君が好きだ(オムニバス)
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「シキ!」
俺が声を掛けると、前を行く黒髪の長身の男が振り向いた。
勿論俺が呼びかける前から彼は気づいていただろう。このトシマでゆっくりと眠ることのできる場所は、ない。
「また貴様か」
「会えて嬉しいよ」
シキの言葉は聞こえない振りをし、俺は言葉を投げる。
「次に前に現れたら斬ると言った筈だ」
「シキは、俺のことを斬りたくないと思ってるってわけ?」
「死ね」
目に見えない速度で刀が抜かれる、俺は死なないように飛び退いた。
どれだけ彼のことを好いていたって、まだ死にたくはないのだ。まだ。
「……俺のドッグタグが、欲しいんだ?」
「いらん」
シキは再びその日本刀を振るう。
しかし手加減しているのか何なのか、決して俺には当たらない位置だ。
「俺、タグを集めなきゃいけないんだ」
俺の話など何も聞いていないだろうが、一方的に話し出す。
「ロイヤルストレートか、フルハウスを集めなきゃ」
「何をするつもりだ?」
「イル・レに会いたいんだ」
俺は弱い。そんな事実は俺が一番知っている。
それでも"王"に会いたい。
この退廃した都市に君臨する王に。
「くだらん」
ぱっと俺は後ろに飛び退く。今度こそ殺す気だったらしい。
「愛してその悪を知り、憎みてその善を知る」
「……、」
「それでも俺は、シキのこと、」
言いかけて再び刀が風を薙ぐ。
どうやら話はここまでにしろ、ということらしい。
「また会えるといいね、シキ」
俺はそう言って路地裏を飛び出す。きっと彼は追いかけてこない。彼にとって、俺は会いたい人ではないらしい。
「……まあ、それでいいよ」
このトシマに居る限り、彼に会う機会は事欠かないだろう。
そうだな、このドッグタグがきっと、再び会うことを許してくれるだろう。
「ねえ……シキ?」
俺は首に下がったスペードのAを握りしめた。
愛してその悪を知り憎みてその善を知る///愛憎の感情に駆られて理性を欠くことなく、物事の善悪を冷静に見極めるべきである
俺が声を掛けると、前を行く黒髪の長身の男が振り向いた。
勿論俺が呼びかける前から彼は気づいていただろう。このトシマでゆっくりと眠ることのできる場所は、ない。
「また貴様か」
「会えて嬉しいよ」
シキの言葉は聞こえない振りをし、俺は言葉を投げる。
「次に前に現れたら斬ると言った筈だ」
「シキは、俺のことを斬りたくないと思ってるってわけ?」
「死ね」
目に見えない速度で刀が抜かれる、俺は死なないように飛び退いた。
どれだけ彼のことを好いていたって、まだ死にたくはないのだ。まだ。
「……俺のドッグタグが、欲しいんだ?」
「いらん」
シキは再びその日本刀を振るう。
しかし手加減しているのか何なのか、決して俺には当たらない位置だ。
「俺、タグを集めなきゃいけないんだ」
俺の話など何も聞いていないだろうが、一方的に話し出す。
「ロイヤルストレートか、フルハウスを集めなきゃ」
「何をするつもりだ?」
「イル・レに会いたいんだ」
俺は弱い。そんな事実は俺が一番知っている。
それでも"王"に会いたい。
この退廃した都市に君臨する王に。
「くだらん」
ぱっと俺は後ろに飛び退く。今度こそ殺す気だったらしい。
「愛してその悪を知り、憎みてその善を知る」
「……、」
「それでも俺は、シキのこと、」
言いかけて再び刀が風を薙ぐ。
どうやら話はここまでにしろ、ということらしい。
「また会えるといいね、シキ」
俺はそう言って路地裏を飛び出す。きっと彼は追いかけてこない。彼にとって、俺は会いたい人ではないらしい。
「……まあ、それでいいよ」
このトシマに居る限り、彼に会う機会は事欠かないだろう。
そうだな、このドッグタグがきっと、再び会うことを許してくれるだろう。
「ねえ……シキ?」
俺は首に下がったスペードのAを握りしめた。
愛してその悪を知り憎みてその善を知る///愛憎の感情に駆られて理性を欠くことなく、物事の善悪を冷静に見極めるべきである