このゲームはお預けで(夢100/ドライ)
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「ドライ! 久しぶり! おはよう!」
「……うるさい……」
レイシの連休2日目。彼は朝からドライの部屋を訪れていた。
1日目は例によって部屋の片づけなど、自分の身の回りのことをしっかり片付け、よく眠った。
今日こそゲームをする日だと手土産を持って城を訪れたのだ。勿論ドライに会う前に国王に謁見し、いつも仲良くさせていただいておりますと挨拶をした。国王はドライとは違い非常に柔和で落ち着いた人で、レイシにいつでも泊まってくれと言ってくれた。どうしたらあの親からこの子が生まれるのだろうか、とベッドに入っていたドライを見ながらレイシは思った。それとも年を取ればあんな風に貫禄が出るのだろうか。
「ねえ、今日はいいものあるんだ」
「いいもの……?」
ドライは完全に寝起きだった。全く回らない頭で布団から顔を出す。眩しい。
「……寝起きのドライ見るなんて、久しぶり。徹夜でもした?」
「クリアした……あれ……」
そう言いながら布団から出た指もなんだかふらふらしており、結局何をプレイしたのかイマイチ分からない。
レイシがそこで大人しくドライの覚醒を待っていてもまた寝落ちされそうなので、布団を引き剥がしてドライの両腕を引いた。
「何だよ……人の睡眠を邪魔するなよ」
「さ、服を着替えて顔を洗う!」
「うるさいな……」
それでもレイシの声にようやくベッドから下りたドライは、上着を脱いでウォークインクローゼットに入っていった。上着の下が裸だったことにレイシは驚いた。
(……意外と鍛えてる?)
不意に裸――といっても上半身だけだが――を見せられたレイシは口元を押さえそんなことを考える。ドライといえば不摂生で部屋から出なくてひょろひょろとしたもやしみたいなイメージがあるが、かいま見たその身体はそうでもなかった。
筋肉がよく付いているわけではないが、程よく引き締まっている。決して病的な痩せではなく、ある程度なら素手でも戦えそうな。
そう考えてレイシは、そうか彼はいつ刺客が現れてもおかしくないからそれなりに動けるようにしているのだろうか、と気づいた。
「……どうした?」
「えっ」
クローゼットから出てきたドライは眉をしかめて立っていた、レイシがそんなことを考えていたのが分かったのだろうか。
「いや、別に、何でも……」
「ふーん」
慌てて答えるとドライは部屋を横切り洗面台へ向かった。さすが王宮、風呂はないが、洗面台くらいなら各部屋にある。
少し待っていると多少すっきりした顔でドライは出てきた。目の下のクマはもう色素沈着しているのだろう。
「で、何? 手土産って。僕をこんな時間に起こす価値くらいの価値があるんだよな?」
「……だといいけど」
そう言いながらレイシは持ってきたビニール袋をドライに差し出した。ドライは受け取ってすぐ中を覗く。
「……これは……」
取り出した中身は、新作のゲームソフト。ドライはタイトルと裏面を確認する。
「まだ持ってない?」
「ああ。買おうと思ってたけどすっかり忘れてた」
「ならよかった」
被ってしまったらどうしようかと思ったが、それはそれだと決めて持ってきたのだった。その場合、寝ているドライを叩き起こした罪は別のなんらかで償わなければいけなかっただろうが。
ドライはソフトを開けながらレイシに問う。
「これ、レイシが開発したやつ?」
「ああ、そう。今日発売したやつね」
「僕にやってほしいってこと?」
「いや別に、そういうわけじゃ……」
とはいえ、そう取られても仕方ないだろうか、とレイシは思った。普段こんなことはしない、むしろ2か月前の例のRPGのように、後から明かすことの方が圧倒的に多い。多分まだ明かしていないソフトもいくつかあるだろうが。
でもドライにプレイしてほしいという気持ちは完全に否定できるものではない。その言葉は押し殺した。
「まあいいよ、昨日ちょうど今までやってたやつ終わったし」
ドライは手慣れた手つきでソフトを入れ替える。それから定位置に座ると、後ろでじっと立っていたレイシを振り返った。
「……何してんの?」
「いや」
いつもだったらレイシはドライの隣辺りに座るのだが、今日は気恥ずかしかった。だからこっそり後ろ辺りから盗み見るか、なんなら今すぐこの部屋を出て、ドライがプレイし終わる頃に帰ってきたいとすら思っていた。
だがドライはそんなレイシを振り返ってじっと見ている。
「来いよ」
「え、」
全く動こうとしないレイシに痺れを切らしたのか、ドライはレイシの手を引く。
そしていつぞやと同じ様にレイシを座らせ、後ろから抱くようにコントローラを握った。
「ドライ、これじゃやりにくいって」
「ノベルゲームなんだろ?」
「そうだけど……」
「何でレイシが僕にやってほしいのか、何となく分かるから、ここで見てろよ」
「……っ」
分かるのか。それはそうか。だとしたらすごく恥ずかしい。
