夕暮れに問う(庭球/鳳)
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翌日少し早めに学校へ行くと、一昨日俺を呼び出した女子が鬼の形相で登校してきた。
「ねえ澪士くん、話があるの」
「えっ?」
まさか、映画は断ったし。その話をしなければ。
そう思いながら、一昨日と同じ場所へ着いていく。
「昨日、何してたの」
「そうだ、映画断ったから。安心して」
「違う!」
大声を出され驚く。
「本当に気持ち悪いのよ、あんた。昨日鳳くんと抱き合ってたでしょ?」
「!」
なんで、と口は動くが、声が出なかった。
「あんたは知らないと思うけど、私の家本当にすぐ近くなの」
「え……」
「何なの? もう邪魔すんなって言ったでしょ。ふざけないで」
怒りの塊をぶつけられ、反論もできない。
「これ以上鳳くんに近づかないで。鳳くんに相応しいのは私なの」
「……」
「私が鳳くんと付き合うの。あんた男でしょ、キモいから本当に。死んでくれない?」
再び言いたいだけ言った後、女子は先に戻っていった。
今度は何の反論の余地もなかった。心が弱っているだけかもしれないけれど。
確かに男同士が抱き合っているのは気持ち悪いと思う。当事者である俺はそうは思えないけれど。
死んでくれない、と言われてもただただ心に突き刺さって悲しかったが、真っ向から否定の言葉をぶつける気にはなれなかった。
そうして暫くぼーっと立ち尽くしていると、廊下の向こうから長太郎がやってきたことに気がついた。
「澪士!」
「!」
今のこの瞬間は長太郎とどうしても目を合わせたくなくて、思わず後ろを向いた。
「探したよ。そろそろ授業始まるけど……澪士?」
肩に触れた手を思わず払い除けてしまう。
「あ……」
「澪士、どうしたの?」
「ごめ、」
とても酷いことをしてしまったのに、長太郎の問いかけはあくまで優しい。
けれどその優しさが今は胸に刺さる。
「……もう、関わらないようにしよう」
「え?」
「俺たち多分、一緒にいてもいいことないから」
それだけ答え、俺は長太郎の横を通り抜け、先に教室に戻る。
これ以上何かを言ったところで無駄だし、何の慰めにもならない。そう思った。
「ねえ澪士くん、話があるの」
「えっ?」
まさか、映画は断ったし。その話をしなければ。
そう思いながら、一昨日と同じ場所へ着いていく。
「昨日、何してたの」
「そうだ、映画断ったから。安心して」
「違う!」
大声を出され驚く。
「本当に気持ち悪いのよ、あんた。昨日鳳くんと抱き合ってたでしょ?」
「!」
なんで、と口は動くが、声が出なかった。
「あんたは知らないと思うけど、私の家本当にすぐ近くなの」
「え……」
「何なの? もう邪魔すんなって言ったでしょ。ふざけないで」
怒りの塊をぶつけられ、反論もできない。
「これ以上鳳くんに近づかないで。鳳くんに相応しいのは私なの」
「……」
「私が鳳くんと付き合うの。あんた男でしょ、キモいから本当に。死んでくれない?」
再び言いたいだけ言った後、女子は先に戻っていった。
今度は何の反論の余地もなかった。心が弱っているだけかもしれないけれど。
確かに男同士が抱き合っているのは気持ち悪いと思う。当事者である俺はそうは思えないけれど。
死んでくれない、と言われてもただただ心に突き刺さって悲しかったが、真っ向から否定の言葉をぶつける気にはなれなかった。
そうして暫くぼーっと立ち尽くしていると、廊下の向こうから長太郎がやってきたことに気がついた。
「澪士!」
「!」
今のこの瞬間は長太郎とどうしても目を合わせたくなくて、思わず後ろを向いた。
「探したよ。そろそろ授業始まるけど……澪士?」
肩に触れた手を思わず払い除けてしまう。
「あ……」
「澪士、どうしたの?」
「ごめ、」
とても酷いことをしてしまったのに、長太郎の問いかけはあくまで優しい。
けれどその優しさが今は胸に刺さる。
「……もう、関わらないようにしよう」
「え?」
「俺たち多分、一緒にいてもいいことないから」
それだけ答え、俺は長太郎の横を通り抜け、先に教室に戻る。
これ以上何かを言ったところで無駄だし、何の慰めにもならない。そう思った。