終末の日(オムニバス)
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久々に友人の澪士と昼食を食べていると、唐突に澪士が口を開いた。
「なあ陽介、あのさ」
「んー?」
「もし世界の終わりってのがあったとしたらさ」
屋上には珍しく他に人がいない。
だからこそ、そんな馬鹿なことを軽々しく言えるのだろう。
「何だよ、世界の終わりって」
「例えばの話だよ」
揚げ足を取るように俺が突っ込むと、澪士は少し怒ったように答える。
「ほら、最近話題の。世界が滅亡するとかって、なんか予言あるじゃん?」
「あー、なんかあったな……」
「もし本当に世界が終わるとしたら――例えば、明日終わるとしたら。陽介は何する?」
彼は多分軽い冗談のつもりで、間を持たせるつもりでそういう話をしたのだろうが、俺は思わず黙り込んでしまった。
「んー……そうだな」
俺の場合、正直に言うと、小西先輩が亡くなったことを知った瞬間、もう世界が終わってしまったような気になった。
それ以来、転校生の行動力に巻き込まれるようにマヨナカテレビに侵入しては、よく分からない敵と戦ったり人を助けようとしたりしているけれど。
その度に結構危ない目に遭っていて、もう今ここで命があることが奇跡というか、もういつでも世界が終わりみたいな気持ちのところはある。
「好きな奴に告白するかな」
「ふーん」
声が震えないように気をつけながら言うと、澪士はあまり興味のなさそうな返答をした。
「おい聞いてきたの澪士だろ」
「いや勿論分かってるって。でもさ、予言が本当かもしれないんだぜ? だったら今ここで俺と昼飯食ってるんじゃなくて、その子に告白した方がいいんじゃないのか?」
澪士の話しぶりからして、恐らく彼は、俺の好きなのはクラスの女子か誰かだと思っているのだろう。
だがそんな風に煽られてしまえば、俺もそういう気持ちになってくる。言わなくてはいけないのかと。
確かに例えマヨナカテレビに入っていなくたって、いつ死ぬかなんて分からないわけで。いつでも悔いのないように生きられればベストなのだろうが、人間ってそんなに器用じゃない。
「……してもいいのか? 告白」
「うん、どーぞどーぞ」
俺ここで待ってるから、と言われ、俺は息を吸い込んだ。
「……澪士。好きだ」
「――え?」
「男同士だけど、俺、澪士のこと、ずっと好きだった」
俺の言葉があまりに予想外だったのか、澪士はぽろりと箸を落とす。
「ちょ、ちょちょちょちょい待ち」
「冗談とかじゃねーからな、これ。お前が言っていいって言ったから言った。俺の本当の気持ちだから」
「……えー、と」
澪士はあからさまに動揺している。もし引かれたって仕方ない。それなら俺に運がなかったとか、きっと澪士の小指には赤い糸の先が繋がっていなかったということだ。
頬を真っ赤にした澪士は、ゆっくりと口を開く。
「え、えーと……それってさ、陽介」
「ん?」
「もし、予言が当たらなくても……世界が終わらなくても、有効?」
「え」
恐る恐る尋ねられたその言葉の意味が一瞬理解できず、俺は固まった。
「つまり、その……あの、俺も陽介のこと、好きなんだけど、」
「え……」
今度は俺が絶句する番だった。
……マジで? こんな状況で両想いって、有り得るのか?
「あの、これ嘘じゃないから」
「分かってるけど!」
「……両想いとは思わなかった」
小声で澪士が呟く。完全に同じ気持ちで、あまりにも澪士が可愛く思えて、思わず抱きしめた。
「陽介……?」
「俺も、同じ気持ちだから。……付き合ってください」
「……! お願いします!」
そうだな、これでもし世界が終わっても、仮に終わらなかったとしても。
どちらでもきっと後悔はしないだろう。幸せの増量分は今から始まったばかりだから、終わらない方が断然嬉しいが。
「なあ陽介、あのさ」
「んー?」
「もし世界の終わりってのがあったとしたらさ」
屋上には珍しく他に人がいない。
だからこそ、そんな馬鹿なことを軽々しく言えるのだろう。
「何だよ、世界の終わりって」
「例えばの話だよ」
揚げ足を取るように俺が突っ込むと、澪士は少し怒ったように答える。
「ほら、最近話題の。世界が滅亡するとかって、なんか予言あるじゃん?」
「あー、なんかあったな……」
「もし本当に世界が終わるとしたら――例えば、明日終わるとしたら。陽介は何する?」
彼は多分軽い冗談のつもりで、間を持たせるつもりでそういう話をしたのだろうが、俺は思わず黙り込んでしまった。
「んー……そうだな」
俺の場合、正直に言うと、小西先輩が亡くなったことを知った瞬間、もう世界が終わってしまったような気になった。
それ以来、転校生の行動力に巻き込まれるようにマヨナカテレビに侵入しては、よく分からない敵と戦ったり人を助けようとしたりしているけれど。
その度に結構危ない目に遭っていて、もう今ここで命があることが奇跡というか、もういつでも世界が終わりみたいな気持ちのところはある。
「好きな奴に告白するかな」
「ふーん」
声が震えないように気をつけながら言うと、澪士はあまり興味のなさそうな返答をした。
「おい聞いてきたの澪士だろ」
「いや勿論分かってるって。でもさ、予言が本当かもしれないんだぜ? だったら今ここで俺と昼飯食ってるんじゃなくて、その子に告白した方がいいんじゃないのか?」
澪士の話しぶりからして、恐らく彼は、俺の好きなのはクラスの女子か誰かだと思っているのだろう。
だがそんな風に煽られてしまえば、俺もそういう気持ちになってくる。言わなくてはいけないのかと。
確かに例えマヨナカテレビに入っていなくたって、いつ死ぬかなんて分からないわけで。いつでも悔いのないように生きられればベストなのだろうが、人間ってそんなに器用じゃない。
「……してもいいのか? 告白」
「うん、どーぞどーぞ」
俺ここで待ってるから、と言われ、俺は息を吸い込んだ。
「……澪士。好きだ」
「――え?」
「男同士だけど、俺、澪士のこと、ずっと好きだった」
俺の言葉があまりに予想外だったのか、澪士はぽろりと箸を落とす。
「ちょ、ちょちょちょちょい待ち」
「冗談とかじゃねーからな、これ。お前が言っていいって言ったから言った。俺の本当の気持ちだから」
「……えー、と」
澪士はあからさまに動揺している。もし引かれたって仕方ない。それなら俺に運がなかったとか、きっと澪士の小指には赤い糸の先が繋がっていなかったということだ。
頬を真っ赤にした澪士は、ゆっくりと口を開く。
「え、えーと……それってさ、陽介」
「ん?」
「もし、予言が当たらなくても……世界が終わらなくても、有効?」
「え」
恐る恐る尋ねられたその言葉の意味が一瞬理解できず、俺は固まった。
「つまり、その……あの、俺も陽介のこと、好きなんだけど、」
「え……」
今度は俺が絶句する番だった。
……マジで? こんな状況で両想いって、有り得るのか?
「あの、これ嘘じゃないから」
「分かってるけど!」
「……両想いとは思わなかった」
小声で澪士が呟く。完全に同じ気持ちで、あまりにも澪士が可愛く思えて、思わず抱きしめた。
「陽介……?」
「俺も、同じ気持ちだから。……付き合ってください」
「……! お願いします!」
そうだな、これでもし世界が終わっても、仮に終わらなかったとしても。
どちらでもきっと後悔はしないだろう。幸せの増量分は今から始まったばかりだから、終わらない方が断然嬉しいが。