終末の日(オムニバス)
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国民は皆一様に逃げ惑っていた。それを俺はただ眺めていた。
同じように逃げる支度をしていたカイルは、部屋の中でぼーっとしていた俺を見て、声を張り上げた。
「何やってんだレイシ、逃げるぞ!」
「いいよ、俺は」
「はあ!?」
赤の国で行われたG.O.D.から数年。まさかこんなにも早くこの日が来るとは思っていなかった。
「なんか、ようやく迎えが来たんだなって、安心したんだ。」
世界を管理していたクリムゾン・キングダムの総帥フィリップ・クリムゾンが死に、只の銃士であった筈のコール・エマーソンがその座に就いた。
強大な力のコントロールをしようと目論んでいたようだが、やはりフィリップ・クリムゾンには敵わなかったようだ。
世界では非常に巨大な――島1つを丸ごと滅ぼしてしまうような――力が蔓延っており、その力にこの国は焼かれてしまうようだった。
もうすぐ、この国は終わってしまうらしい。
「もうミクシーさんが迎えに来てるから、すぐにでも逃げればまだ間に合うって!」
「ありがとう、カイル。でも俺は大丈夫だから」
早く逃げて、と答える。
「……本当に、いいんだな?」
「うん。俺の気持ちはもう、分かってるでしょ?」
「分かっているが……それでも、このままじゃ、見殺しにするみたいじゃないか」
「俺は、カイルには生きていてほしい。俺たちの代わりに」
俺はホープ達の旅に同行し、色々なものを見た。色々なことを経験した。
同時に、たくさんのものを失った。
その中には、俺が一番大切だと思っていたものもあった。
「今までありがとう、カイル」
「レイシ……」
「さあ、行って。手遅れにならない内に」
しかし島1つを焼いてしまう程の力である。いくらミクシーさんの車だからって、逃げ切れるようなものなのだろうか?
カイルは何か言いたげだったが、これ以上俺に何を言っても無駄だと悟ったのか、大きな荷物を持って家を出て行った。
俺はようやく安堵する。この世界には、もう1人の様な気分だ。
「――そろそろそっちに行くよ」
目を閉じる。窓を閉めていても、人々の逃げ惑うその声が聞こえる。
でも俺は不思議と心穏やかな気持ちだった。人間は、死を認知する段階には5段階あるらしいが、どうやら俺はその最終段階に来てしまったらしい。
これが嬉しくなくて、一体なんだというのか。
「ずっと、迎えに来てくれるの、待ってたんだよ? 代わりにさ、生きなきゃならないって思っててね」
今はもう見えない人。いない人。
でも隣に居てくれてる気がする。
「ねえ、ビート。ようやく会えるよ」
そうしたら俺たちは、一体何から話そうか?
同じように逃げる支度をしていたカイルは、部屋の中でぼーっとしていた俺を見て、声を張り上げた。
「何やってんだレイシ、逃げるぞ!」
「いいよ、俺は」
「はあ!?」
赤の国で行われたG.O.D.から数年。まさかこんなにも早くこの日が来るとは思っていなかった。
「なんか、ようやく迎えが来たんだなって、安心したんだ。」
世界を管理していたクリムゾン・キングダムの総帥フィリップ・クリムゾンが死に、只の銃士であった筈のコール・エマーソンがその座に就いた。
強大な力のコントロールをしようと目論んでいたようだが、やはりフィリップ・クリムゾンには敵わなかったようだ。
世界では非常に巨大な――島1つを丸ごと滅ぼしてしまうような――力が蔓延っており、その力にこの国は焼かれてしまうようだった。
もうすぐ、この国は終わってしまうらしい。
「もうミクシーさんが迎えに来てるから、すぐにでも逃げればまだ間に合うって!」
「ありがとう、カイル。でも俺は大丈夫だから」
早く逃げて、と答える。
「……本当に、いいんだな?」
「うん。俺の気持ちはもう、分かってるでしょ?」
「分かっているが……それでも、このままじゃ、見殺しにするみたいじゃないか」
「俺は、カイルには生きていてほしい。俺たちの代わりに」
俺はホープ達の旅に同行し、色々なものを見た。色々なことを経験した。
同時に、たくさんのものを失った。
その中には、俺が一番大切だと思っていたものもあった。
「今までありがとう、カイル」
「レイシ……」
「さあ、行って。手遅れにならない内に」
しかし島1つを焼いてしまう程の力である。いくらミクシーさんの車だからって、逃げ切れるようなものなのだろうか?
カイルは何か言いたげだったが、これ以上俺に何を言っても無駄だと悟ったのか、大きな荷物を持って家を出て行った。
俺はようやく安堵する。この世界には、もう1人の様な気分だ。
「――そろそろそっちに行くよ」
目を閉じる。窓を閉めていても、人々の逃げ惑うその声が聞こえる。
でも俺は不思議と心穏やかな気持ちだった。人間は、死を認知する段階には5段階あるらしいが、どうやら俺はその最終段階に来てしまったらしい。
これが嬉しくなくて、一体なんだというのか。
「ずっと、迎えに来てくれるの、待ってたんだよ? 代わりにさ、生きなきゃならないって思っててね」
今はもう見えない人。いない人。
でも隣に居てくれてる気がする。
「ねえ、ビート。ようやく会えるよ」
そうしたら俺たちは、一体何から話そうか?