二人暮らし(dr/臨也)
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「暑っつー……」
まるで融けてしまいそうな暑さの日だった。
俺は部屋から出ないと決め込み、エアコン直下を居場所として陣取る。
――とは言っても、もう1人の同居人は今は居ないわけで、この場所が脅かされる筈もないのだけれど。
「……暇だなー」
最もエアコンの風の当たる場所に居る上に、ぱたぱたとうちわで自身を扇ぐ。寒がりの女性なんかが見たら卒倒してしまうだろうか。
しかしこれ以外に特にやることもなく、休日の昼間のテレビはつまらなくて、俺はカーペットの上に寝転がった。
最近、夜は暑くて寝苦しく、なかなか寝られない。
多分臨也と同じベッドで寝ているせいもあるのだろう。十分に広いベッドだと思っているけれど。
「接触冷感とかっていう素材のやつ……買ったら涼しいのかなー」
巷では"接触冷感素材"という特殊な素材? で出来た寝具が人気らしい。何でも普通の布団やマットレスで寝るより涼しいんだとか。
原理は分からないが、触れる人の熱を逃がしてくれるものらしい。凄すぎてもうよく分からない。
「でも……買いに行くのは、暑い……」
そんなことを考えていると、俺は微睡みの世界に誘われた。
どれくらい寝ただろう。何度か寝返りを繰り返し、何か柔らかいものにぶつかって、漸く目を覚ました。
「ん……?」
目を開けると、そこには黒い塊が。
驚いてがばっと起きる。
「澪士……?」
「あ……臨也か」
同じくカーペットの上に転がっていたのは臨也だった。いつからここにいたのだろうか。
「おかえり」
「んー……ただいま」
「寝てたの? ここで」
「うん」
気がつけば、俺たちの上にはタオルケットが掛かっている。エアコンは相変わらずだ。
「いつ帰ってきたの?」
「さっき……? 30分前くらい?」
「何でここで寝てるの?」
「本当は澪士にこれ掛けて、色々やろうと思ったんだけど、見てたら眠くなって」
そう眠そうな顔で言う臨也は新鮮だった。大体いつも、俺が先に寝て、俺より少し早く臨也が起きるような生活だから。
そうなんだ、と答えながらタオルケットをのけようとして触れると、はっとする。
「これ……こんなタオルケット、今までうちにあったっけ?」
「いや、今日買ってきた」
「え、そうなの?」
「最近暑いから。接触冷感だっけ? 涼しいらしいから、買ってみた」
「臨也……」
以心伝心なのだろうか? それとも暑さ対策に考えることは同じということだろうか。
目を上げてみれば少し向こうの方に何だか大きな包も見える。透明だからマットレスに見えるのだが、これをまさか買ってここまで自力で持って帰ってきたとか?
