アルファの受難(FEif/ゼロ)
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※18禁
その日は時間が何となくゆっくり流れていった。
僕自身は、遠征の翌日にはあまりハードなスケジュールを組まないことにしている。勿論王族だからそんな悠長なことを言っていられるわけでもないのだけれど。
マークス兄さんなんかは父上と色々話し合っているみたいだし、今後の戦略について少し話そうと呼ばれたこともあった。
それでもカミラ姉さんと話したり、エリーゼと遊んでやる時間も取れた。明後日からはまた遠征に行かねばならないから、明日は色々と準備をしなければ。
ゆっくりできるのも今日だけか、と思いながらいつもより早めの時間にベッドに入った。
しかし、昨日と同じように、なかなか寝付けなかった。
「……はあ……」
今度は奴に会うまい、会わないためには自室から出なければいいのだと、2時間ほどベッドの上で粘ったのだが、一向に眠れる気配がせず。
本当にカウンセラーを呼ばなければいけないかもしれない。そんな危惧さえ抱いた。
「誰かと話したい気分ではないな……」
フェリシアやジョーカーなら多分すぐ捕まるだろう。けど彼らと話したい気分ではない。今は静かなところでじっと気持ちを休めたい。
僕は再び身支度を整えた。当然剣は忘れない。
部屋から出て、音を立てないよう厩舎へ向かった。昨日より遅い時間だが、馬がいればぐるっと一周して戻ることなど訳ないだろうと考えたのだ。
「さて、見張りの兵士には何て言い訳しようか」
一人考えながら歩いていくと、厩舎の前には何故か兵士が居なかった。大抵、一人か二人はここにいるのだ、夜でも。外出が必要ならその兵士に頼めば馬を引いてきてくれる。
しかし居ないのならそれはそれで好都合だ。僕は迷うことなく厩舎の中に入った。
「どの馬に……ん?」
ここにはマークス兄さんやレオンやエリーゼが乗るような馬はいない。王族の馬はまた別の厩舎で管理されているのだ。ここは一般兵らが乗るための馬が繋がれている。
僕は街へ出かける時はいつもここの馬に乗っているし、見張りの兵士が居ない時にこっそり出かけることもあるから、どうやってここの馬を連れ出すかも熟知していた。
しかし厩舎の中には人影があり、僕が足元の藁を踏むと、その人は振り返った。
「!」
「ハヤミ様」
そこに居たのはゼロだった。
「何でお前、ここに」
「ハヤミ様こそ、どこかへお出掛けの予定ですか?」
「もういいっ」
口を開いて息を吸った瞬間、噎せ返るような甘い匂いが僕を襲う。
時折城や街で嗅いだことのある、これは、「オメガ」の「ヒート」。
ヒートとは即ち、交尾相手を探すためのフェロモンだ。一定周期で「オメガ」にはヒートが訪れる。ゼロはヒートの最中だというのか?
