二人暮らし(dr/臨也)
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休日、臨也が珍しく何もない日だと言うので、久しぶりに2人で出掛けることにした。
「どこ行く?」
「んー。都会じゃないところがいいな」
「さんせーい」
普段、臨也は新宿か池袋に生息している。俺も働いているのは渋谷だ。
俺は生まれてこの方関東地方にいるわけだが、そろそろ都会のビル群を見るのも飽きてきた。
「自然と触れ合える所がいいかなー」
「例えば?」
「動物園とか?」
「動物園は自然じゃないでしょ」
「じゃあ水族館?」
「水族館も自然じゃなくて魚じゃん」
「文句言うなよなー。じゃあ臨也はどこがいいんだよ」
「大きい公園とか」
ふっと新宿御苑、と思ったが、臨也も同じことを思いついたようで、彼は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「自然は自然でも、ビルが見えない所がいい」
「東京からじゃ無理でしょ。日帰りで。しかももう昼なるし」
気がつけば午前11時。北関東の方まで行けば俺たちの目当ての"自然"はあるかもしれないが、日帰りでは流石に厳しいだろう。
「……うーん」
お互いにダメ出しをしていると、考えるのに疲れてしまった。
「でもさ、臨也」
「ん?」
「……俺、休みの日に、臨也と1日一緒に居れるだけで、嬉しいよ?」
本音をぽろりと漏らすと、少し驚いたような顔をした後に、彼は笑った。
「可愛いこと言わないでよ」
「可愛くはねーだろ」
「俺も、澪士と一緒に居れるだけで嬉しい」
そう、改めて臨也から言葉を返されると、何だか恥ずかしくなる。
まるで、世界に存在するのは互いだけでいい、と言っているような気がして。
「……でも、折角だから、少し近くでも散歩しようか」
「うん」
住まいは新宿。外に出れば自然なんてものは乏しく、更に俺たちにも危険がつきまとう。
何故かって? 臨也があまりにも有名人だからだ。
「さ、行こう」
玄関に並んだ男物の靴。
サイズはそんなに変わらないけれど、臨也の方が僅かに、0.5cmだけ、俺のより大きい。
「すごい、久しぶり。こういうの」
「本当は、もっと澪士と過ごす時間、増やしたいんだけど」
「ううん、これでもう十分嬉しいから」
最近、臨也は夜はほぼ毎日帰ってきてくれる。
夕食を共に摂れることは、至福だ。一緒に暮らしている実感を得られる。
――尤も、俺の体調(主に身体面)に支障をきたすことも増えたけど。
「はい」
「?」
「手」
マンションから出て外に出ると、臨也が手を差し出してくる。
よく分からず戸惑っていると、臨也の左手が、俺の右手を掴まえた。
「え、でも、」
「いいよ。悪口なんて、誰にも言わせる気はないから」
まだ世間は、男同士の恋愛には寛容ではない。男同士で手を繋いでいれば、気持ち悪いと思われるだろう。
だから俺も臨也も何となく遠慮して、外で共に歩くこともそもそもあまりなかったし、共に居たとして、ほんの少し距離を空けて歩くことが普通だった。
「……嬉しい」
臨也に近づき、指を絡める。まだ隠すことなく堂々と、なんて出来ないけれど、これが俺たちの恋愛の形なのだから、誰にも文句を言わせるつもりはない。
「ぐるっとひと回りしようか」
「帰りにコンビニでおやつ買って帰ろう」
「うん」
俺たちはゆっくり歩き出す。歩幅は同じだ。
「どこ行く?」
「んー。都会じゃないところがいいな」
「さんせーい」
普段、臨也は新宿か池袋に生息している。俺も働いているのは渋谷だ。
俺は生まれてこの方関東地方にいるわけだが、そろそろ都会のビル群を見るのも飽きてきた。
「自然と触れ合える所がいいかなー」
「例えば?」
「動物園とか?」
「動物園は自然じゃないでしょ」
「じゃあ水族館?」
「水族館も自然じゃなくて魚じゃん」
「文句言うなよなー。じゃあ臨也はどこがいいんだよ」
「大きい公園とか」
ふっと新宿御苑、と思ったが、臨也も同じことを思いついたようで、彼は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「自然は自然でも、ビルが見えない所がいい」
「東京からじゃ無理でしょ。日帰りで。しかももう昼なるし」
気がつけば午前11時。北関東の方まで行けば俺たちの目当ての"自然"はあるかもしれないが、日帰りでは流石に厳しいだろう。
「……うーん」
お互いにダメ出しをしていると、考えるのに疲れてしまった。
「でもさ、臨也」
「ん?」
「……俺、休みの日に、臨也と1日一緒に居れるだけで、嬉しいよ?」
本音をぽろりと漏らすと、少し驚いたような顔をした後に、彼は笑った。
「可愛いこと言わないでよ」
「可愛くはねーだろ」
「俺も、澪士と一緒に居れるだけで嬉しい」
そう、改めて臨也から言葉を返されると、何だか恥ずかしくなる。
まるで、世界に存在するのは互いだけでいい、と言っているような気がして。
「……でも、折角だから、少し近くでも散歩しようか」
「うん」
住まいは新宿。外に出れば自然なんてものは乏しく、更に俺たちにも危険がつきまとう。
何故かって? 臨也があまりにも有名人だからだ。
「さ、行こう」
玄関に並んだ男物の靴。
サイズはそんなに変わらないけれど、臨也の方が僅かに、0.5cmだけ、俺のより大きい。
「すごい、久しぶり。こういうの」
「本当は、もっと澪士と過ごす時間、増やしたいんだけど」
「ううん、これでもう十分嬉しいから」
最近、臨也は夜はほぼ毎日帰ってきてくれる。
夕食を共に摂れることは、至福だ。一緒に暮らしている実感を得られる。
――尤も、俺の体調(主に身体面)に支障をきたすことも増えたけど。
「はい」
「?」
「手」
マンションから出て外に出ると、臨也が手を差し出してくる。
よく分からず戸惑っていると、臨也の左手が、俺の右手を掴まえた。
「え、でも、」
「いいよ。悪口なんて、誰にも言わせる気はないから」
まだ世間は、男同士の恋愛には寛容ではない。男同士で手を繋いでいれば、気持ち悪いと思われるだろう。
だから俺も臨也も何となく遠慮して、外で共に歩くこともそもそもあまりなかったし、共に居たとして、ほんの少し距離を空けて歩くことが普通だった。
「……嬉しい」
臨也に近づき、指を絡める。まだ隠すことなく堂々と、なんて出来ないけれど、これが俺たちの恋愛の形なのだから、誰にも文句を言わせるつもりはない。
「ぐるっとひと回りしようか」
「帰りにコンビニでおやつ買って帰ろう」
「うん」
俺たちはゆっくり歩き出す。歩幅は同じだ。