このゲームはお預けで(夢100/ドライ)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
息を切らしながら帰ってくると、部屋にレイシを置いてドライはどこかへ行ってしまった。
多分従者に先程あったことを伝えているのだろう、道すがら携帯でも連絡していたが。
5分も経たない内にドライは戻ってきたが、その間、レイシは不安でたまらず床に座り込んでいた。
「レイシ」
ドアの開く音がしてレイシは振り返る。その顔を見たドライは少し驚いたような顔をした。
「ドライ……」
「何で泣いてる?」
「え?」
近づいてくるドライ。手を伸ばしてレイシの頬に触れる。
「……うう……ドライ……」
レイシはぽろぽろと涙を零しながらドライの首に腕を回し抱き寄せた。
ドライは驚きながらも抗うことはしない。
「何だよいきなり」
「ドライ、無事でよかった……」
「……大袈裟だな」
「だってまさか、あんな日常的に、狙われてるなんて……」
想像すればするだけレイシの心には悲しみの波が押し寄せてきて、拭ってくれた筈の涙はとめどなく溢れてきた。もはやちゃんと話せもしない程、呼吸困難になる程しゃくり上げてしまう。
そんな様子を見たドライは、何も言わずにレイシの頭を優しく抱き寄せた。
「ドラ、」
「黙ってろ」
ドライはレイシの顔を見ずに言い放つ。
それが、普段他人との関わりを拒絶するドライなりの精一杯の優しさだと気づき、レイシはますます泣いた。
少し経ってようやくレイシの気持ちが落ち着いた頃、溜息を吐いて、ドライはレイシの隣に座り直した。
「ドライ、ごめん……」
「何で謝る?」
「また……色々迷惑、かけたなって」
呼吸は落ち着き、鼻をかむのもひと段落したレイシはすっかり疲れ切っている。
赤く腫らした目を見られたくなくて、目線は下に落としていた。
「迷惑? 何が」
「俺は……命を狙われるっていうのがどういうことか、考えたことがなかった。聞いた話から想像はしてたんだけど、さっきのを目の当たりにしたら全然違って……すごく、怖いと思ってしまった」
思い返すだけでまた目尻に涙が滲んでくる。
「ドライがあんなに危ない目に遭ってたなんて知らなくて……なのに俺はドライに何もしてあげられなくて……本当に、ごめんなさい」
「……はあ」
言い募るレイシにドライは溜息を吐いた。
「別に僕はレイシに守ってほしいなんて一言も言ってないよな」
「だけど……」
「僕は生まれた時からこの生活だ。ゲームみたいなもんだし――」
「ゲームじゃない!」
レイシは思わず大きな声を上げる。
泣き腫らした赤い目で、涙の溜まった目尻を釣り上げて、ドライに向かって言った。
「ゲームじゃないんだよ、これは! 一歩間違えたら死んじゃうんだ……やり直しなんて効かないのに……ドライ、何で……」
「分かってる」
少しだけ怒りを含んだドライの声に、レイシは我に返る。
そうだ、当たり前だ。そんなこと、この生活の当事者であるドライが一番よく知っているだろう。何故そんな分かり切ったことを上から目線で言ってしまったのか。
レイシは悔いて口を閉ざした。が、そんなレイシの唇を、ドライは指でなぞった。
「お前、僕のことを心配してるのか?」
「心配……してるよ。当たり前じゃん」
「なんで」
「なんでって……」
友達だから、と言おうとして、レイシははっと口をつぐんだ。
――友達? 俺とドライが?
俺は本当に、ドライのことを「友達」だと思っている?
