僕は君に愛させたい(FE覚醒/クロム)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「レイシさん、さっきは本当にありがとう。怪我は大丈夫?」
「ああ、いや。リズが無事でよかった。俺の傷はリズが杖で治してくれたから大丈夫」
街で発生していた騒ぎを治め、クロムが地元の警察に引き継いでいる間に、リズが俺に話しかけてくる。
「それならよかった。……でもレイシさんって戦えるんだね。記憶がないのに魔法が使えるなんてすごいよ!」
「うーん、でも、この魔道書を持った瞬間、俺が何をすべきか頭の中に流れ込んできた感じ。だから別に俺は凄くないよ。名前も思い出せないのに……」
名前を思い出せないのに魔法が使えるなんて、一体どんな都合のよい設定なのだろうか。クロムとリズの身を案じるフレデリクのことを考えれば、俺のような者は怪しまれて当然だとも思う。
リズは、相変わらず険しい表情でこちらを見ていたフレデリクの方を振り返った。
「ねえフレデリク、レイシさんに一緒に王宮まで来てもらうの、どうかな?」
「いえリズ様、それでは約束が違います。この街で別れるならということで帯同を許したのですから」
「でもレイシさんは悪い人じゃないよ!」
「俺もそう思う」
「お兄ちゃん!」
いつの間にかクロムが傍まで戻ってきていた。
向こうの方で警察が忙しく働いているのが見えるので、引き継ぎは終わったのだろう。
「レイシは命を懸けて一緒に戦ってくれた。リズのことも庇ってくれた。俺たちの命を狙っているのなら、今の内に殺せた筈だ」
「……それは確かにその通りです」
クロムの言葉にフレデリクは観念したように溜息を吐く。
「……分かりました。一旦王宮までお越しください、レイシさん」
「!」
「レイシ、お前は多分軍師の才能がある。よかったらこのイーリス聖王国が置かれている現状について、もう少し詳しく話させてくれないか」
「えっ、見ず知らずの俺に?」
「一緒に戦ったのに、今更見ず知らずもないだろう?」
微笑むクロムに、確かにそうだが、と言葉を呑み込む。
確かにそうだが、俺には悪意はないが、何故そんな簡単に人を信じられるのだろう。
「……クロム様とリズ様は」
「ん?」
「他人が悪意を持っていることなど考えないのです。まず初めは、人を信じることから始まる」
「ああ、成る程」
フレデリクがぽつりと呟いた言葉は俺だけに届いた。俺は納得して頷く。
2人とも常識が無いわけでは決してない。そういうわけではないのだけれども、人を疑うということを知らないのではないか、と錯覚する程に無邪気に話しかけてくる。
そこで裏切られたらどうなるのだろう。彼らは崩れてしまうのだろうか? それとも裏切るような人間は、この人たちの側に寄ってこられないのだろうか?
「俺は、俺を信じてくれとは簡単には言えない。名前も分からないのに魔法を使えるなんて怪しすぎるから。悪意がないことを証明する方法もない」
「レイシさん、そんなこと言わないで」
「俺たちには分かる。レイシが本当に良い奴だってことは」
他人を疑うことを知らない兄妹たちは言う。
それでいいのだろうか、とも思うけれど、今誰も頼る相手が居ない俺にとっては、本当に有難かった。
「ああ、いや。リズが無事でよかった。俺の傷はリズが杖で治してくれたから大丈夫」
街で発生していた騒ぎを治め、クロムが地元の警察に引き継いでいる間に、リズが俺に話しかけてくる。
「それならよかった。……でもレイシさんって戦えるんだね。記憶がないのに魔法が使えるなんてすごいよ!」
「うーん、でも、この魔道書を持った瞬間、俺が何をすべきか頭の中に流れ込んできた感じ。だから別に俺は凄くないよ。名前も思い出せないのに……」
名前を思い出せないのに魔法が使えるなんて、一体どんな都合のよい設定なのだろうか。クロムとリズの身を案じるフレデリクのことを考えれば、俺のような者は怪しまれて当然だとも思う。
リズは、相変わらず険しい表情でこちらを見ていたフレデリクの方を振り返った。
「ねえフレデリク、レイシさんに一緒に王宮まで来てもらうの、どうかな?」
「いえリズ様、それでは約束が違います。この街で別れるならということで帯同を許したのですから」
「でもレイシさんは悪い人じゃないよ!」
「俺もそう思う」
「お兄ちゃん!」
いつの間にかクロムが傍まで戻ってきていた。
向こうの方で警察が忙しく働いているのが見えるので、引き継ぎは終わったのだろう。
「レイシは命を懸けて一緒に戦ってくれた。リズのことも庇ってくれた。俺たちの命を狙っているのなら、今の内に殺せた筈だ」
「……それは確かにその通りです」
クロムの言葉にフレデリクは観念したように溜息を吐く。
「……分かりました。一旦王宮までお越しください、レイシさん」
「!」
「レイシ、お前は多分軍師の才能がある。よかったらこのイーリス聖王国が置かれている現状について、もう少し詳しく話させてくれないか」
「えっ、見ず知らずの俺に?」
「一緒に戦ったのに、今更見ず知らずもないだろう?」
微笑むクロムに、確かにそうだが、と言葉を呑み込む。
確かにそうだが、俺には悪意はないが、何故そんな簡単に人を信じられるのだろう。
「……クロム様とリズ様は」
「ん?」
「他人が悪意を持っていることなど考えないのです。まず初めは、人を信じることから始まる」
「ああ、成る程」
フレデリクがぽつりと呟いた言葉は俺だけに届いた。俺は納得して頷く。
2人とも常識が無いわけでは決してない。そういうわけではないのだけれども、人を疑うということを知らないのではないか、と錯覚する程に無邪気に話しかけてくる。
そこで裏切られたらどうなるのだろう。彼らは崩れてしまうのだろうか? それとも裏切るような人間は、この人たちの側に寄ってこられないのだろうか?
「俺は、俺を信じてくれとは簡単には言えない。名前も分からないのに魔法を使えるなんて怪しすぎるから。悪意がないことを証明する方法もない」
「レイシさん、そんなこと言わないで」
「俺たちには分かる。レイシが本当に良い奴だってことは」
他人を疑うことを知らない兄妹たちは言う。
それでいいのだろうか、とも思うけれど、今誰も頼る相手が居ない俺にとっては、本当に有難かった。