アルファの受難(FEif/ゼロ)
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※番外編
「……で、仲直りしたってわけ?」
「えへ」
ゼロと話したその足でレオンの部屋へ戻る。
あまり話すと余計なことまでカミングアウトしてしまうと思ったのか、ゼロはレオンの前では押し黙っていたのでしょうがないから僕が全て喋った。
「僕はハヤミ兄さんのこと好きだし、ゼロのことも大切な仲間だと思っているけど……」
「けど?」
「……ハヤミ兄さん、騙されてない?」
珍しく困惑している表情を隠し切れないレオン。
それもそうか、先程までゼロとは仲良く出来ないという旨の話をしていたのだから。
「大丈夫。僕はゼロの全てをすぐに信用するとは言ってない」
「兄さんは人を信用し始めるまでが長いんだよ。一度心を許せばあっという間なんだから」
「そう?」
「マークス兄さんに聞いてみなよ」
溜息を吐きながら答えるレオンに僕は考える。果たしてそうだっただろうか。
「ハヤミ兄さん、1つだけ言っておくよ」
「なに?」
真剣な瞳が僕を射貫く。
「僕は兄さんとゼロがどんな関係になろうと構わない。けどそれが暗夜王国の為にならないのだったら……僕の信念に反するようだったら、その時は、」
レオンはそこで言葉を止めた。僕も先を促さない。
彼の飲み込んだ言葉は痛いほどよく分かった。一応実の兄である僕にそんなことなど言いたくないのだろう。
「……大丈夫。レオンが心配しているようなことは絶対に起こさない。僕は誰を裏切るより、兄妹たちを裏切るのが一番つらくて悲しいから」
頷くとレオンはゼロに向き直る。
「ハヤミ兄さんとの間に何があったかは聞かないけど」
「はい」
「僕が兄さんを許さないのはさっきのたった1つだけれど、ゼロ、お前はそれだけじゃないからね」
「……はい」
ゼロの表情が少し曇った。何か前科でもあるのだろうか。
「まず、当然暗夜王国に害を為す様な行為は許さない。その瞬間にどうなってもいいってことだけは覚えておいて。あとハヤミ兄さんのことを傷つけたらどうなるか分かってるよね。遠征や行軍の時も不用意な真似はしないように」
レオンはくるりと僕の方を振り返る。
「ゼロ、ハヤミ兄さんの所につけようか?」
「いや絶対に要らない」
「絶対に……」
「そう。じゃあゼロは僕の方でちゃんと監視しておくから」
レオンの言葉の端々から、僕のことを想ってくれていることがよく伝わって胸がじんわりと温かくなった。僕はこれ程の愛を弟に伝えられていただろうか。
けれど同時に、僕が厩舎で受けたあの仕打ちを全て伝えれば多分、もうゼロはこの世に欠片さえ残すことは許されないだろうな、とも思った。
「ハヤミ兄さん」
「なに?」
「……これでようやくハヤミ兄さんが幸せになるんだったら、僕は嬉しいけど」
「!」
ふっと細められた目に息が詰まる。
「ハヤミ兄さんはこれで幸せになるの?」
「……僕は……」
ゼロを許し受け入れることは、即ち傷に貼っていた絆創膏を剥がすことだ。一週間と少し経っても傷はまだかさぶたにもなっていなかった。
けどこうして敢えて傷を晒すことで、また皮膚は強く育つのだろう。安直だけれど僕はそれを信じたい。
「……そうだね。幸せになれるかもしれないし、もしかしたらなれないかもしれない」
「兄さん……」
「でも僕は努力するつもりだよ。今までしてきたのと同じように」
僕は一歩近づき、レオンを抱きしめた。
「レオン、ありがとう。僕のこと色々心配してくれて」
「兄さん」
「今度は僕の番だね。レオンのこと信じているし、これからもレオンのこと助けるから」
レオンの手が僕の背中に回ってくる。こんなのは珍しいことだ。レオンが僕に弱みを見せたことなんて一度もないのに。
でもその分、レオンは僕に全てを見せてくれているんだと感じた。そうだ僕は、彼を失望させないように、彼に悲しい思いをさせないように頑張らないと。
レオンと抱き合ったままゼロと目を合わせ、頷いた。
