僕は君に愛させたい(FE覚醒/クロム)
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その後、睨みを利かせるフレデリクの視線を背中に受けつつ、クロムやリズと話しながら街へと向かった。
そこで彼らは王族であり、フレデリクが彼らに仕えているのだと知って慌てた。
「え、お、俺、敬語使ってなかった……」
「レイシさん、気にしないで! 私たち友達みたいなものでしょ?」
「そうだぞ、レイシ。別にそんな態度を取ってほしいわけじゃないんだ。こうして出会えたのも何かの縁だし、さっきまでと同じように気にしなくていいからな」
「クロム様とリズ様はこう仰っていますが、礼儀は忘れないように」
「は、はい……」
このイーリス聖王国の王子と王女なんだそうだ。現在国を治めているのは彼らの姉。こんなに良い人たちなのだからきっとイーリス聖王国はとても住み心地が良いのだろう、とぼんやり思った。
俺は随分と緊張してしまったが、クロムとリズは相変わらず親密な態度で接してくれるので、またどんどん緊張も解れてきた。
さてここがどんな国で他にどんな国があるのか、これから向かっている街がどんな街なのか、を説明してくれている間に、俺たちが目的としていた街に着いた。
「……?」
漸くクロムやリズと離れてくれる、という態度だったフレデリクだったが、クロムは何故だか眉をしかめる。
俺もつられて耳を澄ませてみれば、何だか遠くから騒がしい音が聞こえてくる。
「クロム、行こう」
「ああ」
「えっ、ちょっと2人とも!」
俺がクロムに声を掛けると、当然とばかりにクロムは頷く。
さっさと歩いていく俺たちの背中にリズの焦った声が届く。
「、これは……!」
俺たちが向かった先には市場があった。いつもなら活気があるのだろう。けれど今は人は殆ど居ない。居ても遠巻きに見ているだけだ。
何故ならその市場には火が放たれ、ゴロツキと思しき輩が数人居たからだ。
「おい、お前ら!」
「何だ、邪魔する気か?」
「邪魔する奴には容赦しねえぞ!」
俺が思わず声を出すと、ゴロツキは持っている斧を振りかざして威嚇してくる。
ぐっとひるみかけると、後ろからクロムが俺の肩を叩いた。
「レイシ、お前は戦えないだろう? 下がっていてくれ」
「え、」
見るとクロムは腰に提げた剣の柄を握っている。俺は驚いた。
いくら市場に火を放った(かどうか確信はないが)ゴロツキでも、王子が自国民に剣を向けることがあるのか。それともこれは仕方がないことなのだろうか。
しかし倒れている俺を助けてくれるくらいだから、クロムはきっと正義感が強くて優しい人だ。そんな人に傷つけさせるのはあまりに心が痛んだし、助けてくれた恩を返したいと思った。
(何か、何かないか? 俺ができること……)
ならば俺がその汚れ役を被ってもいいと思った。でも戦うための武器がない。
俺は剣なんて持っていないし、と着ていたマントの内側をまさぐると、なんとそこから本が出てきた。
「これは……」
「魔道書じゃないか?」
「魔道書?」
覗き込んだクロムに言われ、ぱら、と本のページをめくる。
するとその瞬間、ぶわっと俺の脳に情報が流れ込んできた。
「わっ!」
「レイシ、大丈夫か!?」
「だ……大丈夫」
情報は全て整理されたもので、この魔道書に書かれている魔法の内容とその唱え方。俺はもうその魔法の名を呼ぶだけで魔法を自由に扱えるようだった。
遠くからリズが心配そうに見守っているのが分かっていたが、支えてくれたクロムの手を離れ、ゴロツキに向かい合った。
するとその瞬間、またしても何かの情報が流れ込んできた。
「な、なんだ、今度は……」
「レイシさんっ」
「体力が高く攻撃も高いが魔防は低い、斧を持っているから剣に弱く――」
「レイシ、しっかりしろ!」
俺の口が勝手に動き、すらすらと何かの情報を吐き出す。脳みそが理解するのを拒んでいて、受け取った情報をそのまま受け流しているように思えた。
