君が好きだ(オムニバス)
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僕は元々かなり重たい人間だ。勿論体重の方ではなく精神面での話。
昔から男の人しか好きになれないというのも変わっていないし、人はそう簡単には変われないんだな、と他人事のように思っている。
「ねえ、どう? これ。スコールに見てほしいんだ」
僕はそういう男を好む男性からは好かれやすいらしく、好きになった人は誰でも落としてきた。しかし相手も満更ではなさそうだったのに、数ヶ月経てば大抵フラれてしまう。合わせ物は離れ物とでも言うのだろうか。
それは何故かと言えば前述の通り、僕の性格が重たすぎるせいだ。
連絡もすごく取りたがるし、一緒に住みたくなる。四六時中共に居たい。
その上恋人が好きだというものに僕も傾倒するし、こういうファッションが好みだと言えばすぐにそのようにした。
相手を支配するのが好きな人なら結構相性が合うのかもしれないけれど、なぜか、僕が好きになる人はそういう人は少なかった。
そしてまた、僕は同じ過ちを犯している。
「これは……?」
「翼、だよ」
今共にホテルの一室に居る彼、スコールとは恋人関係ではない。僕は一夜限りの関係もいくつか持ったことがあるけれど、彼とはそういう関係ですらなかった。
強いて言うなら、"とても大切な人"だ。穢してしまいたくはない程の。
「翼?」
「そう」
僕とスコールは友人関係であり、今日は旅行に来ていて同じ部屋に泊まるだけだ。その方が安上がりだから。
その晩、僕は突然背中を見てほしい、と言い服を脱いだのだ。
興奮なんてものはなかった。微塵もない、とは言い切れないが、僕にとってスコールは、そういう人ではなかった。
「翼のタトゥー」
僕は女性には無関心だ。男性は好きか、嫌いか、無関心か。心から友人と思える人は少なく、大抵は関係を持ってしまい、そのまま消滅していった。
けれどこの人は全く違う。出会ってから一貫して僕の大切な人であり、簡単に関係を持って終わってしまいたくはない程の人だった。だから僕は珍しくも友人関係を続けている。多分、シてしまおうと思えば今直ぐにでも抱いてもらうことは出来ると思う、その程度の自信はある。
でも僕はそれを選ばない。代わりに、背中に翼のタトゥーを入れた。それも大きな。
「何でこんなものを?」
「ん? 前、スコールが言ってたでしょ?」
スコールは明らかに驚いているようだった。それは当然だろう、タトゥーがあるなんて話したことはないから。まあこれを彫ったのはつい最近の話なのだけれど。
「前に、背中に翼の生えた女の子に出会ったって」
そんな筈がない。この世界で翼の生えているものなんて、鳥か魔女だけだ。
それでも僕は、それを語る時のスコールの表情にあまりに胸を締め付けられ、こんなタトゥーを彫ってしまった。
勿論後悔はしていない。すぐ関係の終わってしまう僕の人間関係の中で、彼とだけは唯一、長続きしているから。
「ああ……でも、」
「その時の顔、すごい、」
僕はそれ以上何かを言うのをやめた。スコールが僕の背中に指で触れたからだ。
ともすれば夜の始まりを感じてしまいそうなら触れ方だったけれど、僕とスコールの間に横たわるのはそんなものじゃない。
きっと、泣いているのだろう。彼とはずっと一緒に居る、僕には分かる。
僕は黙ってそのまま、むず痒さを受け入れた。僕たちは離れ物じゃないといい。そんな風に思われる女の子が羨ましかった。
合わせ物は離れ物///縁で結ばれたものにもいつかは離れる時がやってくる
昔から男の人しか好きになれないというのも変わっていないし、人はそう簡単には変われないんだな、と他人事のように思っている。
「ねえ、どう? これ。スコールに見てほしいんだ」
僕はそういう男を好む男性からは好かれやすいらしく、好きになった人は誰でも落としてきた。しかし相手も満更ではなさそうだったのに、数ヶ月経てば大抵フラれてしまう。合わせ物は離れ物とでも言うのだろうか。
それは何故かと言えば前述の通り、僕の性格が重たすぎるせいだ。
連絡もすごく取りたがるし、一緒に住みたくなる。四六時中共に居たい。
その上恋人が好きだというものに僕も傾倒するし、こういうファッションが好みだと言えばすぐにそのようにした。
相手を支配するのが好きな人なら結構相性が合うのかもしれないけれど、なぜか、僕が好きになる人はそういう人は少なかった。
そしてまた、僕は同じ過ちを犯している。
「これは……?」
「翼、だよ」
今共にホテルの一室に居る彼、スコールとは恋人関係ではない。僕は一夜限りの関係もいくつか持ったことがあるけれど、彼とはそういう関係ですらなかった。
強いて言うなら、"とても大切な人"だ。穢してしまいたくはない程の。
「翼?」
「そう」
僕とスコールは友人関係であり、今日は旅行に来ていて同じ部屋に泊まるだけだ。その方が安上がりだから。
その晩、僕は突然背中を見てほしい、と言い服を脱いだのだ。
興奮なんてものはなかった。微塵もない、とは言い切れないが、僕にとってスコールは、そういう人ではなかった。
「翼のタトゥー」
僕は女性には無関心だ。男性は好きか、嫌いか、無関心か。心から友人と思える人は少なく、大抵は関係を持ってしまい、そのまま消滅していった。
けれどこの人は全く違う。出会ってから一貫して僕の大切な人であり、簡単に関係を持って終わってしまいたくはない程の人だった。だから僕は珍しくも友人関係を続けている。多分、シてしまおうと思えば今直ぐにでも抱いてもらうことは出来ると思う、その程度の自信はある。
でも僕はそれを選ばない。代わりに、背中に翼のタトゥーを入れた。それも大きな。
「何でこんなものを?」
「ん? 前、スコールが言ってたでしょ?」
スコールは明らかに驚いているようだった。それは当然だろう、タトゥーがあるなんて話したことはないから。まあこれを彫ったのはつい最近の話なのだけれど。
「前に、背中に翼の生えた女の子に出会ったって」
そんな筈がない。この世界で翼の生えているものなんて、鳥か魔女だけだ。
それでも僕は、それを語る時のスコールの表情にあまりに胸を締め付けられ、こんなタトゥーを彫ってしまった。
勿論後悔はしていない。すぐ関係の終わってしまう僕の人間関係の中で、彼とだけは唯一、長続きしているから。
「ああ……でも、」
「その時の顔、すごい、」
僕はそれ以上何かを言うのをやめた。スコールが僕の背中に指で触れたからだ。
ともすれば夜の始まりを感じてしまいそうなら触れ方だったけれど、僕とスコールの間に横たわるのはそんなものじゃない。
きっと、泣いているのだろう。彼とはずっと一緒に居る、僕には分かる。
僕は黙ってそのまま、むず痒さを受け入れた。僕たちは離れ物じゃないといい。そんな風に思われる女の子が羨ましかった。
合わせ物は離れ物///縁で結ばれたものにもいつかは離れる時がやってくる