誓いの日(オムニバス)
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先程まで強く降っていた雨が上がり、空には既に抜けるような青色が広がっていた。
大きな木の下で雨宿りをしていた俺たちは、漸く歩き出していた。
「あ、見て、ジューダス」
歩き始めて少ししたところで、俺は小さな花を見つけてジューダスに声を掛ける。
「何だ、今度は」
「見て、ねえ、これ、ほら」
「……何をしている?」
俺は道端のその純朴な白い花を摘み取った。
「ねえ、この花なんて言うんだっけ?」
「シロツメクサだ」
「そうだった。俺、これでなんか作れるよ。見てて」
「なんかって何だ」
まずは茎で輪を作る。輪の大きさは大体人の指が入るくらいだ。
その輪に、余った茎をぐるぐると巻き付けていく。
最後は巻き付けた茎の間に端を入れ込むだけだ。
「ジューダス、手を出して」
「……一体何をする気だ?」
「怖いことじゃないよ」
渋るジューダスの左手を無理やり引き出し、俺は薬指にそのシロツメクサを嵌め込んだ。
我ながら完璧だ。ちゃんと出来てる。
「これは……」
「シロツメクサの指輪だよ。シロツメクサの花言葉は「約束」とか「幸福」って意味らしいよ」
「……レイシ、全部知ってたな?」
「え、何が?」
何も言わなくなったジューダスを置いて、俺は先を歩き始める。
次の街はもう少しだとさっき言われた気がしている。が、方角がこっちで合っているのかは分からない。
そんなことを考えながら歩いていると、漸く足音が後ろに追い付いてきた。
「レイシ」
「なに?」
「これが欲しかったんだろう?」
「え?」
そう言われて振り返ると、そこに差し出されていたのはタンポポの指輪。
ジューダスが相変わらず目を合わせてくれなくても、胸が高鳴る。
「これ……」
「借りを返しただけだ」
借り。シロツメクサの指輪を、借りだと思ってくれていたわけか。
俺は嬉しくなって左手を差し出した。
「うれしい。ありがとう」
ジューダスの薬指に嵌まっているそれとよく似た物が、俺の薬指にも増えた。
「ねえ、知ってる? タンポポの花言葉って「真心の愛」らしいよ」
「……花言葉に詳しいのか? レイシ」
「ううん、全然知らない」
明日になればもうこの指輪たちはすっかり枯れ果てて茶色くなってしまうだろう。
うん、でも、それでもいい。過去に縛られているジューダスを解き放つには、とてもお似合いだと思ってしまうじゃないか。
「……ほんと、ありがとう、ジューダス」
「そんなに例を言われる程のことではない」
「だって俺の欲しいもの、こんなに沢山くれるから」
空にはいつの間にか虹が掛かっていた。いい日になりそうな気がした。
大きな木の下で雨宿りをしていた俺たちは、漸く歩き出していた。
「あ、見て、ジューダス」
歩き始めて少ししたところで、俺は小さな花を見つけてジューダスに声を掛ける。
「何だ、今度は」
「見て、ねえ、これ、ほら」
「……何をしている?」
俺は道端のその純朴な白い花を摘み取った。
「ねえ、この花なんて言うんだっけ?」
「シロツメクサだ」
「そうだった。俺、これでなんか作れるよ。見てて」
「なんかって何だ」
まずは茎で輪を作る。輪の大きさは大体人の指が入るくらいだ。
その輪に、余った茎をぐるぐると巻き付けていく。
最後は巻き付けた茎の間に端を入れ込むだけだ。
「ジューダス、手を出して」
「……一体何をする気だ?」
「怖いことじゃないよ」
渋るジューダスの左手を無理やり引き出し、俺は薬指にそのシロツメクサを嵌め込んだ。
我ながら完璧だ。ちゃんと出来てる。
「これは……」
「シロツメクサの指輪だよ。シロツメクサの花言葉は「約束」とか「幸福」って意味らしいよ」
「……レイシ、全部知ってたな?」
「え、何が?」
何も言わなくなったジューダスを置いて、俺は先を歩き始める。
次の街はもう少しだとさっき言われた気がしている。が、方角がこっちで合っているのかは分からない。
そんなことを考えながら歩いていると、漸く足音が後ろに追い付いてきた。
「レイシ」
「なに?」
「これが欲しかったんだろう?」
「え?」
そう言われて振り返ると、そこに差し出されていたのはタンポポの指輪。
ジューダスが相変わらず目を合わせてくれなくても、胸が高鳴る。
「これ……」
「借りを返しただけだ」
借り。シロツメクサの指輪を、借りだと思ってくれていたわけか。
俺は嬉しくなって左手を差し出した。
「うれしい。ありがとう」
ジューダスの薬指に嵌まっているそれとよく似た物が、俺の薬指にも増えた。
「ねえ、知ってる? タンポポの花言葉って「真心の愛」らしいよ」
「……花言葉に詳しいのか? レイシ」
「ううん、全然知らない」
明日になればもうこの指輪たちはすっかり枯れ果てて茶色くなってしまうだろう。
うん、でも、それでもいい。過去に縛られているジューダスを解き放つには、とてもお似合いだと思ってしまうじゃないか。
「……ほんと、ありがとう、ジューダス」
「そんなに例を言われる程のことではない」
「だって俺の欲しいもの、こんなに沢山くれるから」
空にはいつの間にか虹が掛かっていた。いい日になりそうな気がした。