本当であれば、「アルファ」である僕――加えて運命のつがいかもしれない僕――はここを立ち去ることなど出来ない筈だった。その甘い匂いは僕を掴んで離さない。
「うっ……」
けれど、けれど。僕は自身を叱咤する。さあ早くこの厩舎から出ろ、さもないと僕は今の生活全てを失うことになるぞ。
一歩、後ずさった。しかしその瞬間、ゼロがこちらに踏み出してきて、僕の腕を強く引いた。
「な、にっ」
「行かないでください、ハヤミ様」
「放せっ」
僕は床に引き落とされる。仰向けの僕にゼロがのしかかってきた。
甘ったるい匂いが鼻につく。力が抜けていくようだ。
「ハヤミ様、ずっとお会いしたかった」
「は……?」
「あなたを遠くから一目見た時、私の運命のつがいの相手はあなただと分かりました」
「!」
身体が密着する。ゼロの足の間の硬いものが僕の太ももに当たる。
駄目だ、逃げなきゃ。
「僕は、お前が望んでいるようなことはできない」
「大丈夫です。私にお任せください」
「、んっ」
ゼロの目は完全に制御を失った獣のようだった。その瞳に射貫かれ、僕の抵抗心は完全になくなってしまった。かと言って、ゼロを襲うような衝動もない。
何を任せろと言っているのだろうか、と思っていると、その唇が僕の首筋に寄せられた。
思わず自分で発したことのない声が出る。それに驚く間もなく、僕の身体からは力が抜けていく。
「ハヤミ様……あなたとずっとこうしたかったんです」
「なに、いって、」
ゼロの左手が僕の右手を握った。反射的に握り返す。
首筋を丹念に舐めた後、その唇は僕の唇へとたどり着いた。
柔い感触が唇を割り、舌と舌が触れ合う。
「んっ、ん、」
僕はこんなことをするのは初めてだった。だからどうするのが正しいのか分からない。
動く舌を必死に追っていると、突然ゼロの右手が僕の服の下に入ってきて、びくりと身体が震えた。
「あっ、ゼロ、」
「もっと名前を呼んでください、ハヤミ様」
「や、やだっ」
身支度をして出てきたといっても鎧なんか着てくるわけがない。普通の麻の服だ。
だからその手が胸の尖りにたどり着くのは容易だった。
「んっ、やだ、それ」
「すぐよくなりますよ」
声音は優しい。その言葉通り、何度も執拗に触れられると、脳の奥が痺れるような感じになってきた。
最初は嫌だった甘い匂いも、今はそれほど不快には感じない。
「あっ、ん」
「声、聞かせてください」
「あ、やだ、」
服が捲し上げられる。貧相な胸板が晒されるのは嫌なのだが、初めて与えられる感触が多くて身体に上手く力が入らず、抵抗できない。
そしてあろうことかゼロは僕の乳首を口に含んだ。そしてねっとりと舌で舐める。
「あっ、ああっ」
思った以上に大きい声が出て、ゼロの左手で口を塞がれる。
「ん、んん、んっ」
ここは厩舎だ。いつ人が訪れてもおかしくない。というか、そういえば見張りの兵士はどうしたのだろうか。
いつ誰に見られるか分からない、と気づいた瞬間、僕自身の昂ぶりに気づいた。それがより一層硬さを増したのが。
ゼロは僕の胸から口を離し、手もどけた。
「ゼロ、もう、やめて」
「ここまでしてやめられません、今更」
僕の懇願も虚しく、ズボンと下着を太ももまで脱がされる。そしてゼロも性急な手つきで自身のズボンを下げた。
その中から露わになったそれに、僕は思わず息を呑む。他の人のなんて殆ど見たことがないのは当然だが。
「えっ、ちょっと待ってゼロ、待って、」
「待てません」
「何で僕っ、そんなっ、ううっ!」
思わず縮み上がるくらい驚いた。ゼロは僕の両足を持ち上げ、彼自身が僕の秘部に突き立てられたのだ。
えっ、ちょっと待って。僕が挿れられる側なの? えっ?
そんな驚きも言葉に出来ず、襲いくる痛みに必死に耐える。
「やだ、痛い、やめてっ」
「嫌です。何としても受け入れてもらいます」
「だめっ、だめだってば」
僕の必死の言葉も虚しく、いつの間にか、全てが埋め込まれてしまったようだった。一体どこにそんなキャパシティがあったというのだろうか?
呆然としていると、ゼロは腰を動かし始めた。それがまた痛い。
「痛いっ」
「すみません。本当は優しくしてあげたいんですが……」
「優しくなんていらないから、抜いて、」
嗚呼、こんなんじゃまるで僕が女になったみたいじゃないか。ゼロの膝を片手で必死に押し返すがそんなの無駄だった。
しかしその動きを繰り返す内に、不思議と痛みが和らいでくる。一体何故だろう?
