終末の日(オムニバス)
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「ねえ、世界が、終わるんだってね。」
唐突な言葉から始まった彼の報せを、俺はあまり真面目に聞いていなかった。
「どういうことだ? 世界が終わるって」
「そのままの意味だけど」
空はまだ明るく、初夏を迎えたばかりの爽やかな陽気。
そんな麗らかな日に、そんな暗い報せを聞いたところで、受け入れられる筈もなかった。
「レイシ、何を知ってんの?」
俺は問う。
隣に座っていたレイシはこちらを見て、少し笑った。
「僕は何にも知らないよ。」
その言葉は嘘だと思った。
結局その日はそのまま別れ、暫く忙しい日々が続き、俺はレイシと会えないでいた。
けれどその内、毎日のように空が暗くなっていく。城が慌ただしくなっていく。
俺は誰かにその行方を尋ねようとしたけれど、誰1人、自分のことに忙しくて、立ち止まってなどもらえなかった。
「……あの時レイシが言ったことは、本当だったんだな」
世界が混乱しているのは、何も知らない俺にも分かった。誰も教えてくれなくても分かった。多分虫の知らせってやつだ。
いつ終わるのか、それは問題ではない。でも今まさに、空が地上へ落ちてこようとしている。
その時その瞬間、俺は自分がどうなっているのか、想像もできなかった。
「最後に、レイシに会いたい」
そう感じた。でも、俺に出来ることは何1つなかった。
何故なら俺は、レイシのことを何も知らなかったからだ。
最期を迎えて初めて知ることがたくさんあるのだ、と思った。
「どこに住んでるんだろう。何者なんだろう。何で俺の部屋に、通ってきてくれたんだろう」
孤独を感じ続けていた俺を何度も訪ねてきてくれた人。
今思えば、多分俺は、彼に対して愛しさを感じていたのだろう。
じゃなければ、こんな差し迫った状況で、彼と共に過ごしたい、なんて思う筈がない。
「……レイシ、聞こえてないと思うけれど」
俺は寝台に横たわる。目を閉じる。
ふかふかのマットに受け止められ、まるでそこだけは、世界の終わりじゃない気がした。
「俺のこと、忘れないで」
できるなら、また会いたい。で、今度はもっとたくさん話そう、そして俺は想いを伝えよう。
外から轟音が聞こえた。
けれど俺は全く動じることなく、いつか自他の境界が溶け落ちるその瞬間を、心待ちにしていた。
この身体が融けて、宇宙と一緒になってしまえば、彼と1つになれるだろうか?
唐突な言葉から始まった彼の報せを、俺はあまり真面目に聞いていなかった。
「どういうことだ? 世界が終わるって」
「そのままの意味だけど」
空はまだ明るく、初夏を迎えたばかりの爽やかな陽気。
そんな麗らかな日に、そんな暗い報せを聞いたところで、受け入れられる筈もなかった。
「レイシ、何を知ってんの?」
俺は問う。
隣に座っていたレイシはこちらを見て、少し笑った。
「僕は何にも知らないよ。」
その言葉は嘘だと思った。
結局その日はそのまま別れ、暫く忙しい日々が続き、俺はレイシと会えないでいた。
けれどその内、毎日のように空が暗くなっていく。城が慌ただしくなっていく。
俺は誰かにその行方を尋ねようとしたけれど、誰1人、自分のことに忙しくて、立ち止まってなどもらえなかった。
「……あの時レイシが言ったことは、本当だったんだな」
世界が混乱しているのは、何も知らない俺にも分かった。誰も教えてくれなくても分かった。多分虫の知らせってやつだ。
いつ終わるのか、それは問題ではない。でも今まさに、空が地上へ落ちてこようとしている。
その時その瞬間、俺は自分がどうなっているのか、想像もできなかった。
「最後に、レイシに会いたい」
そう感じた。でも、俺に出来ることは何1つなかった。
何故なら俺は、レイシのことを何も知らなかったからだ。
最期を迎えて初めて知ることがたくさんあるのだ、と思った。
「どこに住んでるんだろう。何者なんだろう。何で俺の部屋に、通ってきてくれたんだろう」
孤独を感じ続けていた俺を何度も訪ねてきてくれた人。
今思えば、多分俺は、彼に対して愛しさを感じていたのだろう。
じゃなければ、こんな差し迫った状況で、彼と共に過ごしたい、なんて思う筈がない。
「……レイシ、聞こえてないと思うけれど」
俺は寝台に横たわる。目を閉じる。
ふかふかのマットに受け止められ、まるでそこだけは、世界の終わりじゃない気がした。
「俺のこと、忘れないで」
できるなら、また会いたい。で、今度はもっとたくさん話そう、そして俺は想いを伝えよう。
外から轟音が聞こえた。
けれど俺は全く動じることなく、いつか自他の境界が溶け落ちるその瞬間を、心待ちにしていた。
この身体が融けて、宇宙と一緒になってしまえば、彼と1つになれるだろうか?
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