ぐい、とクロムが俺の腕を引く。
俺は思わず魔道書を落としてしまい、クロムと目が合った。
「大丈夫か?」
「クロム、」
流れ込んでくる情報量があまりにも多くて脳が思考停止になっていたが、クロムの目を見ると不思議と落ち着いてくる。
「レイシ」
「……ごめん。ありがとう、クロム」
「どうした? さっきのは。何を呟いていた?」
「あれは……」
いつの間にか近くに来ていたリズが口を挟む。
「多分だけど……あの人たちの情報じゃないかな?」
「情報?」
「体力とか、攻撃とか言ってたもん。斧は剣に弱いとか。だからレイシさんはそういうことが分かるんじゃない?」
「俺が……?」
うわ言の様に呟いていたその内容をちゃんとは覚えていない。でもクロムに腕を掴まれていると不思議と落ち着いてくる。俺は魔道書を拾いながらクロムに言う。
「クロム、お願いがある」
「何だ?」
「きっと……多分、今度は大丈夫だから、俺の手、握っていて」
「手を? 別にいいが」
大丈夫か、と重ねて問うてくるクロム。
俺は頷き、魔道書を開いてゴロツキの方を振り返った。
「っ」
魔法の情報、敵の情報。未だかつててない程の情報量が頭の中に流れ込んでくるけれど、先程のように頭が痺れて何も考えられないような状況という程ではない。
それは多分、この右手の先に繋がっている人が居るからだろう。
クロムの手を一層強く握り、俺は声を上げた。
「サンダー!」
「ぎゃああ!」
俺が唱えた瞬間、敵の身体を稲妻が撃つ。
驚いて斧を振り上げたもう1人の敵は、俺の手を放したクロムが倒してくれた。
「クロム、ありがとう」
「レイシ、魔法が使えるのか?」
「そうみたいだ」
俺たちが目を合わせて頷き合った瞬間、後ろの方でリズの悲鳴が聞こえた。
「きゃあああ!」
「!」
「リズっ」
勢いよく振り返れば、リズに向かって斧を振り上げているゴロツキがいる。
クロムが走り出すより、フレデリクがたどり着くより早く俺はリズとゴロツキの間に立ちはだかり、その斧の一撃を受けた。
「ぐっ!」
「レイシさん! レイシさん!」
「お前っよくもレイシを!」
クロムの一撃で敵は深いダメージを負う。
一方斧をもろに受けた俺は立っていることも出来ず、地面に倒れ伏した。
「リズ様、杖を!」
「そうだっ、レイシさん、すぐ回復するから!」
リズは慌てて杖を取り出す。フレデリクに指摘されるまで気づかなかったのだから相当な慌てようだ。
ローブの肩部分が破れ血がどんどん滲んでくる。何もしなくても痛い、息をするだけで苦しい。
しかしリズが何かを唱えて杖を俺にかざしてくれると、だんだんと痛みがなくなってきた。
「あ……れ?」
「レイシ、大丈夫か!」
「レイシさん、ねえ、大丈夫?」
焦った声のクロム、泣きそうなリズ、心配そうなフレデリク。3人に顔を覗き込まれ俺は焦る。
あっという間に全然痛くない。
恐る恐る肩を触ってみると、ついさっきまで流れていた生暖かい血は手に付いたが、傷自体は塞がっているように思えた。
「リズ……これ、」
「よかったレイシさん、私の杖で、レイシさんを助けることができた……」
「はい、リズ様。もっと自信をお持ちになってください」
リズは呆然としながら呟く。
「レイシ、待っていろ。あと少しで全部片が付く」
「クロム、大丈夫。俺も行く」
「寝ていた方がいいよ、レイシさん! いくら傷が塞がっても……」
「大丈夫」
こんなに治りが早いなんてことがあるのかどうかは分からない。杖には治癒能力を非常に高める効果でもあるのだろうか。
でも俺はクロムの手を借りて立ち上がり、魔道書を持ち直した。
「レイシ、無理は……」
「違う。俺が、クロムを手伝いたい。クロムを、1人でこんな辛い所に送り出したくない」
「レイシ……」
「行こうクロム」
先程と同じようにクロムの手を握ったまま、俺は残っている1人のゴロツキを睨み付ける。あいつを倒せばとりあえず終わりだ。早く消火活動を行わなければ。
