このゲームはお預けで(夢100/ドライ)
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「ドライってさー……苦手なゲームとかないわけ?」」
「特にない」
にべもなく言い放つドライにレイシは溜息を吐いた。
格ゲーを始めてから1時間ほど経つが、レイシはまだ一度もドライに勝てていない。無論レイシはあまり格ゲーが得意ではない、ということもあるのだが、それにしてもドライは強すぎる。その前のパーティーゲームだって協力プレイだって、結局レイシは何の役にも立っていない。
「……ちょっと休憩しよう」
「そうだな」
そう言うとドライは立ち上がった。
どこへ行くのかとじっと見ていると、彼は振り返ってレイシに声を掛ける。
「行かないのか」
「え? どこに」
「散歩」
珍しいな、とレイシは思った。多分行き先は彼のお気に入りの花畑だろう。ドライは日々命を狙われていることもあり不必要な外出は基本的に嫌うが、花畑だけは別だった。
でも元々出不精なのに、そんな所に誘うなんて。
「行く」
それでもレイシは断る理由を持ち合わせてはいない、上着を持ってドライの後に着いていった。
2人は黙って少し歩く。花畑は城の目と鼻の先だ。
ここはドライのお気に入りの場所で、そのことは城の者もよく知っている。だから最低限の警備の者以外はここにはいなかった。
(……どうして)
ドライは着いてすぐに花の上に寝転がった。そこから少し離れてレイシが座る。
もうまるでドライのことなど忘れてしまったかのように、レイシは綺麗な花の茎を触りながら思考に沈んだ。
(どうして俺はドライにあのゲームを渡したんだろう)
試したかったんだ、ドライがこういうゲーム好きなのかどうか――取り繕った言葉、あれは完全な嘘ではないが本心ではない。だが自分でもどこに本音があるのか分からない。
ドライにああいうことをしてほしかった? ――いや違う。自分は現実の男に恋愛感情など抱いていない筈だ。かつて彼女もいたわけだし。そもそもドライがああいうことを出来る人だとは思っていなかった。
レイシはふっと我に返る。先程されたことを思い出して頬が熱くなっていた。
「……どうした?」
「っ!」
そして気が付けばドライは存外近くに居て、隣から覗き込むようにレイシを見ていた。
驚いてレイシは距離を取る。そして気持ちを落ち着けるように深呼吸をした。
「い、いや、何でも……」
「何でもないようには見えない」
ドライが近づいてくる分、レイシは後ずさりをする。その後ずさりをしている間に、はっと気が付いた。
「……ねえ、ドライ」
「なんだ」
「ドライって、もしかして――」
そこまで言った時、ガサガサと花を踏む荒々しい足音が聞こえてきた。
「!」
「レイシ、伏せてろ」
「えっ、何で――」
ドライは鋭く言う。一体何が起きているのか付いていけていないレイシの頭を地面に押さえつけた。同時に立ち上がり彼は花畑の入り口の方へ走っていく。
レイシはできるだけ伏せた状態のまま、何が起きているのか知りたくて、花々の隙間から様子を窺った。
「見つけたぞ、クロフォードの王子ドライ!」
「僕を殺したくてこんな所まで来たのか? ご苦労なことだな」
何やら話し声が聞こえる――決して良さそうなことではないことはレイシにも分かった。
ドライが殺される、そう思った瞬間レイシは草むらから飛び出しそうになったが、どこからか、ザシュッという音が聞こえて人が倒れるような音が聞こえた。
「……だいぶ確率も上がったな」
「ドライ!」
「レイシ、出てきていい」
相変わらず冷静なドライの声が余計に不安を煽り、レイシは弾かれるように地面から立ち上がると、ドライの方に駆けていった。
花畑の入り口では3人の黒スーツの男たちが倒れている。それを見下ろすドライの目の冷たいことといったら。
「ドライ……」
「隣国のスパイか何かだろうな。ここも安全じゃない」
「早く部屋に戻ろう」
「ああ」