「言えよ」
レイシが何を言いよどんだのか分かったのか、ドライは強い口調で言う。だがレイシは必死に首を横に振った。
「やだ」
「何で」
「言いたくないから」
「何で」
「絶対からかう」
「からかわない」
「それに、俺もよくわからない」
「何が」
「本当に俺がドライのこと好きなのか……」
先程までの酸欠のせいでまだ頭が少しぼうっとしている、レイシはぽろりと言葉を零す。
ドライがそれきり黙ってしまったので、レイシははっと自分の過ちに気づいた。
「いやっ、ドライ! 違う、今のは言葉のあやで!」
「レイシが僕を好きだってことがか?」
「だ、だからそれは、友情的な意味で……」
「……これで攻略完了、か?」
ドライはいつもの笑みを浮かべる。
「嫌だ、ドライ、今のは忘れて」
「何で」
「……さっきも言ったけど……まだそれが、俺の本心か分からないんだ……俺も今、ふっと思ったくらいだから……それに、だとしても……こんな状態では言いたくない……」
言葉を選びながらレイシは目線を下に遣り答えた。
頬は真っ赤になり、今度は恥ずかしさで目の前が滲んでくる。一度泣くともうストップがかかりにくいのかもしれない。
だがレイシは気づいていないが、ドライは少し驚いた顔をしていた。
「……今更それを言うか?」
「……どういう意味?」
「お前はずっと僕のことを好きなんだと思ってた」
「え……」
ドライの言葉に面食らうレイシ。思わず顔を上げると目が合った。
「お前は好きかどうか分からない相手にも、今まで僕にやったようなことをするのか?」
「ドライにしたことって……そんな特別なことしたっけ……」
「……まだ個別ルートに入ったくらいってことか?」
レイシがドライの部屋に通い始めたのは、ドライの父である国王がきっかけだった。だからそれ自体は特別なことではない。
ドライと顔を合わせるのもレイシが休みの時だけで、しかも毎回ではない。だからこれも普通だ。
だとしたら何だろう、とレイシは思った。2人でゲームをしている時だろうか。
「つまり……レイシ」
「なに……?」
「僕が今まで、レイシを攻略しようとしていたのは伝わってなかったってことか?」
レイシは首を傾げる。
「攻略って……つまり、ドライが俺を好きってこと?」
頭がよく回らず、ドライの言葉遊びに付き合ってあげるほどの余裕はなかった。レイシが直接的な表現に言い換えるとドライは苦々しい表情をする。
「……まあ……そう、言ってもいいけど」
「いや……って、ええ!?」
さてドライが俺にしてくれたことって、と思い出そうとしたところで、レイシは自分の言ったとんでもないことに気づいた。
「ま、って。ドライが俺のことすき……?」
「自分で言ったんだろ」
「いや、だって。そんな……」
頭が追い付いていない。レイシは軽く首を横に振る。
夢じゃないか確かめたい、と手の甲をつねったが痛かった。
「ドライが俺のこと好きで、俺がドライのこと好き? ってことは……」
いくら頭が回らなくても、そこまで口に出してしまえばさすがに分かる。
その意味が分かった瞬間、レイシの頬にぶわっと熱が集まった。
「……ドライ……」
「黙れ」
ドライは一言短く、それだけ言うと、ぐいとレイシの肩を引き寄せ唇で言葉を封じる。
慣れない感触にレイシが少し唇を開けるとドライの舌が入り込んでくる。
「ん、」
舌が口内を蹂躙し、レイシが差し出した舌も丁寧に舐められる。
ようやく離れたその瞳は、飢えた獣の様な光を宿していた。
「ドライ、」
「もうお前は僕のものだ。そうだろ?」
レイシは答えない。答えない代わりに、目を瞑った。
多分従者に先程あったことを伝えているのだろう、道すがら携帯でも連絡していたが。
5分も経たない内にドライは戻ってきたが、その間、レイシは不安でたまらず床に座り込んでいた。
「レイシ」
ドアの開く音がしてレイシは振り返る。その顔を見たドライは少し驚いたような顔をした。
「ドライ……」
「何で泣いてる?」
「え?」
近づいてくるドライ。手を伸ばしてレイシの頬に触れる。
「……うう……ドライ……」
レイシはぽろぽろと涙を零しながらドライの首に腕を回し抱き寄せた。
ドライは驚きながらも抗うことはしない。
「何だよいきなり」
「ドライ、無事でよかった……」
「……大袈裟だな」
「だってまさか、あんな日常的に、狙われてるなんて……」
想像すればするだけレイシの心には悲しみの波が押し寄せてきて、拭ってくれた筈の涙はとめどなく溢れてきた。もはやちゃんと話せもしない程、呼吸困難になる程しゃくり上げてしまう。
そんな様子を見たドライは、何も言わずにレイシの頭を優しく抱き寄せた。
「ドラ、」
「黙ってろ」
ドライはレイシの顔を見ずに言い放つ。
それが、普段他人との関わりを拒絶するドライなりの精一杯の優しさだと気づき、レイシはますます泣いた。
少し経ってようやくレイシの気持ちが落ち着いた頃、溜息を吐いて、ドライはレイシの隣に座り直した。
「ドライ、ごめん……」
「何で謝る?」
「また……色々迷惑、かけたなって」
呼吸は落ち着き、鼻をかむのもひと段落したレイシはすっかり疲れ切っている。
赤く腫らした目を見られたくなくて、目線は下に落としていた。
「迷惑? 何が」
「俺は……命を狙われるっていうのがどういうことか、考えたことがなかった。聞いた話から想像はしてたんだけど、さっきのを目の当たりにしたら全然違って……すごく、怖いと思ってしまった」
思い返すだけでまた目尻に涙が滲んでくる。
「ドライがあんなに危ない目に遭ってたなんて知らなくて……なのに俺はドライに何もしてあげられなくて……本当に、ごめんなさい」
「……はあ」
言い募るレイシにドライは溜息を吐いた。
「別に僕はレイシに守ってほしいなんて一言も言ってないよな」
「だけど……」
「僕は生まれた時からこの生活だ。ゲームみたいなもんだし――」
「ゲームじゃない!」
レイシは思わず大きな声を上げる。
泣き腫らした赤い目で、涙の溜まった目尻を釣り上げて、ドライに向かって言った。
「ゲームじゃないんだよ、これは! 一歩間違えたら死んじゃうんだ……やり直しなんて効かないのに……ドライ、何で……」
「分かってる」
少しだけ怒りを含んだドライの声に、レイシは我に返る。
そうだ、当たり前だ。そんなこと、この生活の当事者であるドライが一番よく知っているだろう。何故そんな分かり切ったことを上から目線で言ってしまったのか。
レイシは悔いて口を閉ざした。が、そんなレイシの唇を、ドライは指でなぞった。
「お前、僕のことを心配してるのか?」
「心配……してるよ。当たり前じゃん」
「なんで」
「なんでって……」
友達だから、と言おうとして、レイシははっと口をつぐんだ。
――友達? 俺とドライが?
