誓いの日(オムニバス)
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果てなき旅への出航の前に色々なものを買い込んだせいで、飛空艇は大分重くなっていた。
「バルフレア、これ、飛べるの?」
「まあ飛べるだろ」
その言葉通り、鉄の塊は難なく地上を飛び立った。さて、これから俺たちはどこへ向かうのだろう。
「何か宛てはあるの?」
「ない」
「そっか」
宛てがない旅なんて不安だろう。目的地が決まっていないのに、一体どこに着陸するというのか。
それでもここまで冷静さを保てているバルフレアは凄いと思った。彼が感情を揺らすことはないのだろうか。
そんなことを考えながら操舵室に共に座っていると、不意に着陸準備を始めた。まだいくらも飛んでいないのだが。
「ん? どうしたの、バルフレア。何か忘れ物?」
「ああ」
着陸した先は大きな公園。人気がないのは、皆自身の大切な人たちと過ごしているからだろうか。
バルフレアに手招きされ、俺は共に下りる。眠たくなるような陽気の春の午後だった。
「ほら」
「ん? 何これ。切ったシーツ?」
「笑わないで聞いてくれ、レイシ」
「……え? なあに、バルフレア」
彼は改めてそう言うと、俺の前で突然跪く。
シーツを渡されてどうしていいのか分からないのに、一体何を始めるというのか。
「結婚してくれ」
「……え?」
思考が停止しかける。結婚? え? 何で? どういうこと。
問い詰めたかったが、バルフレアの真剣な表情を前に、そんな言葉は口に出来なかった。何か返事を返さなければ、そう思った。
その時手にしているシーツの使い道を突然察する。ああ、そういうことか。彼は最初から準備していたのだ。
「バルフレア……」
俺はシーツを頭に載せた。これは花嫁のベール代わりなのだろう。
跪くその目を真っすぐ見る。恥ずかしくても逸らしちゃいけない。これは人生を賭けて答えるべき事だ。
「ありがとう。俺も、バルフレアと生きたい」
この先どれだけの未来が俺たちを待ってくれるのか分からない。それでもこの人以外との未来は考えられない。
バルフレアもそう思ってくれているのだろうか。そうだといい。
「こんなんしかなくて悪いな」
「ううん、嬉しい、とても」
バルフレアの指が、指輪を俺の薬指に通す。それは本物だ。先程街に出かけた時に買ってきたのだろうか。
どんな未来に追い付かれようと、どちらにしろ明日に向かって飛び続けるしかない。それを分かっていて、俺たちはただ黙って待つのではなく、大空へ飛び出した。
だったらそれでいい。この証を携え、ずっと遠くの光を目指していけばいい。それに届くかどうかはまた別の話だけど。
「バルフレア、好きだよ」
「俺もだよ、レイシ」
指を絡め、口づけした。カリン、と金属同士がぶつかる音がした。
「バルフレア、これ、飛べるの?」
「まあ飛べるだろ」
その言葉通り、鉄の塊は難なく地上を飛び立った。さて、これから俺たちはどこへ向かうのだろう。
「何か宛てはあるの?」
「ない」
「そっか」
宛てがない旅なんて不安だろう。目的地が決まっていないのに、一体どこに着陸するというのか。
それでもここまで冷静さを保てているバルフレアは凄いと思った。彼が感情を揺らすことはないのだろうか。
そんなことを考えながら操舵室に共に座っていると、不意に着陸準備を始めた。まだいくらも飛んでいないのだが。
「ん? どうしたの、バルフレア。何か忘れ物?」
「ああ」
着陸した先は大きな公園。人気がないのは、皆自身の大切な人たちと過ごしているからだろうか。
バルフレアに手招きされ、俺は共に下りる。眠たくなるような陽気の春の午後だった。
「ほら」
「ん? 何これ。切ったシーツ?」
「笑わないで聞いてくれ、レイシ」
「……え? なあに、バルフレア」
彼は改めてそう言うと、俺の前で突然跪く。
シーツを渡されてどうしていいのか分からないのに、一体何を始めるというのか。
「結婚してくれ」
「……え?」
思考が停止しかける。結婚? え? 何で? どういうこと。
問い詰めたかったが、バルフレアの真剣な表情を前に、そんな言葉は口に出来なかった。何か返事を返さなければ、そう思った。
その時手にしているシーツの使い道を突然察する。ああ、そういうことか。彼は最初から準備していたのだ。
「バルフレア……」
俺はシーツを頭に載せた。これは花嫁のベール代わりなのだろう。
跪くその目を真っすぐ見る。恥ずかしくても逸らしちゃいけない。これは人生を賭けて答えるべき事だ。
「ありがとう。俺も、バルフレアと生きたい」
この先どれだけの未来が俺たちを待ってくれるのか分からない。それでもこの人以外との未来は考えられない。
バルフレアもそう思ってくれているのだろうか。そうだといい。
「こんなんしかなくて悪いな」
「ううん、嬉しい、とても」
バルフレアの指が、指輪を俺の薬指に通す。それは本物だ。先程街に出かけた時に買ってきたのだろうか。
どんな未来に追い付かれようと、どちらにしろ明日に向かって飛び続けるしかない。それを分かっていて、俺たちはただ黙って待つのではなく、大空へ飛び出した。
だったらそれでいい。この証を携え、ずっと遠くの光を目指していけばいい。それに届くかどうかはまた別の話だけど。
「バルフレア、好きだよ」
「俺もだよ、レイシ」
指を絡め、口づけした。カリン、と金属同士がぶつかる音がした。