レイシが居ても立ってもいられずそう提案すると、ドライは珍しく素直に応じた。
2人はまた何も言葉をかわさず、足早にドライの部屋へと戻った。
「特にない」
にべもなく言い放つドライにレイシは溜息を吐いた。
格ゲーを始めてから1時間ほど経つが、レイシはまだ一度もドライに勝てていない。無論レイシはあまり格ゲーが得意ではない、ということもあるのだが、それにしてもドライは強すぎる。その前のパーティーゲームだって協力プレイだって、結局レイシは何の役にも立っていない。
「……ちょっと休憩しよう」
「そうだな」
そう言うとドライは立ち上がった。
どこへ行くのかとじっと見ていると、彼は振り返ってレイシに声を掛ける。
「行かないのか」
「え? どこに」
「散歩」
珍しいな、とレイシは思った。多分行き先は彼のお気に入りの花畑だろう。ドライは日々命を狙われていることもあり不必要な外出は基本的に嫌うが、花畑だけは別だった。
でも元々出不精なのに、そんな所に誘うなんて。
「行く」
それでもレイシは断る理由を持ち合わせてはいない、上着を持ってドライの後に着いていった。
2人は黙って少し歩く。花畑は城の目と鼻の先だ。
ここはドライのお気に入りの場所で、そのことは城の者もよく知っている。だから最低限の警備の者以外はここにはいなかった。
(……どうして)
ドライは着いてすぐに花の上に寝転がった。そこから少し離れてレイシが座る。
もうまるでドライのことなど忘れてしまったかのように、レイシは綺麗な花の茎を触りながら思考に沈んだ。
(どうして俺はドライにあのゲームを渡したんだろう)
試したかったんだ、ドライがこういうゲーム好きなのかどうか――取り繕った言葉、あれは完全な嘘ではないが本心ではない。だが自分でもどこに本音があるのか分からない。
ドライにああいうことをしてほしかった? ――いや違う。自分は現実の男に恋愛感情など抱いていない筈だ。かつて彼女もいたわけだし。そもそもドライがああいうことを出来る人だとは思っていなかった。
レイシはふっと我に返る。先程されたことを思い出して頬が熱くなっていた。
「……どうした?」
「っ!」
そして気が付けばドライは存外近くに居て、隣から覗き込むようにレイシを見ていた。
驚いてレイシは距離を取る。そして気持ちを落ち着けるように深呼吸をした。
「い、いや、何でも……」
「何でもないようには見えない」
ドライが近づいてくる分、レイシは後ずさりをする。その後ずさりをしている間に、はっと気が付いた。
「……ねえ、ドライ」
「なんだ」
「ドライって、もしかして――」
そこまで言った時、ガサガサと花を踏む荒々しい足音が聞こえてきた。
「!」
「レイシ、伏せてろ」
「えっ、何で――」
ドライは鋭く言う。一体何が起きているのか付いていけていないレイシの頭を地面に押さえつけた。同時に立ち上がり彼は花畑の入り口の方へ走っていく。
レイシはできるだけ伏せた状態のまま、何が起きているのか知りたくて、花々の隙間から様子を窺った。
「見つけたぞ、クロフォードの王子ドライ!」
「僕を殺したくてこんな所まで来たのか? ご苦労なことだな」
何やら話し声が聞こえる――決して良さそうなことではないことはレイシにも分かった。
ドライが殺される、そう思った瞬間レイシは草むらから飛び出しそうになったが、どこからか、ザシュッという音が聞こえて人が倒れるような音が聞こえた。
「……だいぶ確率も上がったな」
「ドライ!」
「レイシ、出てきていい」
相変わらず冷静なドライの声が余計に不安を煽り、レイシは弾かれるように地面から立ち上がると、ドライの方に駆けていった。
花畑の入り口では3人の黒スーツの男たちが倒れている。それを見下ろすドライの目の冷たいことといったら。
「ドライ……」
「隣国のスパイか何かだろうな。ここも安全じゃない」
「早く部屋に戻ろう」
「ああ」
レイシが居ても立ってもいられずそう提案すると、ドライは珍しく素直に応じた。
2人はまた何も言葉をかわさず、足早にドライの部屋へと戻った。