる気がなかろうと召喚師の指示ならばそれに従わなければいけない。それが英雄の定め。
そんな昼休憩の合間、ヴァルターはわざわざレイシの方に近づいてきた。
「わざわざ私を強くさせようなどと」
「いや、強い人は多い方が良いに決まってるじゃん?」
「だが、他にも既に成熟した者は充分いるだろう?」
「充分ではないよ!」
ヴァルターの言葉に驚いたように彼は答える。
「確かに、今一緒に来てくれているアイクたちは、皆充分に訓練を積んでいるよ。ヴァルターより来てくれるのが早かったからね。でもだからといって、ヴァルターの力が必要ないということではないよ」
「……どういう意味だ?」
そう言いながら首を傾げるその様子は、出発する前に見せた狂気など微塵も感じさせず、思わずレイシは笑った。
そんな顔も出来るのなら、ずっとそうしていればいいのに。その方が軋轢を生まずに済むよ、と。
勿論そんなことを口に出すわけではないが。
「特徴で言うなら、竜に乗って槍を扱う人はヴァルターしかいないんだよ、まだ。そこが物凄く魅力的だ。」
「!」
ストレートに言うレイシに思わずヴァルターは息を呑む。
「勿論それだけじゃなくて、君は訓練すれば、今より物凄く強くなれる」
「……そんなことが何故分かる?」
「俺には分かるんだよ。戦えない代わりに、皆が今どれくらい力を持っているのか、これからどのように成長していくか、どのような局面でどのように活躍してくれるのか、全部ね」
にこにことこともなげに言う彼だったが、それが全て本当だとすれば、とんでもないことに違いなかった。
否、彼が今述べた全ての能力を持ち合わせていることを、ヴァルターは知っていた。こんな、たった短い付き合いの中でも分かるくらい、その能力は際立っていた。
「……面白いな」
「ん?」
「本当にそんな力があるとしたら、このアスク王国がエンブラ王国に負ける筈もあるまい?」
その言葉に、はは、とレイシは笑う。
「確かに。早く勝って、この戦いが終わるといいね」
そのためにはヴァルターの力が必要なんだ。と改まって答える。
「それにさ」
「なんだ?」
「ヴァルターは1人しかいないんだから、君にしかできないことって必ずあるよ。俺はそれを探していく手伝いがしたい」
屈託のない笑顔。咄嗟に言葉が出なくなる経験はいつ以来だろうか。
ヴァルターはああとかそんな適当な言葉を返し、足早にレイシの側を離れる。
近くに居てしまえば次に何をしてしまうか分からなかったし、朝とは違って、少し違う感情も湧いていたからだ。
その後、午前中のやる気のなさとは打って変わり、ヴァルターは真面目に訓練に取り組んだ。何も知らないアイクらが驚くくらいに。
その理由を知ってか知らずか、レイシはずっとにこにこと笑ったままだった。