終末の日(オムニバス)
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空の色は橙。これが最後の空の色。
もう幾許もしない間に、この空は俺たちの許へ、落ちてくる。
空がこの手で掴めるのなら、それも中々悪くない体験かもしれないな、と俺は手を伸ばしながら思った。
「……また何か変なことを考えてるな? レイシ」
「あは、バレた?」
建物の屋上から共に夕陽を眺めていたジューダスは、呆れた声で俺の方を見る。
「どうせ、空に手が届くとか、考えていたんだろう」
「すごい、大正解だよジューダス」
「嬉しくはない」
共に旅を始めて、もうどのくらいになるだろう。
名の知らない獣道を歩いたり、街の人々に宝物の在り処を尋ねて回ったり。
かけがえのない時間を過ごし、もう長いこと過ごしたような気もするし、思い出してみれば物凄く短い時間のような気もした。
「……本当は、もう少し、ジューダスと旅をしたかったな」
それは本音だ。ジューダスがこちらを見る。
「レイシ、永遠にそう言い続けるつもりだろう? どうせ今日、世界がなくならなかったとして、また明日には同じことを言うんだろう」
「やっぱりジューダスには敵わないな」
俺の考えていることなど浅はかすぎて、頭の良いジューダスには簡単に見破られてしまう。まあそんな単純も恐らく悪くはないと思うのだが。
ジューダスはふっと笑った。
「大体、考えることが同じということだ」
「……え? それって……」
単純で馬鹿な俺の思考回路に、ビビッと電気が走る。
「ジューダスも俺のこと、好きってこと?」
そう尋ねると、ジューダスは目を逸らした。
「何でそうなる?」
「そうでしょ。分かるよ。ジューダスは、俺が何のことを考えてるか分かるんでしょ? じゃあ、そういうことだ」
俺はジューダスの腕を取る。
「ねえ、ジューダス。仮面、外して」
「断る」
「大丈夫。もう俺は、ジューダスが誰なのか知ってる。……もう、最後でしょう?」
動く気配を見せない。でも俺は、何としても仮面を取ってもらう必要があった。
何せ、今日は俺たちにとって最後の日で、互いの気持ちを確認した日なのだから。
「――この仮面は、贖罪が終わったからと言って、取っていい物ではない」
「ん? もう終わったんだ、罪を償うことは」
「ああ……とりあえず、あの旅を全て終えたことで、僕に出来ることは終わったと思っている」
じゃあ少しだけでいいから。
俺はそう言いながら、その仮面を少しだけ、上にずらす。
「おいレイシ、何するんだ」
「もう、知ってるでしょ? 俺がどうしてほしいか」
「……、」
仮面の隙間から、その顔全体を視認することはできない。辛うじて唇が見えるのみだ。
溜息を吐いたジューダスは、俺にその仮面を持たせたまま俺の腰を引き寄せ、口付けた。
「ん、」
軽いキス。触れるだけのキス。
それでも俺の胸はぎゅっと何かに掴まれたようになり、息をすることを困難にさせる。
「ジューダス、」
「……これで満足か?」
照れたように言われ、俺も思わず照れる。
「……ううん。まだ足りない」
「はあ?」
「もっとして」
そう言いながら、今度は俺から近づく。
俺たちのすぐ横に、橙色の闇が迫っている。
「この世界で生きたいと思えなくなるくらい」
もう幾許もしない間に、この空は俺たちの許へ、落ちてくる。
空がこの手で掴めるのなら、それも中々悪くない体験かもしれないな、と俺は手を伸ばしながら思った。
「……また何か変なことを考えてるな? レイシ」
「あは、バレた?」
建物の屋上から共に夕陽を眺めていたジューダスは、呆れた声で俺の方を見る。
「どうせ、空に手が届くとか、考えていたんだろう」
「すごい、大正解だよジューダス」
「嬉しくはない」
共に旅を始めて、もうどのくらいになるだろう。
名の知らない獣道を歩いたり、街の人々に宝物の在り処を尋ねて回ったり。
かけがえのない時間を過ごし、もう長いこと過ごしたような気もするし、思い出してみれば物凄く短い時間のような気もした。
「……本当は、もう少し、ジューダスと旅をしたかったな」
それは本音だ。ジューダスがこちらを見る。
「レイシ、永遠にそう言い続けるつもりだろう? どうせ今日、世界がなくならなかったとして、また明日には同じことを言うんだろう」
「やっぱりジューダスには敵わないな」
俺の考えていることなど浅はかすぎて、頭の良いジューダスには簡単に見破られてしまう。まあそんな単純も恐らく悪くはないと思うのだが。
ジューダスはふっと笑った。
「大体、考えることが同じということだ」
「……え? それって……」
単純で馬鹿な俺の思考回路に、ビビッと電気が走る。
「ジューダスも俺のこと、好きってこと?」
そう尋ねると、ジューダスは目を逸らした。
「何でそうなる?」
「そうでしょ。分かるよ。ジューダスは、俺が何のことを考えてるか分かるんでしょ? じゃあ、そういうことだ」
俺はジューダスの腕を取る。
「ねえ、ジューダス。仮面、外して」
「断る」
「大丈夫。もう俺は、ジューダスが誰なのか知ってる。……もう、最後でしょう?」
動く気配を見せない。でも俺は、何としても仮面を取ってもらう必要があった。
何せ、今日は俺たちにとって最後の日で、互いの気持ちを確認した日なのだから。
「――この仮面は、贖罪が終わったからと言って、取っていい物ではない」
「ん? もう終わったんだ、罪を償うことは」
「ああ……とりあえず、あの旅を全て終えたことで、僕に出来ることは終わったと思っている」
じゃあ少しだけでいいから。
俺はそう言いながら、その仮面を少しだけ、上にずらす。
「おいレイシ、何するんだ」
「もう、知ってるでしょ? 俺がどうしてほしいか」
「……、」
仮面の隙間から、その顔全体を視認することはできない。辛うじて唇が見えるのみだ。
溜息を吐いたジューダスは、俺にその仮面を持たせたまま俺の腰を引き寄せ、口付けた。
「ん、」
軽いキス。触れるだけのキス。
それでも俺の胸はぎゅっと何かに掴まれたようになり、息をすることを困難にさせる。
「ジューダス、」
「……これで満足か?」
照れたように言われ、俺も思わず照れる。
「……ううん。まだ足りない」
「はあ?」
「もっとして」
そう言いながら、今度は俺から近づく。
俺たちのすぐ横に、橙色の闇が迫っている。
「この世界で生きたいと思えなくなるくらい」