二人暮らし(dr/臨也)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その人工灯に、"優しさ"を感じる様になったのはいつからだろうか。
新宿の家に帰る時、下からそのマンションを見上げた時、自分の部屋に明かりが点いていると、自動的に胸が鳴るようになった。
「……本当に、どうかしてるよね」
俺は情報屋。裏の世界に生きる人間だ。まだ表の世界に戻れると信じてるけど。
そんな俺でも表の世界に恋人を作り、その人を盲目的に愛してしまっている。
「人間は好きだけど、こういうつもりじゃなかったのに」
馬鹿だな、と独りごちる。"ヒト"という概念は好きだけれど、まさか単体でこんなに愛する人が出来てしまうとは思ってもいなかった。
今日もきっと、彼はあの部屋で待っているだろう。今すぐにでも彼に会いに行きたいけれど、彼もまた俺のことを待っているのだと思うと、胸が締め付けられる。
その切なさをいつまでも感じていたいというか。
(……帰るか)
とはいえ、あんまり待たせすぎると、きっと怒るだろう。本気で怒ってるとこ、見たことないけど。
「ただいまー」
「おかえりー」
鍵を差し込み玄関のドアを開けると、珍しく恋人が出迎えに来てくれた。
普段は結構怠惰なタイプなので、こういうことはなかなかないのだが。
「臨也、今日遅くない? どした?」
ああ、そういうことか。俺が連絡すると大体15分以内で帰るから、それより遅くなったことを心配しているのか。
俺は思わず苦笑する。
「ちょっとね。考え事してた」
「ふーん」
何について考えていたのか、なんて野暮なことを彼は聞かない。そこがいいところ。
「今日は生姜焼き作った」
「本当に? 澪士の作る生姜焼き好きなんだよね」
「知ってる」
俺は、本当に好きな人への愛情表現が、下手だと自分で思っている。
だからこそ、少しオーバーだと思われても、こうして言葉で伝えるのが大事だと思っている。
不思議だ。一歩外に出れば、俺の放つ言葉はあらゆる人を傷付けずにはおかないのに。
「臨也が、好きって言うから、作った」
澪士は俺の先を歩いているので、どういう表情をしているのか見えない。
でもこういうことを言う時の表情は、大体分かる。
「可愛い、澪士」
「はあ?」
「これからも、ずっと一緒に居て」
俺は後ろから澪士を抱きしめた。プロポーズのつもりは全くないけれど。
このままずっと一緒に居てほしい。この優しく明るい、柔らかな塊がここに居てくれるだけで、俺は生きようと思える。たったそれだけで。
「……いるよ」
頼まれなくても、という言葉が返ってきた。
新宿の家に帰る時、下からそのマンションを見上げた時、自分の部屋に明かりが点いていると、自動的に胸が鳴るようになった。
「……本当に、どうかしてるよね」
俺は情報屋。裏の世界に生きる人間だ。まだ表の世界に戻れると信じてるけど。
そんな俺でも表の世界に恋人を作り、その人を盲目的に愛してしまっている。
「人間は好きだけど、こういうつもりじゃなかったのに」
馬鹿だな、と独りごちる。"ヒト"という概念は好きだけれど、まさか単体でこんなに愛する人が出来てしまうとは思ってもいなかった。
今日もきっと、彼はあの部屋で待っているだろう。今すぐにでも彼に会いに行きたいけれど、彼もまた俺のことを待っているのだと思うと、胸が締め付けられる。
その切なさをいつまでも感じていたいというか。
(……帰るか)
とはいえ、あんまり待たせすぎると、きっと怒るだろう。本気で怒ってるとこ、見たことないけど。
「ただいまー」
「おかえりー」
鍵を差し込み玄関のドアを開けると、珍しく恋人が出迎えに来てくれた。
普段は結構怠惰なタイプなので、こういうことはなかなかないのだが。
「臨也、今日遅くない? どした?」
ああ、そういうことか。俺が連絡すると大体15分以内で帰るから、それより遅くなったことを心配しているのか。
俺は思わず苦笑する。
「ちょっとね。考え事してた」
「ふーん」
何について考えていたのか、なんて野暮なことを彼は聞かない。そこがいいところ。
「今日は生姜焼き作った」
「本当に? 澪士の作る生姜焼き好きなんだよね」
「知ってる」
俺は、本当に好きな人への愛情表現が、下手だと自分で思っている。
だからこそ、少しオーバーだと思われても、こうして言葉で伝えるのが大事だと思っている。
不思議だ。一歩外に出れば、俺の放つ言葉はあらゆる人を傷付けずにはおかないのに。
「臨也が、好きって言うから、作った」
澪士は俺の先を歩いているので、どういう表情をしているのか見えない。
でもこういうことを言う時の表情は、大体分かる。
「可愛い、澪士」
「はあ?」
「これからも、ずっと一緒に居て」
俺は後ろから澪士を抱きしめた。プロポーズのつもりは全くないけれど。
このままずっと一緒に居てほしい。この優しく明るい、柔らかな塊がここに居てくれるだけで、俺は生きようと思える。たったそれだけで。
「……いるよ」
頼まれなくても、という言葉が返ってきた。