誓いの日(オムニバス)
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※社会人
世界が終わるかも、なんていうお騒がせな予言を出した人物はもう行方知れずだ。お察しの通り世界は今に至るまでずっと続いている。
真夜中に誘い込むテレビはいつの間にか噂も消え、俺も会社勤めをするような年齢になった。
けど、たった1つ変わっていないことがある。
「……ん? どうしたの?」
それは今も隣にいる"澪士"という存在だ。
「いや? 何でも」
「ふーん」
高校生の時、「もし明日世界が終わったらどうする」と唐突に澪士から問いかけられたことを俺は今でも覚えている。
その時に思わず告白してしまったのだが、彼も同じ気持ちだと答え。
それからずっと一緒にいる。大学はばらばらだし今就職している会社も別だけれど、こうして一緒に住んでいる。
「……なあ、澪士」
「うん、だから何?」
「俺たち、このまま一緒にいるのかな、ずっと」
何も考えずに言葉を零す。
しかし思った以上に澪士にとって重要なことだったようで、驚いたように目を見開いた。
「え? ずっと一緒にいるんじゃないの?」
「え、あ、いや、そうなんだけど」
「もしかして陽介は……俺と別れるつもりだった?」
「いやだから、そうじゃなくてさ」
泣いてしまうんじゃないか、と思わせる程早口でまくし立てる澪士。俺は慌てて否定する。
「もし一緒に居るんだったら、いつかプロポーズしなきゃなって……」
「……え?」
「…………あ」
思わず零れた言葉。それはまたしても思っていない言葉だ。
澪士の瞳が再び驚きを映す。
「ぷろぽーず……?」
「…………ああ、そう」
何を言われたか澪士はちゃんと理解できていないようだった。それもそうか。プロポーズなんて日常生活じゃ使わない。
かと言って、その言葉すら否定してしまうのは違う。いつかプロポーズしようと思っていたのは紛れもない事実だし。
それに何より、ここで違うと言ってしまえば、今度こそ澪士を泣かせてしまう結果になるのは明らかだった。
「いつか……そう、いつか。今じゃなくて、いつか、言おうと思ってたんだ」
「……何て?」
「えっ、何て、って? ……えーと」
俺は目を逸らし唇を舐める。
「一生大切にするから、結婚してください」
って、と言いながら澪士を見た。どういうわけかプロポーズの言葉を口にしてしまったのにこんなにも冷静に真っすぐ彼の目を見られるなんて、自分もどうかしてしまったのではないか、と思った。
しかし、澪士も俺と目を合わせる。先に逸らした方が負け、みたいな。
「……それ、この場で返事しても、有効?」
「え? え、ああ」
「じゃあ……はい」
「えっ、え、」
デジャブ。この感覚、いつ感じたものだったか。
「いつか陽介と、一緒になると思ってた。けど、もしかしたら当然のことじゃないのかもって思って……今、不安になった」
「いや、俺も澪士とはずっと一緒にいると思ってるし」
「じゃあ……また、俺たちの取り越し苦労ってこと?」
「かもな」
俺は笑って抱きしめた。少しだけ困ったように笑う澪士が愛しかった。
予言の通りには世界は終わらなかったけれど、俺たちのこの誓いは破られない。
「ずっと一緒に居て、陽介。俺の命が尽きるまで」
「ああ、澪士のこと守るから」
世界が終わるかも、なんていうお騒がせな予言を出した人物はもう行方知れずだ。お察しの通り世界は今に至るまでずっと続いている。
真夜中に誘い込むテレビはいつの間にか噂も消え、俺も会社勤めをするような年齢になった。
けど、たった1つ変わっていないことがある。
「……ん? どうしたの?」
それは今も隣にいる"澪士"という存在だ。
「いや? 何でも」
「ふーん」
高校生の時、「もし明日世界が終わったらどうする」と唐突に澪士から問いかけられたことを俺は今でも覚えている。
その時に思わず告白してしまったのだが、彼も同じ気持ちだと答え。
それからずっと一緒にいる。大学はばらばらだし今就職している会社も別だけれど、こうして一緒に住んでいる。
「……なあ、澪士」
「うん、だから何?」
「俺たち、このまま一緒にいるのかな、ずっと」
何も考えずに言葉を零す。
しかし思った以上に澪士にとって重要なことだったようで、驚いたように目を見開いた。
「え? ずっと一緒にいるんじゃないの?」
「え、あ、いや、そうなんだけど」
「もしかして陽介は……俺と別れるつもりだった?」
「いやだから、そうじゃなくてさ」
泣いてしまうんじゃないか、と思わせる程早口でまくし立てる澪士。俺は慌てて否定する。
「もし一緒に居るんだったら、いつかプロポーズしなきゃなって……」
「……え?」
「…………あ」
思わず零れた言葉。それはまたしても思っていない言葉だ。
澪士の瞳が再び驚きを映す。
「ぷろぽーず……?」
「…………ああ、そう」
何を言われたか澪士はちゃんと理解できていないようだった。それもそうか。プロポーズなんて日常生活じゃ使わない。
かと言って、その言葉すら否定してしまうのは違う。いつかプロポーズしようと思っていたのは紛れもない事実だし。
それに何より、ここで違うと言ってしまえば、今度こそ澪士を泣かせてしまう結果になるのは明らかだった。
「いつか……そう、いつか。今じゃなくて、いつか、言おうと思ってたんだ」
「……何て?」
「えっ、何て、って? ……えーと」
俺は目を逸らし唇を舐める。
「一生大切にするから、結婚してください」
って、と言いながら澪士を見た。どういうわけかプロポーズの言葉を口にしてしまったのにこんなにも冷静に真っすぐ彼の目を見られるなんて、自分もどうかしてしまったのではないか、と思った。
しかし、澪士も俺と目を合わせる。先に逸らした方が負け、みたいな。
「……それ、この場で返事しても、有効?」
「え? え、ああ」
「じゃあ……はい」
「えっ、え、」
デジャブ。この感覚、いつ感じたものだったか。
「いつか陽介と、一緒になると思ってた。けど、もしかしたら当然のことじゃないのかもって思って……今、不安になった」
「いや、俺も澪士とはずっと一緒にいると思ってるし」
「じゃあ……また、俺たちの取り越し苦労ってこと?」
「かもな」
俺は笑って抱きしめた。少しだけ困ったように笑う澪士が愛しかった。
予言の通りには世界は終わらなかったけれど、俺たちのこの誓いは破られない。
「ずっと一緒に居て、陽介。俺の命が尽きるまで」
「ああ、澪士のこと守るから」