終末の日(オムニバス)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねえ、バルフレア」
「あ? どうしたそんな慌てて」
「……世界が終わるって、本当?」
慌てて操舵室へ向かうと、そこにはいつものように、キセルを咥えたバルフレアがいた。
俺が先程聞いたニュースを改めて伝えると、彼は真剣な顔をする。
「お前、それをどこで聞いた?」
「え? ええと……さっき、外で。街で」
その様子が思ったより深刻な態度だったので、もしかしてその噂は本当なのだろうか、と俺は思った。
「……お前にだけは、聞かせたくねえと思ってたんだけどな……」
「え……?」
「どうやら、本当らしい。もうすぐ世界は終わっちまうんだとよ」
「!」
本当に? この世界が、なくなってしまう?
こんな大事なことでバルフレアが嘘を吐く筈などないことは分かっていたので、その噂は多分本当なのだ。
でもそんな、たった1行で言い終えられてしまうその簡易な言葉を、受け容れる自信はなかった。
「ねえ、何で。何で、世界が終わっちゃうの? ていうか世界が終わるって何?」
「わかったから、とりあえず落ち着け、レイシ。多分お前に言っても何もわかんねーと思うから、分かりそうなことだけ説明してやる」
「ひどい!」
バルフレアに指示され、とりあえず俺はそこら辺の床に座った。
「世界が終わるってのは、まあ俺もよく分かってない。だってそんな出来事今までなかったんだからな。でもどうやら、もうこの世界が丸ごと消滅しちまって、もう皆死んじまうってことらしい」
「え……? ねえそれって、もうどうしようもないの? 誰も止められないの?」
「止められるんだったら今頃こんな騒ぎになってねーだろ」
「そっか……」
相変わらず脳と心が理解することを拒んでいるが、バルフレアに説明されることで、何とか信じ込ませようとしている自分が居た。
そうか、彼でさえ諦めているのか、と。
「……おいレイシ、勘違いすんなよ」
「え? 何を?」
「俺はまだ諦めちゃいない」
「え……?」
俺の考えていることが分かったのか、厳しい口調でバルフレアは言う。
「いいか。俺はまだ死ねない。死なないように、ここから逃げる」
「え? でも、どうやって?」
「どうやってかは考えてない。でも、世界が終わるなんて、そんなこと起きてたまるか。俺はこの飛空艇に乗って、明日へ飛び続ける」
バルフレアのその言葉はあまりに突拍子もないことで。
世界が終わるっていうのに、彼はその魔の手から逃げようとしている。そんなことが可能なのか、彼自身も分かっていないけれど。
でも俺にとっては、「世界が終わる」っていうことより余程信じやすい未来だった。
「賛成! ねえバルフレア、俺もつれてって!」
「当たり前だろ。お前、世界が終わるからってこの飛空艇から降りる気だったのかよ?」
「そんなことないけど、一応言っとこうと思って」
「じゃあ忙しくなるぞ?」
「任せて!」
じゃあまずは買い出しだ。店が全て失くなってしまう前に、必要な食べ物を買い込んでしまわないと。
そう考え、操舵室から飛び出そうとしたが、バルフレアに呼び止められる。
「おい、レイシ!」
「ん? 何?」
「ちょっとこっち来い」
彼はキセルを既にどこかに置いてしまったようで、手招きされたので、大人しく近づいた。
「なに、んぅ」
座ったままの彼に抱き寄せられると、唇を塞がれる。
「ん、ん」
口内に舌が入り込んでくる。
暫く蹂躙されたままになっていると、やがてその舌は出ていき、バルフレアとちゃんと目が合った。
「……何すんの?」
「万が一逃げ切れなくて、もう二度とキスできねえ、とかってなったら嫌だからな」
「馬鹿じゃないの?」
たまにバルフレアは、俺より子供っぽいところがある。勿論そこも好きなんだけれど。
「何としても逃げ切るって言ってよ。俺は、崩壊に追いつかれる世界より、それを追い抜いていく未来が見たい」
「ああ、任せとけ」
最後にもう一度、バードキスをして、今度こそ操舵室から出た。
「あ? どうしたそんな慌てて」
「……世界が終わるって、本当?」
慌てて操舵室へ向かうと、そこにはいつものように、キセルを咥えたバルフレアがいた。
俺が先程聞いたニュースを改めて伝えると、彼は真剣な顔をする。
「お前、それをどこで聞いた?」
「え? ええと……さっき、外で。街で」
その様子が思ったより深刻な態度だったので、もしかしてその噂は本当なのだろうか、と俺は思った。
「……お前にだけは、聞かせたくねえと思ってたんだけどな……」
「え……?」
「どうやら、本当らしい。もうすぐ世界は終わっちまうんだとよ」
「!」
本当に? この世界が、なくなってしまう?
