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このゲームはお預けで(夢100/ドライ)

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レイシ、花畑で何か言いかけただろ」
「……なんだっけ?」

 ドライがレイシの手を握り、レイシがぎこちなく握り返していると、ドライがふいに口を開く。

「僕について」
「……あー」

 そう言われるとレイシにわずかな記憶が甦ってきた。恐怖に追いやられてしまい、ドライに言われなければもう思い出さなかったかもしれない。

「ドライって……俺の事好きなのかなって」
「は?」

 もう気持ちを確かめてしまった今となっては意味のない言葉だが。

「だってドライは基本的に人のこと嫌いだろ。出来るだけ遠ざけようとしているって国王様から聞いたんだ。なのに俺とは仲良くしてくれるし」

 それに、と花をなぞった記憶が甦ったのか、ツ、とレイシの指がドライの掌を滑る。

「ドライは俺のことを心配してくれてるように見えた。だからドライにとって、俺は特別で居れてるんじゃないかって」

 指の腹がドライの掌を撫でると、それだけでドライは息が詰まりそうだった。
 漸く落ち着いたらしいレイシは少し笑みを零す。

「……そうだな」
「あの時もだよ、俺が仕事で忙しくて、ずっと城に来れなかった時。ドライはわざわざ家まで来て、つらかったら城で雇ってもいいって言ってくれたよね」

 あの言葉にどれだけ救われたか、と彼はぽつりと呟いた。

「……あれは本気だ」
「分かってるよ」
「今も」

 ドライが強く言葉を重ねてくるので、レイシは思わずドライの方を見る。

「お前を城で囲ってもいいって言ったんだ」
「……え?」

 囲う、の意味が分からず瞬きをするレイシ

「……やっぱ伝わってなかったか」

 当然だよな、そもそも伝わってるならあんな簡単に断るわけない。ドライは苦々しい気持ちで考える。

「待って、どういう意味? ドライはあの時、仕事で死にかけてた俺が可哀相だって思って、城で雇ってもいいって言ったんじゃないの?」
「……そうだな」
「じゃあどういう――」
「僕はお前に、僕のゲーム相手として、って言った。つまり常に僕と一緒に居ろってことだ」

 常にドライと一緒に? それって――

「……プロポーズ?」

 レイシが恐る恐る尋ねると、ドライは顔を逸らして何も言わなかった。

「ええ!? ちょっと! 否定してよ!」
「否定してほしいのか?」
「いや……えーと!」

 否定してほしいのか、と問われると、そうではない、とレイシは思った。否、そもそも男同士で結婚って選択肢はあるのだろうか。
 いやいやそこに至る前に俺の気持ちはどうなるんだ、と思考が右往左往する。

「……お付き合いからで、お願いします」

 レイシがようやく絞り出せた言葉は、それだけだった。
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