「あ、あっ」
気が付けば自然と声が漏れていた。これは痛みのせいじゃない。ゼロもそれが分かっているのか、ピストンが少しずつ早くなっていた。
「あっ、や、」
ゼロは突然僕のものを握り、上下に動かす。
あまりに直接的な刺激だったので、僕は思わず口走る。
「待ってゼロ、イっちゃう、」
「ああ、俺もそろそろ……」
「あっ、だめっ、そこ」
奥を突かれ、女の様な声を上げた。
「あ、イく、イくっ」
「あっ、俺もっ」
「んっ、あっ、ゼロっ、あっ!」
びく、と身体が震えた。握るゼロの中に精を吐き出す。
一方、ゼロは発射する前に僕の中からそれを引き抜いた。突然の喪失感に秘部がひくりと震えたのが分かる。
「ゼロ……」
「ハヤミ様」
恥ずかしい話だが、僕は女性経験がない。他のきょうだい達がどうなのかは知らないけど、僕はその機会を全て拒絶してきた。
だから、全てが初めての体験だった。しかしまあ、男で他の男にイかされる経験のある人、穴に突っ込まれたことのある人なんて珍しいだろうけれど。
「なんで、こんなこと……」
「あなたのことが好きだから」
「好き、って……」
「でももう、こんなことをしてしまえば、もう俺はレオン様にはお仕えできません」
ゼロのその言葉に僕ははっとした。確かに、僕が誰かにこのことを告げてしまえば、彼など簡単に排除できてしまう。
その目は理性を取り戻していた。そして自分の服を直し、僕の乱れた服も整えてくれた。
「けど、俺があなたに謝ってしまえば、多分あなたを傷つけてしまいますよね。だから俺はこのまま消えます」
「え……?」
「ハヤミ様、どうかお元気で」
勝手にそう言って立ち去るゼロ。厩舎に取り残されたのは僕一人。
暫く呆然としていたが、床に吐き出されたその白濁を見ていると、怒りがこみあげてきた。
「……何もなかったことにするつもりか?」
これは乱暴だ、強姦だ。しかも謝らない、とか勝手なことを言っていた。
勿論僕も謝られたいわけじゃない。しかしこのまま去ることを許してはならなかった。僕は泣き寝入りなんかしない。
ふらつく足を叱咤し、厩舎を出る。どうするのが一番効果的か、一晩考えよう。そうしてから息の根を止めてやる。
僕の原動力は怒りだった。時折尻が痛んだが、そんなの知ったことか。
その日は時間が何となくゆっくり流れていった。
僕自身は、遠征の翌日にはあまりハードなスケジュールを組まないことにしている。勿論王族だからそんな悠長なことを言っていられるわけでもないのだけれど。
マークス兄さんなんかは父上と色々話し合っているみたいだし、今後の戦略について少し話そうと呼ばれたこともあった。
それでもカミラ姉さんと話したり、エリーゼと遊んでやる時間も取れた。明後日からはまた遠征に行かねばならないから、明日は色々と準備をしなければ。
ゆっくりできるのも今日だけか、と思いながらいつもより早めの時間にベッドに入った。
しかし、昨日と同じように、なかなか寝付けなかった。
「……はあ……」
今度は奴に会うまい、会わないためには自室から出なければいいのだと、2時間ほどベッドの上で粘ったのだが、一向に眠れる気配がせず。
本当にカウンセラーを呼ばなければいけないかもしれない。そんな危惧さえ抱いた。
「誰かと話したい気分ではないな……」
フェリシアやジョーカーなら多分すぐ捕まるだろう。けど彼らと話したい気分ではない。今は静かなところでじっと気持ちを休めたい。
僕は再び身支度を整えた。当然剣は忘れない。
部屋から出て、音を立てないよう厩舎へ向かった。昨日より遅い時間だが、馬がいればぐるっと一周して戻ることなど訳ないだろうと考えたのだ。
「さて、見張りの兵士には何て言い訳しようか」
一人考えながら歩いていくと、厩舎の前には何故か兵士が居なかった。大抵、一人か二人はここにいるのだ、夜でも。外出が必要ならその兵士に頼めば馬を引いてきてくれる。
しかし居ないのならそれはそれで好都合だ。僕は迷うことなく厩舎の中に入った。
「どの馬に……ん?」
ここにはマークス兄さんやレオンやエリーゼが乗るような馬はいない。王族の馬はまた別の厩舎で管理されているのだ。ここは一般兵らが乗るための馬が繋がれている。
僕は街へ出かける時はいつもここの馬に乗っているし、見張りの兵士が居ない時にこっそり出かけることもあるから、どうやってここの馬を連れ出すかも熟知していた。
しかし厩舎の中には人影があり、僕が足元の藁を踏むと、その人は振り返った。
「!」
「ハヤミ様」
そこに居たのはゼロだった。
「何でお前、ここに」
「ハヤミ様こそ、どこかへお出掛けの予定ですか?」
「もういいっ」
口を開いて息を吸った瞬間、噎せ返るような甘い匂いが僕を襲う。
時折城や街で嗅いだことのある、これは、「オメガ」の「ヒート」。
ヒートとは即ち、交尾相手を探すためのフェロモンだ。一定周期で「オメガ」にはヒートが訪れる。ゼロはヒートの最中だというのか?
