君が好きだ(オムニバス)
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「おはよう、澪士。待たせた?」
「おはよー長太郎」
鳳が自身の家から出てくると、そこの門では既に友人澪士が待っていた。
まだ朝6時半だというのにご苦労なことだ。
「待ってないよ? ついさっき来たばっかり」
そうへらりと笑う澪士だが、実は10分前からそこに居たことを、鳳は知っている。
支度が出来た後、2階の窓から彼の所在を知るのが日課なのだ。何て陰気な趣味だろうと自分でも分かっているのだが。
鳳は門を閉め、並んで学校へと歩く。
「長太郎、いつも思うんだけど、テニスバッグって重くないの?」
「重くないけど、何で?」
「いや絶対重いよね。だって俺前持たせてもらった時に重かったもん」
「そういえば……」
以前、澪士が突然、テニスバッグを持たせてくれとか言い出したことがあったな、と鳳は思い出した。あの時はキャディか何かでもやりたいのかと思ったのだが。
鳳はもうすっかりこの重さには慣れてしまったが、帰宅部である澪士の筋力では少しつらいものがあるのだろう。
「それにしても澪士、よくこんな早朝に迎えに来てくれるよね」
「だって通り道だし」
「でも6時半だよ? 澪士は朝練があるわけでもないのに……」
「勉強も兼ねてさ。教室も入れるし」
氷帝学園のテニス部は毎日朝練がある。ないのはテストの時くらいだ。
どうしてこんな風に共に登校し始めたのかといえば、ある日澪士が、興味本位に鳳に尋ねたのだ。テニス部は朝何時から朝練を始めているのかと。
自分は朝は6時半に家を出るようにしている、と答えると、どうやらいたく感激したらしい。
それ以来、時折「起きれない」と連絡がくるものの、少なくとも週に4日以上は早朝に一緒に登校していた。
そして、それは鳳にとって、願ってもない大切な時間だった。
「じゃあ澪士、今度勉強教えてよ」
「えっ長太郎に? 長太郎の方が頭いいでしょ」
「代わりにテニス教えるから」
「ええー?」
ころころと隣で笑う。それが愛しいと思い始めたのは、いつからだろうか。
「いいよ、運動苦手だし」
「でも体育の時間にテニスあるでしょ」
「そうだけど」
「大丈夫、基礎練から始めよう?」
そう鳳が柔らかく言うと、その笑顔に少し戸惑ったのち、澪士はこくりと頷いた。
「そ、それより長太郎もさ……よく、俺と毎日登校してくれるよね」
「ん?」
こんな朝早い時間に付き合ってもらっている、と思っているのは鳳だけではなかった。実はそう言い出した澪士もだ。
元々通学路は鳳の家付近を経由するため、朝、鳳の家に立ち寄ることは何ら苦ではない。
しかし鳳にとって朝の時間は大切なのではないか、もしかしたら自分はそれを邪魔しているのではないか、とも思っていた。
「ううん、そんなことないよ。逢いたいが情、見たいが病……ってね」
「え? なにそれ?」
「何でもない。とにかく、俺も澪士と一緒に登校できて嬉しいってこと」
「本当に?」
それはよかった、と嬉しそうに言う澪士に、鳳は目を細める。
いつの間にか氷帝学園の校門に辿り着いていた。
「じゃあ長太郎、また後で」
「うん。勉強頑張って、澪士」
「長太郎こそ怪我しないように」
そう言って2人は手を叩き合って別れた。
逢いたいが情、見たいが病///相手への想いが強くなると、会いたいという気持ちが常に起こり、その激しい気持ちは非常に抑えがたいということ
「おはよー長太郎」
鳳が自身の家から出てくると、そこの門では既に友人澪士が待っていた。
まだ朝6時半だというのにご苦労なことだ。
「待ってないよ? ついさっき来たばっかり」
そうへらりと笑う澪士だが、実は10分前からそこに居たことを、鳳は知っている。
支度が出来た後、2階の窓から彼の所在を知るのが日課なのだ。何て陰気な趣味だろうと自分でも分かっているのだが。
鳳は門を閉め、並んで学校へと歩く。
「長太郎、いつも思うんだけど、テニスバッグって重くないの?」
「重くないけど、何で?」
「いや絶対重いよね。だって俺前持たせてもらった時に重かったもん」
「そういえば……」
以前、澪士が突然、テニスバッグを持たせてくれとか言い出したことがあったな、と鳳は思い出した。あの時はキャディか何かでもやりたいのかと思ったのだが。
鳳はもうすっかりこの重さには慣れてしまったが、帰宅部である澪士の筋力では少しつらいものがあるのだろう。
「それにしても澪士、よくこんな早朝に迎えに来てくれるよね」
「だって通り道だし」
「でも6時半だよ? 澪士は朝練があるわけでもないのに……」
「勉強も兼ねてさ。教室も入れるし」
氷帝学園のテニス部は毎日朝練がある。ないのはテストの時くらいだ。
どうしてこんな風に共に登校し始めたのかといえば、ある日澪士が、興味本位に鳳に尋ねたのだ。テニス部は朝何時から朝練を始めているのかと。
自分は朝は6時半に家を出るようにしている、と答えると、どうやらいたく感激したらしい。
それ以来、時折「起きれない」と連絡がくるものの、少なくとも週に4日以上は早朝に一緒に登校していた。
そして、それは鳳にとって、願ってもない大切な時間だった。
「じゃあ澪士、今度勉強教えてよ」
「えっ長太郎に? 長太郎の方が頭いいでしょ」
「代わりにテニス教えるから」
「ええー?」
ころころと隣で笑う。それが愛しいと思い始めたのは、いつからだろうか。
「いいよ、運動苦手だし」
「でも体育の時間にテニスあるでしょ」
「そうだけど」
「大丈夫、基礎練から始めよう?」
そう鳳が柔らかく言うと、その笑顔に少し戸惑ったのち、澪士はこくりと頷いた。
「そ、それより長太郎もさ……よく、俺と毎日登校してくれるよね」
「ん?」
こんな朝早い時間に付き合ってもらっている、と思っているのは鳳だけではなかった。実はそう言い出した澪士もだ。
元々通学路は鳳の家付近を経由するため、朝、鳳の家に立ち寄ることは何ら苦ではない。
しかし鳳にとって朝の時間は大切なのではないか、もしかしたら自分はそれを邪魔しているのではないか、とも思っていた。
「ううん、そんなことないよ。逢いたいが情、見たいが病……ってね」
「え? なにそれ?」
「何でもない。とにかく、俺も澪士と一緒に登校できて嬉しいってこと」
「本当に?」
それはよかった、と嬉しそうに言う澪士に、鳳は目を細める。
いつの間にか氷帝学園の校門に辿り着いていた。
「じゃあ長太郎、また後で」
「うん。勉強頑張って、澪士」
「長太郎こそ怪我しないように」
そう言って2人は手を叩き合って別れた。
逢いたいが情、見たいが病///相手への想いが強くなると、会いたいという気持ちが常に起こり、その激しい気持ちは非常に抑えがたいということ