こんな大事なことでバルフレアが嘘を吐く筈などないことは分かっていたので、その噂は多分本当なのだ。
でもそんな、たった1行で言い終えられてしまうその簡易な言葉を、受け容れる自信はなかった。
「ねえ、何で。何で、世界が終わっちゃうの? ていうか世界が終わるって何?」
「わかったから、とりあえず落ち着け、レイシ。多分お前に言っても何もわかんねーと思うから、分かりそうなことだけ説明してやる」
「ひどい!」
バルフレアに指示され、とりあえず俺はそこら辺の床に座った。
「世界が終わるってのは、まあ俺もよく分かってない。だってそんな出来事今までなかったんだからな。でもどうやら、もうこの世界が丸ごと消滅しちまって、もう皆死んじまうってことらしい」
「え……? ねえそれって、もうどうしようもないの? 誰も止められないの?」
「止められるんだったら今頃こんな騒ぎになってねーだろ」
「そっか……」
相変わらず脳と心が理解することを拒んでいるが、バルフレアに説明されることで、何とか信じ込ませようとしている自分が居た。
そうか、彼でさえ諦めているのか、と。
「……おいレイシ、勘違いすんなよ」
「え? 何を?」
「俺はまだ諦めちゃいない」
「え……?」
俺の考えていることが分かったのか、厳しい口調でバルフレアは言う。
「いいか。俺はまだ死ねない。死なないように、ここから逃げる」
「え? でも、どうやって?」
「どうやってかは考えてない。でも、世界が終わるなんて、そんなこと起きてたまるか。俺はこの飛空艇に乗って、明日へ飛び続ける」
バルフレアのその言葉はあまりに突拍子もないことで。
世界が終わるっていうのに、彼はその魔の手から逃げようとしている。そんなことが可能なのか、彼自身も分かっていないけれど。
でも俺にとっては、「世界が終わる」っていうことより余程信じやすい未来だった。
「賛成! ねえバルフレア、俺もつれてって!」
「当たり前だろ。お前、世界が終わるからってこの飛空艇から降りる気だったのかよ?」
「そんなことないけど、一応言っとこうと思って」
「じゃあ忙しくなるぞ?」
「任せて!」
じゃあまずは買い出しだ。店が全て失くなってしまう前に、必要な食べ物を買い込んでしまわないと。
そう考え、操舵室から飛び出そうとしたが、バルフレアに呼び止められる。
「おい、レイシ!」
「ん? 何?」
「ちょっとこっち来い」
彼はキセルを既にどこかに置いてしまったようで、手招きされたので、大人しく近づいた。
「なに、んぅ」
座ったままの彼に抱き寄せられると、唇を塞がれる。
「ん、ん」
口内に舌が入り込んでくる。
暫く蹂躙されたままになっていると、やがてその舌は出ていき、バルフレアとちゃんと目が合った。
「……何すんの?」
「万が一逃げ切れなくて、もう二度とキスできねえ、とかってなったら嫌だからな」
「馬鹿じゃないの?」
たまにバルフレアは、俺より子供っぽいところがある。勿論そこも好きなんだけれど。
「何としても逃げ切るって言ってよ。俺は、崩壊に追いつかれる世界より、それを追い抜いていく未来が見たい」
「ああ、任せとけ」
最後にもう一度、バードキスをして、今度こそ操舵室から出た。