本当であれば、「アルファ」である僕――加えて運命のつがいかもしれない僕――はここを立ち去ることなど出来ない筈だった。その甘い匂いは僕を掴んで離さない。
「うっ……」
けれど、けれど。僕は自身を叱咤する。さあ早くこの厩舎から出ろ、さもないと僕は今の生活全てを失うことになるぞ。
一歩、後ずさった。しかしその瞬間、ゼロがこちらに踏み出してきて、僕の腕を強く引いた。
「な、にっ」
「行かないでください、ハヤミ様」
「放せっ」
僕は床に引き落とされる。仰向けの僕にゼロがのしかかってきた。
甘ったるい匂いが鼻につく。力が抜けていくようだ。
「ハヤミ様、ずっとお会いしたかった」
「は……?」
「あなたを遠くから一目見た時、私の運命のつがいの相手はあなただと分かりました」
「!」
身体が密着する。ゼロの足の間の硬いものが僕の太ももに当たる。
駄目だ、逃げなきゃ。
「僕は、お前が望んでいるようなことはできない」
「大丈夫です。私にお任せください」
「、んっ」
ゼロの目は完全に制御を失った獣のようだった。その瞳に射貫かれ、僕の抵抗心は完全になくなってしまった。かと言って、ゼロを襲うような衝動もない。
何を任せろと言っているのだろうか、と思っていると、その唇が僕の首筋に寄せられた。
思わず自分で発したことのない声が出る。それに驚く間もなく、僕の身体からは力が抜けていく。
「ハヤミ様……あなたとずっとこうしたかったんです」
「なに、いって、」
ゼロの左手が僕の右手を握った。反射的に握り返す。
首筋を丹念に舐めた後、その唇は僕の唇へとたどり着いた。
柔い感触が唇を割り、舌と舌が触れ合う。
「んっ、ん、」
僕はこんなことをするのは初めてだった。だからどうするのが正しいのか分からない。
動く舌を必死に追っていると、突然ゼロの右手が僕の服の下に入ってきて、びくりと身体が震えた。
「あっ、ゼロ、」
「もっと名前を呼んでください、ハヤミ様」
「や、やだっ」
身支度をして出てきたといっても鎧なんか着てくるわけがない。普通の麻の服だ。
だからその手が胸の尖りにたどり着くのは容易だった。
「んっ、やだ、それ」
「すぐよくなりますよ」
声音は優しい。その言葉通り、何度も執拗に触れられると、脳の奥が痺れるような感じになってきた。
最初は嫌だった甘い匂いも、今はそれほど不快には感じない。
「あっ、ん」
「声、聞かせてください」
「あ、やだ、」
服が捲し上げられる。貧相な胸板が晒されるのは嫌なのだが、初めて与えられる感触が多くて身体に上手く力が入らず、抵抗できない。
そしてあろうことかゼロは僕の乳首を口に含んだ。そしてねっとりと舌で舐める。
「あっ、ああっ」
思った以上に大きい声が出て、ゼロの左手で口を塞がれる。
「ん、んん、んっ」
ここは厩舎だ。いつ人が訪れてもおかしくない。というか、そういえば見張りの兵士はどうしたのだろうか。
いつ誰に見られるか分からない、と気づいた瞬間、僕自身の昂ぶりに気づいた。それがより一層硬さを増したのが。
ゼロは僕の胸から口を離し、手もどけた。
「ゼロ、もう、やめて」
「ここまでしてやめられません、今更」
僕の懇願も虚しく、ズボンと下着を太ももまで脱がされる。そしてゼロも性急な手つきで自身のズボンを下げた。
その中から露わになったそれに、僕は思わず息を呑む。他の人のなんて殆ど見たことがないのは当然だが。
「えっ、ちょっと待ってゼロ、待って、」
「待てません」
「何で僕っ、そんなっ、ううっ!」
思わず縮み上がるくらい驚いた。ゼロは僕の両足を持ち上げ、彼自身が僕の秘部に突き立てられたのだ。
えっ、ちょっと待って。僕が挿れられる側なの? えっ?
