誓いの日(オムニバス)
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春の麗らかな陽気、風のない日の午後のこと。
レイシとカムイは、カムイの家の小さめの窓に付いていたレースカーテンを取り外し、丸めて、少し離れた公園へ持って行った。
「レイシ、あれ持ってきた?」
「持ってきたよ」
そんな話をしながら広い道を歩いていく。
公園にたどり着き、少し見回してみれば、こんなにいい天気なのに、人は殆ど居ないようだった。
「勿体無いね、絶好のお出かけ日和なのに」
「公園じゃなくて、もっと遠くに行っているんじゃない?」
「それもそうかも」
でも僕達には良く似合っているだろう、この静けさが、この門出の日には。
開けた草地の上に、レイシは持ってきた鞄を置く。
カムイがレイシにレースのカーテンを差し出した。
「少し待って」
カムイに背を向け、この日のために少し伸ばした髪の毛を、レイシはさっとまとめる。
その後、そのカーテンを頭に載せ、母から借りたヘアバンドで留めた。あんた何する気?と言われたが、勿論本当の事は答えなかった。
「どうかな」
レイシは振り向き、2人は向かい合う。
カムイは何も言わなかった。
その代わり、その手を持ち上げた。
「……、」
ヴェールもない。ドレスもない。勿論神父だっていない。
それでもカムイの持ってきたその指輪だけは本物だった。
これだけが唯一、2人の愛を形として示している物だった。
「僕に幸せにさせてください、レイシ」
この計画はずっと前から立てていた。だから、全部分かっているつもりだった。
けれどこうして彼を前にし、その言葉を聞くだけで、目頭が熱くなった。
「……これからずっと、一緒にいて」
「うん、勿論だよ」
急くようにレイシは言う。笑ってカムイはそのヴェールを持ち上げた。
少しの間唇を触れ合わせた後、レイシは持ってきた鞄の中から1枚の紙を取り出した。
「でも、こんなの要らないくらい、幸せだな」
「書いておこうよ、レイシ。僕たちが永遠にこの誓いを忘れないように」
それもそうだ、とレイシは思い直す。
どうせ出しもしない紙切れでも、いつかこんな日のことを思い出せるかもしれない。
「もう、ずっと一緒だよね」
「うん」
そう答えて微笑むカムイの横顔に、そっと口付けた。
レイシとカムイは、カムイの家の小さめの窓に付いていたレースカーテンを取り外し、丸めて、少し離れた公園へ持って行った。
「レイシ、あれ持ってきた?」
「持ってきたよ」
そんな話をしながら広い道を歩いていく。
公園にたどり着き、少し見回してみれば、こんなにいい天気なのに、人は殆ど居ないようだった。
「勿体無いね、絶好のお出かけ日和なのに」
「公園じゃなくて、もっと遠くに行っているんじゃない?」
「それもそうかも」
でも僕達には良く似合っているだろう、この静けさが、この門出の日には。
開けた草地の上に、レイシは持ってきた鞄を置く。
カムイがレイシにレースのカーテンを差し出した。
「少し待って」
カムイに背を向け、この日のために少し伸ばした髪の毛を、レイシはさっとまとめる。
その後、そのカーテンを頭に載せ、母から借りたヘアバンドで留めた。あんた何する気?と言われたが、勿論本当の事は答えなかった。
「どうかな」
レイシは振り向き、2人は向かい合う。
カムイは何も言わなかった。
その代わり、その手を持ち上げた。
「……、」
ヴェールもない。ドレスもない。勿論神父だっていない。
それでもカムイの持ってきたその指輪だけは本物だった。
これだけが唯一、2人の愛を形として示している物だった。
「僕に幸せにさせてください、レイシ」
この計画はずっと前から立てていた。だから、全部分かっているつもりだった。
けれどこうして彼を前にし、その言葉を聞くだけで、目頭が熱くなった。
「……これからずっと、一緒にいて」
「うん、勿論だよ」
急くようにレイシは言う。笑ってカムイはそのヴェールを持ち上げた。
少しの間唇を触れ合わせた後、レイシは持ってきた鞄の中から1枚の紙を取り出した。
「でも、こんなの要らないくらい、幸せだな」
「書いておこうよ、レイシ。僕たちが永遠にこの誓いを忘れないように」
それもそうだ、とレイシは思い直す。
どうせ出しもしない紙切れでも、いつかこんな日のことを思い出せるかもしれない。
「もう、ずっと一緒だよね」
「うん」
そう答えて微笑むカムイの横顔に、そっと口付けた。
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