「……何考えてるのか知らないけど、あのマットレスは、さっき宅配便が来て届けてくれたやつだからね?」
「あっ、何だ。よかった。安心した」
そうか、さっき寝てる時に、隣に何だか熱いものがあると思って逃げようとしたけれど、いつもより暑くなく感じたのはそういうわけか。
これは少し期待が持てるかもしれない。接触冷感のマットレスを試したくなってきた。
「ねえ、臨也。寝る? 起きて一緒に布団の入れ替えしない?」
「んー、いいよ。少し寝たし」
「本当に? やったー」
俺からまだ眠気の取れきっていない臨也の額にキスをする。
「なに?」
「接触冷感のお礼」
「珍しいね、そういうの」
遅れて起き上がってきた臨也は、俺の手を引いて腕の中に閉じ込める。
暑い、と文句を言ったが唇を封じられた。
「……夜、涼しくなるかな?」
「なるでしょ。これこんな涼しく感じたし」
「そうかな?」
楽しみ、と言う臨也の表情は、……見なかったことにしておこう。
夜は何とかその煩わしい体温から逃げ切ると決めた。拒み切れるか分からないけど。
まるで融けてしまいそうな暑さの日だった。
俺は部屋から出ないと決め込み、エアコン直下を居場所として陣取る。
――とは言っても、もう1人の同居人は今は居ないわけで、この場所が脅かされる筈もないのだけれど。
「……暇だなー」
最もエアコンの風の当たる場所に居る上に、ぱたぱたとうちわで自身を扇ぐ。寒がりの女性なんかが見たら卒倒してしまうだろうか。
しかしこれ以外に特にやることもなく、休日の昼間のテレビはつまらなくて、俺はカーペットの上に寝転がった。
最近、夜は暑くて寝苦しく、なかなか寝られない。
多分臨也と同じベッドで寝ているせいもあるのだろう。十分に広いベッドだと思っているけれど。
「接触冷感とかっていう素材のやつ……買ったら涼しいのかなー」
巷では"接触冷感素材"という特殊な素材? で出来た寝具が人気らしい。何でも普通の布団やマットレスで寝るより涼しいんだとか。
原理は分からないが、触れる人の熱を逃がしてくれるものらしい。凄すぎてもうよく分からない。
「でも……買いに行くのは、暑い……」
そんなことを考えていると、俺は微睡みの世界に誘われた。
どれくらい寝ただろう。何度か寝返りを繰り返し、何か柔らかいものにぶつかって、漸く目を覚ました。
「ん……?」
目を開けると、そこには黒い塊が。
驚いてがばっと起きる。
「澪士……?」
「あ……臨也か」
同じくカーペットの上に転がっていたのは臨也だった。いつからここにいたのだろうか。
「おかえり」
「んー……ただいま」
「寝てたの? ここで」
「うん」
気がつけば、俺たちの上にはタオルケットが掛かっている。エアコンは相変わらずだ。
「いつ帰ってきたの?」
「さっき……? 30分前くらい?」
「何でここで寝てるの?」
「本当は澪士にこれ掛けて、色々やろうと思ったんだけど、見てたら眠くなって」
そう眠そうな顔で言う臨也は新鮮だった。大体いつも、俺が先に寝て、俺より少し早く臨也が起きるような生活だから。
そうなんだ、と答えながらタオルケットをのけようとして触れると、はっとする。
「これ……こんなタオルケット、今までうちにあったっけ?」
「いや、今日買ってきた」
「え、そうなの?」
「最近暑いから。接触冷感だっけ? 涼しいらしいから、買ってみた」
「臨也……」
以心伝心なのだろうか? それとも暑さ対策に考えることは同じということだろうか。
目を上げてみれば少し向こうの方に何だか大きな包も見える。透明だからマットレスに見えるのだが、これをまさか買ってここまで自力で持って帰ってきたとか?
「……何考えてるのか知らないけど、あのマットレスは、さっき宅配便が来て届けてくれたやつだからね?」
「あっ、何だ。よかった。安心した」
そうか、さっき寝てる時に、隣に何だか熱いものがあると思って逃げようとしたけれど、いつもより暑くなく感じたのはそういうわけか。
これは少し期待が持てるかもしれない。接触冷感のマットレスを試したくなってきた。
「ねえ、臨也。寝る? 起きて一緒に布団の入れ替えしない?」
「んー、いいよ。少し寝たし」
「本当に? やったー」
俺からまだ眠気の取れきっていない臨也の額にキスをする。
「なに?」
「接触冷感のお礼」
「珍しいね、そういうの」
遅れて起き上がってきた臨也は、俺の手を引いて腕の中に閉じ込める。
暑い、と文句を言ったが唇を封じられた。
「……夜、涼しくなるかな?」
「なるでしょ。これこんな涼しく感じたし」
「そうかな?」
楽しみ、と言う臨也の表情は、……見なかったことにしておこう。
夜は何とかその煩わしい体温から逃げ切ると決めた。拒み切れるか分からないけど。