「……分かった、ありがとう。レイシ、よろしく頼む」
「うん」
俺たちは各々の武器を手にし、頷いて走り出した。
そこで彼らは王族であり、フレデリクが彼らに仕えているのだと知って慌てた。
「え、お、俺、敬語使ってなかった……」
「レイシさん、気にしないで! 私たち友達みたいなものでしょ?」
「そうだぞ、レイシ。別にそんな態度を取ってほしいわけじゃないんだ。こうして出会えたのも何かの縁だし、さっきまでと同じように気にしなくていいからな」
「クロム様とリズ様はこう仰っていますが、礼儀は忘れないように」
「は、はい……」
このイーリス聖王国の王子と王女なんだそうだ。現在国を治めているのは彼らの姉。こんなに良い人たちなのだからきっとイーリス聖王国はとても住み心地が良いのだろう、とぼんやり思った。
俺は随分と緊張してしまったが、クロムとリズは相変わらず親密な態度で接してくれるので、またどんどん緊張も解れてきた。
さてここがどんな国で他にどんな国があるのか、これから向かっている街がどんな街なのか、を説明してくれている間に、俺たちが目的としていた街に着いた。
「……?」
漸くクロムやリズと離れてくれる、という態度だったフレデリクだったが、クロムは何故だか眉をしかめる。
俺もつられて耳を澄ませてみれば、何だか遠くから騒がしい音が聞こえてくる。
「クロム、行こう」
「ああ」
「えっ、ちょっと2人とも!」
俺がクロムに声を掛けると、当然とばかりにクロムは頷く。
さっさと歩いていく俺たちの背中にリズの焦った声が届く。
「、これは……!」
俺たちが向かった先には市場があった。いつもなら活気があるのだろう。けれど今は人は殆ど居ない。居ても遠巻きに見ているだけだ。
何故ならその市場には火が放たれ、ゴロツキと思しき輩が数人居たからだ。
「おい、お前ら!」
「何だ、邪魔する気か?」
「邪魔する奴には容赦しねえぞ!」
俺が思わず声を出すと、ゴロツキは持っている斧を振りかざして威嚇してくる。
ぐっとひるみかけると、後ろからクロムが俺の肩を叩いた。
「レイシ、お前は戦えないだろう? 下がっていてくれ」
「え、」
見るとクロムは腰に提げた剣の柄を握っている。俺は驚いた。
いくら市場に火を放った(かどうか確信はないが)ゴロツキでも、王子が自国民に剣を向けることがあるのか。それともこれは仕方がないことなのだろうか。
しかし倒れている俺を助けてくれるくらいだから、クロムはきっと正義感が強くて優しい人だ。そんな人に傷つけさせるのはあまりに心が痛んだし、助けてくれた恩を返したいと思った。
(何か、何かないか? 俺ができること……)
ならば俺がその汚れ役を被ってもいいと思った。でも戦うための武器がない。
俺は剣なんて持っていないし、と着ていたマントの内側をまさぐると、なんとそこから本が出てきた。
「これは……」
「魔道書じゃないか?」
「魔道書?」
覗き込んだクロムに言われ、ぱら、と本のページをめくる。
するとその瞬間、ぶわっと俺の脳に情報が流れ込んできた。
「わっ!」
「レイシ、大丈夫か!?」
「だ……大丈夫」
情報は全て整理されたもので、この魔道書に書かれている魔法の内容とその唱え方。俺はもうその魔法の名を呼ぶだけで魔法を自由に扱えるようだった。
遠くからリズが心配そうに見守っているのが分かっていたが、支えてくれたクロムの手を離れ、ゴロツキに向かい合った。
するとその瞬間、またしても何かの情報が流れ込んできた。
「な、なんだ、今度は……」
「レイシさんっ」
「体力が高く攻撃も高いが魔防は低い、斧を持っているから剣に弱く――」
「レイシ、しっかりしろ!」
俺の口が勝手に動き、すらすらと何かの情報を吐き出す。脳みそが理解するのを拒んでいて、受け取った情報をそのまま受け流しているように思えた。
ぐい、とクロムが俺の腕を引く。
俺は思わず魔道書を落としてしまい、クロムと目が合った。
「大丈夫か?」
