君が好きだ(オムニバス)
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「ねえねえねえねえエリオットー」
「寄るなレイシうるせえ!」
性懲りもなくエリオットの部屋に顔を出し、俺は一生懸命話しかける。
けれどその度、エリオットは俺を激しく拒絶する。
何だよ、そう言っておいて、俺のことそんなに嫌いじゃないくせに。
「さっきまで仕事で疲れてんだから寝かせろ!」
「ええじゃあ風呂入った方がいいよ? 血の臭いやばくない? いくら慣れてても血の臭い取れなくなったらちょっと趣味悪いよ? 俺が一緒に入ってあげるよ」
「入ったっつーの!」
「ええー何だ残念」
エリオットはベッドの上でぐるりと身体を回転させ、俺に背を向ける。
だけどベッドに座った状態の俺には無駄だ。上からエリオットを見下ろせるもんね。
「ねえエリオット、俺が一緒に寝てあげようか? 1人で寝るのは寂しいでしょ?」
「俺は静かに寝たいんだよ!」
「大丈夫、俺も一緒に寝るから。寝たら静かだよ?」
「レイシお前寝相悪いだろ!」
何で彼が俺の寝相のことを知っているかと言えば、そりゃあ当たり前だ、俺が夜這いしたことがあるからだ。残念ながら夜這いは失敗した。なぜなら俺が途中で寝落ちしたから。
その時にエリオットのベッドに運良く入れたのだが、朝になって起きてみれば、エリオットの顔がとんでもなく怒っていた。どうやら俺の寝相はとんでもないらしい。まあ実は自分でもちょっと分かってた。
「やっぱり? 朝起きたらクローゼットの前とかに居るんだよね」
「それ最早夢遊病だろ! どうやったらベッド落ちてテーブル乗り越えてクローゼットにたどり着くんだよ? ていうか途中で起きろよ!」
「本当そう思うよね」
とんでもないことだと思われているらしいが、俺も自分で思ってる。ここのベッドは床からかなりの高さがあるし、普通そこから落ちただけで起きる。
「ねえエリオット、でも――」
「黙れ」
それでも更に言葉を重ねようとすると、エリオットはぱっと身体を起こし、俺の方へ向き直る。
俺が何かアクションを取るより早く俺の身体全体をベッドの上に引き上げ、俺は押し倒された。
そのままのしかかられる。両手をひとまとめにされて右腕一本で制圧され、左手は俺の口に当てる。
「殺すぞ」
本気になった時しか聞かない、普段より数倍低い声。
その声を聞くと、俺は身体の奥がゾク、と熱くなるのを知っている。
「……、」
強く口を掴まれ声は出せないけれど、本当は、エリオット、と呼びたかった。
ああ、このまま、殺してほしい。そうしたら俺は、この幸せな記憶を永久に記憶に留めたまま、再び世界を彷徨えるのに。
「分かったら消えろ」
エリオットはぱっと俺の全てを解放すると、再び俺に背を向けた。そして秒で眠ってしまったようだった。
こうしてしまえば俺は全く抵抗できなくなること、彼はいつの間にか知っていた。知っている上で俺を泳がせておき、面倒になればこうするのだ。
今もまだ脳の髄が痺れて、上手く身体が動かせない。
「エリオット、すき」
もう眠ってしまって聞こえないだろうから、俺はそっと呟き、身体が満足に動くようになると、そっと部屋から出て行った。
マフィア帽子屋を抜け出してから大体1週間。ここでは日にちも当てにならない。
俺はハートの女王の城を訪ねてきており、無理を言って部屋を得ていた。
皆優しい。少なくとも俺には。
「間が遠なりゃ契が薄い……とは言うけれど」
俺は元々帽子屋の一味ではない。たまたま帰る場所がなくなったからそこに居候していただけだ。勿論その分は働いたし、そこでエリオットという、夢中になれる人を見つけてしまったのだけれど。
でもこの前も見事に拒否されたので、悲しくなってここに逃げてきたというわけだ。多分エリオットは俺の行き先を知っている。
それでも探しに来てはくれないということは、そういうことだ。
「俺は、忘れられそうにはないかなー……」
そう言って、はあ、と膝に顔を埋めて溜息をついた。