そんな驚きも言葉に出来ず、襲いくる痛みに必死に耐える。
「やだ、痛い、やめてっ」
「嫌です。何としても受け入れてもらいます」
「だめっ、だめだってば」
僕の必死の言葉も虚しく、いつの間にか、全てが埋め込まれてしまったようだった。一体どこにそんなキャパシティがあったというのだろうか?
呆然としていると、ゼロは腰を動かし始めた。それがまた痛い。
「痛いっ」
「すみません。本当は優しくしてあげたいんですが……」
「優しくなんていらないから、抜いて、」
嗚呼、こんなんじゃまるで僕が女になったみたいじゃないか。ゼロの膝を片手で必死に押し返すがそんなの無駄だった。
しかしその動きを繰り返す内に、不思議と痛みが和らいでくる。一体何故だろう?
「あ、あっ」
気が付けば自然と声が漏れていた。これは痛みのせいじゃない。ゼロもそれが分かっているのか、ピストンが少しずつ早くなっていた。
「あっ、や、」
ゼロは突然僕のものを握り、上下に動かす。
あまりに直接的な刺激だったので、僕は思わず口走る。
「待ってゼロ、イっちゃう、」
「ああ、俺もそろそろ……」
「あっ、だめっ、そこ」
奥を突かれ、女の様な声を上げた。
「あ、イく、イくっ」
「あっ、俺もっ」
「んっ、あっ、ゼロっ、あっ!」
びく、と身体が震えた。握るゼロの中に精を吐き出す。
一方、ゼロは発射する前に僕の中からそれを引き抜いた。突然の喪失感に秘部がひくりと震えたのが分かる。
「ゼロ……」
「ハヤミ様」
恥ずかしい話だが、僕は女性経験がない。他のきょうだい達がどうなのかは知らないけど、僕はその機会を全て拒絶してきた。
だから、全てが初めての体験だった。しかしまあ、男で他の男にイかされる経験のある人、穴に突っ込まれたことのある人なんて珍しいだろうけれど。
「なんで、こんなこと……」
「あなたのことが好きだから」
「好き、って……」
「でももう、こんなことをしてしまえば、もう俺はレオン様にはお仕えできません」
ゼロのその言葉に僕ははっとした。確かに、僕が誰かにこのことを告げてしまえば、彼など簡単に排除できてしまう。
その目は理性を取り戻していた。そして自分の服を直し、僕の乱れた服も整えてくれた。
「けど、俺があなたに謝ってしまえば、多分あなたを傷つけてしまいますよね。だから俺はこのまま消えます」
「え……?」
「ハヤミ様、どうかお元気で」
勝手にそう言って立ち去るゼロ。厩舎に取り残されたのは僕一人。
暫く呆然としていたが、床に吐き出されたその白濁を見ていると、怒りがこみあげてきた。
「……何もなかったことにするつもりか?」
これは乱暴だ、強姦だ。しかも謝らない、とか勝手なことを言っていた。
勿論僕も謝られたいわけじゃない。しかしこのまま去ることを許してはならなかった。僕は泣き寝入りなんかしない。
ふらつく足を叱咤し、厩舎を出る。どうするのが一番効果的か、一晩考えよう。そうしてから息の根を止めてやる。
僕の原動力は怒りだった。時折尻が痛んだが、そんなの知ったことか。