君が好きだ(オムニバス)
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毎日登下校を共にする友人澪士。
自分よりほんの少しだけ低いその目線に気づいて横を向くと、彼はとても楽しそうに笑っていた。
「どうした? 澪士」
「いや、何でも」
何でも、とは言うものの、決してそんな何でもない様子には見えない。
ましてや今は登校中だ、これから憂鬱な学校だ。そんな楽しい筈などないが。
それでも澪士はそれ以上語ってはくれなさそうだったので、これ以上追及することは早々に諦めた。
「なんかさー、こうやって陽介と登校するの、結構普通になったなー、って」
何だ、結局言うんかい。
昭和っぽくずるりと滑り落ちそうになったが、すんでのところで抑える。
「何だよ、それ?」
「転校してきた時、友達が出来るか不安だったんだよ。2年生からっていう微妙な学年だったしさ。でもこうやって、一緒に登下校できる友達ができてよかった」
そう言いながら笑う。けどそれ、別に今しみじみと言うことではないだろう。
「合縁奇縁って、こういうことかな?」
「あいえん……何だって?」
「合縁奇縁」
何度聞いても頭に上手く入ってこない。何だそれ。
「人と人との巡り合いには、縁っていう不思議な力が働いてるって意味だよ」
「あー……それ分かるかも」
「本当に?」
「だって、澪士が転校してこなかったら、俺たちは会わなかったもんな」
「そうそう」
合縁奇縁、か。聞いたこともない言葉だったが、そう説明されると何だか親近感が湧く。
でもどうして突然そんなことを言い出したのか?
「なんか、しみじみと思っちゃってね。陽介とは話もすごい合うし、一緒に居て楽しいから……」
歯切れ悪くそこで止め、澪士は何故か立ち止まる。
不思議に思って振り返ると、少し悲しそうな表情をしていた。
「……澪士? どうした?」
「何でもない」
今度こそ言う気はないようだった。でも、敢えて尋ねないことにする。
きっと考えていることは同じだろうけど、確証はないから、尋ねないことにする。
こうしてずっと毎日、隣を歩いていてほしいけど、そんな日々にはいつか終止符が打たれるのだろうから。
「ねえ陽介、今日も一緒に帰ろう」
「何だよ今更、当たり前だろ?」
「ちょっと遠回りしたい」
「ああ、いいぜ」
それ以降学校に着くまで、あまり会話はしなかった。
饒舌に語るせいで、何かが崩れてしまうのは、嫌だった。
合縁奇縁///人と人との巡り合い、愛し合いには不思議な力が働いていること
自分よりほんの少しだけ低いその目線に気づいて横を向くと、彼はとても楽しそうに笑っていた。
「どうした? 澪士」
「いや、何でも」
何でも、とは言うものの、決してそんな何でもない様子には見えない。
ましてや今は登校中だ、これから憂鬱な学校だ。そんな楽しい筈などないが。
それでも澪士はそれ以上語ってはくれなさそうだったので、これ以上追及することは早々に諦めた。
「なんかさー、こうやって陽介と登校するの、結構普通になったなー、って」
何だ、結局言うんかい。
昭和っぽくずるりと滑り落ちそうになったが、すんでのところで抑える。
「何だよ、それ?」
「転校してきた時、友達が出来るか不安だったんだよ。2年生からっていう微妙な学年だったしさ。でもこうやって、一緒に登下校できる友達ができてよかった」
そう言いながら笑う。けどそれ、別に今しみじみと言うことではないだろう。
「合縁奇縁って、こういうことかな?」
「あいえん……何だって?」
「合縁奇縁」
何度聞いても頭に上手く入ってこない。何だそれ。
「人と人との巡り合いには、縁っていう不思議な力が働いてるって意味だよ」
「あー……それ分かるかも」
「本当に?」
「だって、澪士が転校してこなかったら、俺たちは会わなかったもんな」
「そうそう」
合縁奇縁、か。聞いたこともない言葉だったが、そう説明されると何だか親近感が湧く。
でもどうして突然そんなことを言い出したのか?
「なんか、しみじみと思っちゃってね。陽介とは話もすごい合うし、一緒に居て楽しいから……」
歯切れ悪くそこで止め、澪士は何故か立ち止まる。
不思議に思って振り返ると、少し悲しそうな表情をしていた。
「……澪士? どうした?」
「何でもない」
今度こそ言う気はないようだった。でも、敢えて尋ねないことにする。
きっと考えていることは同じだろうけど、確証はないから、尋ねないことにする。
こうしてずっと毎日、隣を歩いていてほしいけど、そんな日々にはいつか終止符が打たれるのだろうから。
「ねえ陽介、今日も一緒に帰ろう」
「何だよ今更、当たり前だろ?」
「ちょっと遠回りしたい」
「ああ、いいぜ」
それ以降学校に着くまで、あまり会話はしなかった。
饒舌に語るせいで、何かが崩れてしまうのは、嫌だった。
合縁奇縁///人と人との巡り合い、愛し合いには不思議な力が働いていること