「クロム、」
流れ込んでくる情報量があまりにも多くて脳が思考停止になっていたが、クロムの目を見ると不思議と落ち着いてくる。
「レイシ」
「……ごめん。ありがとう、クロム」
「どうした? さっきのは。何を呟いていた?」
「あれは……」
いつの間にか近くに来ていたリズが口を挟む。
「多分だけど……あの人たちの情報じゃないかな?」
「情報?」
「体力とか、攻撃とか言ってたもん。斧は剣に弱いとか。だからレイシさんはそういうことが分かるんじゃない?」
「俺が……?」
うわ言の様に呟いていたその内容をちゃんとは覚えていない。でもクロムに腕を掴まれていると不思議と落ち着いてくる。俺は魔道書を拾いながらクロムに言う。
「クロム、お願いがある」
「何だ?」
「きっと……多分、今度は大丈夫だから、俺の手、握っていて」
「手を? 別にいいが」
大丈夫か、と重ねて問うてくるクロム。
俺は頷き、魔道書を開いてゴロツキの方を振り返った。
「っ」
魔法の情報、敵の情報。未だかつててない程の情報量が頭の中に流れ込んでくるけれど、先程のように頭が痺れて何も考えられないような状況という程ではない。
それは多分、この右手の先に繋がっている人が居るからだろう。
クロムの手を一層強く握り、俺は声を上げた。
「サンダー!」
「ぎゃああ!」
俺が唱えた瞬間、敵の身体を稲妻が撃つ。
驚いて斧を振り上げたもう1人の敵は、俺の手を放したクロムが倒してくれた。
「クロム、ありがとう」
「レイシ、魔法が使えるのか?」
「そうみたいだ」
俺たちが目を合わせて頷き合った瞬間、後ろの方でリズの悲鳴が聞こえた。
「きゃあああ!」
「!」
「リズっ」
勢いよく振り返れば、リズに向かって斧を振り上げているゴロツキがいる。
クロムが走り出すより、フレデリクがたどり着くより早く俺はリズとゴロツキの間に立ちはだかり、その斧の一撃を受けた。
「ぐっ!」
「レイシさん! レイシさん!」
「お前っよくもレイシを!」
クロムの一撃で敵は深いダメージを負う。
一方斧をもろに受けた俺は立っていることも出来ず、地面に倒れ伏した。
「リズ様、杖を!」
「そうだっ、レイシさん、すぐ回復するから!」
リズは慌てて杖を取り出す。フレデリクに指摘されるまで気づかなかったのだから相当な慌てようだ。
ローブの肩部分が破れ血がどんどん滲んでくる。何もしなくても痛い、息をするだけで苦しい。
しかしリズが何かを唱えて杖を俺にかざしてくれると、だんだんと痛みがなくなってきた。
「あ……れ?」
「レイシ、大丈夫か!」
「レイシさん、ねえ、大丈夫?」
焦った声のクロム、泣きそうなリズ、心配そうなフレデリク。3人に顔を覗き込まれ俺は焦る。
あっという間に全然痛くない。
恐る恐る肩を触ってみると、ついさっきまで流れていた生暖かい血は手に付いたが、傷自体は塞がっているように思えた。
「リズ……これ、」
「よかったレイシさん、私の杖で、レイシさんを助けることができた……」
「はい、リズ様。もっと自信をお持ちになってください」
リズは呆然としながら呟く。
「レイシ、待っていろ。あと少しで全部片が付く」
「クロム、大丈夫。俺も行く」
「寝ていた方がいいよ、レイシさん! いくら傷が塞がっても……」
「大丈夫」
こんなに治りが早いなんてことがあるのかどうかは分からない。杖には治癒能力を非常に高める効果でもあるのだろうか。
でも俺はクロムの手を借りて立ち上がり、魔道書を持ち直した。
「レイシ、無理は……」
「違う。俺が、クロムを手伝いたい。クロムを、1人でこんな辛い所に送り出したくない」
「レイシ……」
「行こうクロム」
先程と同じようにクロムの手を握ったまま、俺は残っている1人のゴロツキを睨み付ける。あいつを倒せばとりあえず終わりだ。早く消火活動を行わなければ。
「……分かった、ありがとう。レイシ、よろしく頼む」
「うん」
俺たちは各々の武器を手にし、頷いて走り出した。