まだ何も始まってないのに、何もされていないのに、レイシは耳が熱くなるのを感じた。
「……うるさい……」
レイシの連休2日目。彼は朝からドライの部屋を訪れていた。
1日目は例によって部屋の片づけなど、自分の身の回りのことをしっかり片付け、よく眠った。
今日こそゲームをする日だと手土産を持って城を訪れたのだ。勿論ドライに会う前に国王に謁見し、いつも仲良くさせていただいておりますと挨拶をした。国王はドライとは違い非常に柔和で落ち着いた人で、レイシにいつでも泊まってくれと言ってくれた。どうしたらあの親からこの子が生まれるのだろうか、とベッドに入っていたドライを見ながらレイシは思った。それとも年を取ればあんな風に貫禄が出るのだろうか。
「ねえ、今日はいいものあるんだ」
「いいもの……?」
ドライは完全に寝起きだった。全く回らない頭で布団から顔を出す。眩しい。
「……寝起きのドライ見るなんて、久しぶり。徹夜でもした?」
「クリアした……あれ……」
そう言いながら布団から出た指もなんだかふらふらしており、結局何をプレイしたのかイマイチ分からない。
レイシがそこで大人しくドライの覚醒を待っていてもまた寝落ちされそうなので、布団を引き剥がしてドライの両腕を引いた。
「何だよ……人の睡眠を邪魔するなよ」
「さ、服を着替えて顔を洗う!」
「うるさいな……」
それでもレイシの声にようやくベッドから下りたドライは、上着を脱いでウォークインクローゼットに入っていった。上着の下が裸だったことにレイシは驚いた。
(……意外と鍛えてる?)
不意に裸――といっても上半身だけだが――を見せられたレイシは口元を押さえそんなことを考える。ドライといえば不摂生で部屋から出なくてひょろひょろとしたもやしみたいなイメージがあるが、かいま見たその身体はそうでもなかった。
筋肉がよく付いているわけではないが、程よく引き締まっている。決して病的な痩せではなく、ある程度なら素手でも戦えそうな。
そう考えてレイシは、そうか彼はいつ刺客が現れてもおかしくないからそれなりに動けるようにしているのだろうか、と気づいた。
「……どうした?」
「えっ」
クローゼットから出てきたドライは眉をしかめて立っていた、レイシがそんなことを考えていたのが分かったのだろうか。
「いや、別に、何でも……」
「ふーん」
慌てて答えるとドライは部屋を横切り洗面台へ向かった。さすが王宮、風呂はないが、洗面台くらいなら各部屋にある。
少し待っていると多少すっきりした顔でドライは出てきた。目の下のクマはもう色素沈着しているのだろう。
「で、何? 手土産って。僕をこんな時間に起こす価値くらいの価値があるんだよな?」
「……だといいけど」
そう言いながらレイシは持ってきたビニール袋をドライに差し出した。ドライは受け取ってすぐ中を覗く。
「……これは……」
取り出した中身は、新作のゲームソフト。ドライはタイトルと裏面を確認する。
「まだ持ってない?」
「ああ。買おうと思ってたけどすっかり忘れてた」
「ならよかった」
被ってしまったらどうしようかと思ったが、それはそれだと決めて持ってきたのだった。その場合、寝ているドライを叩き起こした罪は別のなんらかで償わなければいけなかっただろうが。
ドライはソフトを開けながらレイシに問う。
「これ、レイシが開発したやつ?」
「ああ、そう。今日発売したやつね」
「僕にやってほしいってこと?」
「いや別に、そういうわけじゃ……」
とはいえ、そう取られても仕方ないだろうか、とレイシは思った。普段こんなことはしない、むしろ2か月前の例のRPGのように、後から明かすことの方が圧倒的に多い。多分まだ明かしていないソフトもいくつかあるだろうが。
でもドライにプレイしてほしいという気持ちは完全に否定できるものではない。その言葉は押し殺した。
「まあいいよ、昨日ちょうど今までやってたやつ終わったし」
ドライは手慣れた手つきでソフトを入れ替える。それから定位置に座ると、後ろでじっと立っていたレイシを振り返った。
「……何してんの?」
「いや」
いつもだったらレイシはドライの隣辺りに座るのだが、今日は気恥ずかしかった。だからこっそり後ろ辺りから盗み見るか、なんなら今すぐこの部屋を出て、ドライがプレイし終わる頃に帰ってきたいとすら思っていた。
だがドライはそんなレイシを振り返ってじっと見ている。
「来いよ」
「え、」
全く動こうとしないレイシに痺れを切らしたのか、ドライはレイシの手を引く。
そしていつぞやと同じ様にレイシを座らせ、後ろから抱くようにコントローラを握った。
「ドライ、これじゃやりにくいって」
「ノベルゲームなんだろ?」
「そうだけど……」
「何でレイシが僕にやってほしいのか、何となく分かるから、ここで見てろよ」
「……っ」
分かるのか。それはそうか。だとしたらすごく恥ずかしい。
まだ何も始まってないのに、何もされていないのに、レイシは耳が熱くなるのを感じた。