俺は本当に、ドライのことを「友達」だと思っている?
「言えよ」
レイシが何を言いよどんだのか分かったのか、ドライは強い口調で言う。だがレイシは必死に首を横に振った。
「やだ」
「何で」
「言いたくないから」
「何で」
「絶対からかう」
「からかわない」
「それに、俺もよくわからない」
「何が」
「本当に俺がドライのこと好きなのか……」
先程までの酸欠のせいでまだ頭が少しぼうっとしている、レイシはぽろりと言葉を零す。
ドライがそれきり黙ってしまったので、レイシははっと自分の過ちに気づいた。
「いやっ、ドライ! 違う、今のは言葉のあやで!」
「レイシが僕を好きだってことがか?」
「だ、だからそれは、友情的な意味で……」
「……これで攻略完了、か?」
ドライはいつもの笑みを浮かべる。
「嫌だ、ドライ、今のは忘れて」
「何で」
「……さっきも言ったけど……まだそれが、俺の本心か分からないんだ……俺も今、ふっと思ったくらいだから……それに、だとしても……こんな状態では言いたくない……」
言葉を選びながらレイシは目線を下に遣り答えた。
頬は真っ赤になり、今度は恥ずかしさで目の前が滲んでくる。一度泣くともうストップがかかりにくいのかもしれない。
だがレイシは気づいていないが、ドライは少し驚いた顔をしていた。
「……今更それを言うか?」
「……どういう意味?」
「お前はずっと僕のことを好きなんだと思ってた」
「え……」
ドライの言葉に面食らうレイシ。思わず顔を上げると目が合った。
「お前は好きかどうか分からない相手にも、今まで僕にやったようなことをするのか?」
「ドライにしたことって……そんな特別なことしたっけ……」
「……まだ個別ルートに入ったくらいってことか?」
レイシがドライの部屋に通い始めたのは、ドライの父である国王がきっかけだった。だからそれ自体は特別なことではない。
ドライと顔を合わせるのもレイシが休みの時だけで、しかも毎回ではない。だからこれも普通だ。
だとしたら何だろう、とレイシは思った。2人でゲームをしている時だろうか。
「つまり……レイシ」
「なに……?」
「僕が今まで、レイシを攻略しようとしていたのは伝わってなかったってことか?」
レイシは首を傾げる。
「攻略って……つまり、ドライが俺を好きってこと?」
頭がよく回らず、ドライの言葉遊びに付き合ってあげるほどの余裕はなかった。レイシが直接的な表現に言い換えるとドライは苦々しい表情をする。
「……まあ……そう、言ってもいいけど」
「いや……って、ええ!?」
さてドライが俺にしてくれたことって、と思い出そうとしたところで、レイシは自分の言ったとんでもないことに気づいた。
「ま、って。ドライが俺のことすき……?」
「自分で言ったんだろ」
「いや、だって。そんな……」
頭が追い付いていない。レイシは軽く首を横に振る。
夢じゃないか確かめたい、と手の甲をつねったが痛かった。
「ドライが俺のこと好きで、俺がドライのこと好き? ってことは……」
いくら頭が回らなくても、そこまで口に出してしまえばさすがに分かる。
その意味が分かった瞬間、レイシの頬にぶわっと熱が集まった。
「……ドライ……」
「黙れ」
ドライは一言短く、それだけ言うと、ぐいとレイシの肩を引き寄せ唇で言葉を封じる。
慣れない感触にレイシが少し唇を開けるとドライの舌が入り込んでくる。
「ん、」
舌が口内を蹂躙し、レイシが差し出した舌も丁寧に舐められる。
ようやく離れたその瞳は、飢えた獣の様な光を宿していた。
「ドライ、」
「もうお前は僕のものだ。そうだろ?」
レイシは答えない。答えない代わりに、目を瞑った。