間が遠なりゃ契は薄い///遠く離れてしまったり会う回数が減ったりすると心の結びつきが薄くなること
「寄るなレイシうるせえ!」
性懲りもなくエリオットの部屋に顔を出し、俺は一生懸命話しかける。
けれどその度、エリオットは俺を激しく拒絶する。
何だよ、そう言っておいて、俺のことそんなに嫌いじゃないくせに。
「さっきまで仕事で疲れてんだから寝かせろ!」
「ええじゃあ風呂入った方がいいよ? 血の臭いやばくない? いくら慣れてても血の臭い取れなくなったらちょっと趣味悪いよ? 俺が一緒に入ってあげるよ」
「入ったっつーの!」
「ええー何だ残念」
エリオットはベッドの上でぐるりと身体を回転させ、俺に背を向ける。
だけどベッドに座った状態の俺には無駄だ。上からエリオットを見下ろせるもんね。
「ねえエリオット、俺が一緒に寝てあげようか? 1人で寝るのは寂しいでしょ?」
「俺は静かに寝たいんだよ!」
「大丈夫、俺も一緒に寝るから。寝たら静かだよ?」
「レイシお前寝相悪いだろ!」
何で彼が俺の寝相のことを知っているかと言えば、そりゃあ当たり前だ、俺が夜這いしたことがあるからだ。残念ながら夜這いは失敗した。なぜなら俺が途中で寝落ちしたから。
その時にエリオットのベッドに運良く入れたのだが、朝になって起きてみれば、エリオットの顔がとんでもなく怒っていた。どうやら俺の寝相はとんでもないらしい。まあ実は自分でもちょっと分かってた。
「やっぱり? 朝起きたらクローゼットの前とかに居るんだよね」
「それ最早夢遊病だろ! どうやったらベッド落ちてテーブル乗り越えてクローゼットにたどり着くんだよ? ていうか途中で起きろよ!」
「本当そう思うよね」
とんでもないことだと思われているらしいが、俺も自分で思ってる。ここのベッドは床からかなりの高さがあるし、普通そこから落ちただけで起きる。
「ねえエリオット、でも――」
「黙れ」
それでも更に言葉を重ねようとすると、エリオットはぱっと身体を起こし、俺の方へ向き直る。
俺が何かアクションを取るより早く俺の身体全体をベッドの上に引き上げ、俺は押し倒された。
そのままのしかかられる。両手をひとまとめにされて右腕一本で制圧され、左手は俺の口に当てる。
「殺すぞ」
本気になった時しか聞かない、普段より数倍低い声。
その声を聞くと、俺は身体の奥がゾク、と熱くなるのを知っている。
「……、」
強く口を掴まれ声は出せないけれど、本当は、エリオット、と呼びたかった。
ああ、このまま、殺してほしい。そうしたら俺は、この幸せな記憶を永久に記憶に留めたまま、再び世界を彷徨えるのに。
「分かったら消えろ」
エリオットはぱっと俺の全てを解放すると、再び俺に背を向けた。そして秒で眠ってしまったようだった。
こうしてしまえば俺は全く抵抗できなくなること、彼はいつの間にか知っていた。知っている上で俺を泳がせておき、面倒になればこうするのだ。
今もまだ脳の髄が痺れて、上手く身体が動かせない。
「エリオット、すき」
もう眠ってしまって聞こえないだろうから、俺はそっと呟き、身体が満足に動くようになると、そっと部屋から出て行った。
マフィア帽子屋を抜け出してから大体1週間。ここでは日にちも当てにならない。
俺はハートの女王の城を訪ねてきており、無理を言って部屋を得ていた。
皆優しい。少なくとも俺には。
「間が遠なりゃ契が薄い……とは言うけれど」
俺は元々帽子屋の一味ではない。たまたま帰る場所がなくなったからそこに居候していただけだ。勿論その分は働いたし、そこでエリオットという、夢中になれる人を見つけてしまったのだけれど。
でもこの前も見事に拒否されたので、悲しくなってここに逃げてきたというわけだ。多分エリオットは俺の行き先を知っている。
それでも探しに来てはくれないということは、そういうことだ。
「俺は、忘れられそうにはないかなー……」
そう言って、はあ、と膝に顔を埋めて溜息をついた。
間が遠なりゃ契は薄い///遠く離れてしまったり会う回数が減ったりすると心の結びつきが薄くなること