「……で、仲直りしたってわけ?」
「えへ」
ゼロと話したその足でレオンの部屋へ戻る。
あまり話すと余計なことまでカミングアウトしてしまうと思ったのか、ゼロはレオンの前では押し黙っていたのでしょうがないから僕が全て喋った。
「僕はハヤミ兄さんのこと好きだし、ゼロのことも大切な仲間だと思っているけど……」
「けど?」
「……ハヤミ兄さん、騙されてない?」
珍しく困惑している表情を隠し切れないレオン。
それもそうか、先程までゼロとは仲良く出来ないという旨の話をしていたのだから。
「大丈夫。僕はゼロの全てをすぐに信用するとは言ってない」
「兄さんは人を信用し始めるまでが長いんだよ。一度心を許せばあっという間なんだから」
「そう?」
「マークス兄さんに聞いてみなよ」
溜息を吐きながら答えるレオンに僕は考える。果たしてそうだっただろうか。
「ハヤミ兄さん、1つだけ言っておくよ」
「なに?」
真剣な瞳が僕を射貫く。
「僕は兄さんとゼロがどんな関係になろうと構わない。けどそれが暗夜王国の為にならないのだったら……僕の信念に反するようだったら、その時は、」
レオンはそこで言葉を止めた。僕も先を促さない。
彼の飲み込んだ言葉は痛いほどよく分かった。一応実の兄である僕にそんなことなど言いたくないのだろう。
「……大丈夫。レオンが心配しているようなことは絶対に起こさない。僕は誰を裏切るより、兄妹たちを裏切るのが一番つらくて悲しいから」
頷くとレオンはゼロに向き直る。
「ハヤミ兄さんとの間に何があったかは聞かないけど」
「はい」
「僕が兄さんを許さないのはさっきのたった1つだけれど、ゼロ、お前はそれだけじゃないからね」
「……はい」
ゼロの表情が少し曇った。何か前科でもあるのだろうか。
「まず、当然暗夜王国に害を為す様な行為は許さない。その瞬間にどうなってもいいってことだけは覚えておいて。あとハヤミ兄さんのことを傷つけたらどうなるか分かってるよね。遠征や行軍の時も不用意な真似はしないように」
レオンはくるりと僕の方を振り返る。
「ゼロ、ハヤミ兄さんの所につけようか?」
「いや絶対に要らない」
「絶対に……」
「そう。じゃあゼロは僕の方でちゃんと監視しておくから」
レオンの言葉の端々から、僕のことを想ってくれていることがよく伝わって胸がじんわりと温かくなった。僕はこれ程の愛を弟に伝えられていただろうか。
けれど同時に、僕が厩舎で受けたあの仕打ちを全て伝えれば多分、もうゼロはこの世に欠片さえ残すことは許されないだろうな、とも思った。
「ハヤミ兄さん」
「なに?」
「……これでようやくハヤミ兄さんが幸せになるんだったら、僕は嬉しいけど」
「!」
ふっと細められた目に息が詰まる。
「ハヤミ兄さんはこれで幸せになるの?」
「……僕は……」
ゼロを許し受け入れることは、即ち傷に貼っていた絆創膏を剥がすことだ。一週間と少し経っても傷はまだかさぶたにもなっていなかった。
けどこうして敢えて傷を晒すことで、また皮膚は強く育つのだろう。安直だけれど僕はそれを信じたい。
「……そうだね。幸せになれるかもしれないし、もしかしたらなれないかもしれない」
「兄さん……」
「でも僕は努力するつもりだよ。今までしてきたのと同じように」
僕は一歩近づき、レオンを抱きしめた。
「レオン、ありがとう。僕のこと色々心配してくれて」
「兄さん」
「今度は僕の番だね。レオンのこと信じているし、これからもレオンのこと助けるから」
レオンの手が僕の背中に回ってくる。こんなのは珍しいことだ。レオンが僕に弱みを見せたことなんて一度もないのに。
でもその分、レオンは僕に全てを見せてくれているんだと感じた。そうだ僕は、彼を失望させないように、彼に悲しい思いをさせないように頑張らないと。
レオンと抱き合ったままゼロと目を合わせ、頷いた。
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