アルファの受難(FEif/ゼロ)
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翌日、フェリシアが起こしに来るより早く起きてしまったので、僕は身支度を整えて部屋から出た。
朝食を摂るような気分でもなかったので――それをフェリシアに言えば彼女は心配するだろうが――コーヒーだけでも飲もうか。
そう思いながら長い廊下を歩く途中、レオンに出会った。
「おはよう、兄さん」
「おはようレオン」
そしてレオンの顔を見た瞬間、僕は尋ねなければならない一つのことを思い出した。
それは正直あまり言いたくないことで、反射的に怪訝な顔をしてしまったのか、レオンは首を傾げる。
「どうしたの?」
「レオンに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
そう、と言って、尋ねる勇気を固めた。
「レオンの臣下の名前」
「臣下? どうしたの? いきなり。前は絶対に聞きたがらなかったのに」
「いや、ね」
相手はよく知らなければならないからね、と答える。
僕が「オメガ」を避けているのはもう誰しもが知っていることなので、今更それについて申し訳ないような口ぶりはしない。
「そう。名前はオーディンとゼロ」
「ゼロ……」
「ゼロが「オメガ」だよ。オーディンは「ベータ」」
「うん」
オーディンには会ったことがあるし、事前に「ベータ」と聞いていたから、戦場に出ても共に戦ったことがある。
しかし、そうか。やはり、レオンの臣下の、ゼロ。
「何かあったの? ハヤミ兄さん」
「いや……」
昨晩見た彼はやはり名乗った通り、レオンの臣下なのだろう。あんな暗夜の森に入る民間人は居ないだろうから、あまり疑っていたわけではないから。
であれば、全て理解できる。あの森で起きたこと、全て。
「そういえば、ハヤミ兄さん、朝食は?」
「ああ、いや、朝食は食べない。コーヒーだけ貰おうかと思って」
「奇遇だね。僕も朝食は要らないと思ってた」
互いに時間があることを確認し、バルコニーで少し話そうかということになった。
レオンは何か訝しんでいるかもしれないが、僕の方にはそのゼロとのことを話すつもりはなかった。多分、ゼロの方もレオンには何も言っていないだろう。
でも、もう会うつもりもない。これまで出会わなかったのだから、昨日は本当に偶然だろう。これからは会わないように気を付けるだけだ。
「ハヤミ兄さんってば」
「っ、ん?」
「どうしたの? さっきから。なんか変だよ」
そんなことを考えている間に、レオンに話しかけられていたらしい。相当没入していたのか。
「朝だからだよ」
「ふうん。で、兄さんはコーヒーでいいの? 貰ってくるけど」
「あ、ありがとう」
明らかに信じていないような言葉。でもやっぱり話す気はない、レオンがどれだけ心配してくれていたとしても。
それだけ昨日の出来事は僕の心に重いものを残したのかもしれない。
一度カウンセラーを呼ばなくてはいけないかな、と僕は食堂へ向かうレオンの背中を見送った。
朝食を摂るような気分でもなかったので――それをフェリシアに言えば彼女は心配するだろうが――コーヒーだけでも飲もうか。
そう思いながら長い廊下を歩く途中、レオンに出会った。
「おはよう、兄さん」
「おはようレオン」
そしてレオンの顔を見た瞬間、僕は尋ねなければならない一つのことを思い出した。
それは正直あまり言いたくないことで、反射的に怪訝な顔をしてしまったのか、レオンは首を傾げる。
「どうしたの?」
「レオンに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
そう、と言って、尋ねる勇気を固めた。
「レオンの臣下の名前」
「臣下? どうしたの? いきなり。前は絶対に聞きたがらなかったのに」
「いや、ね」
相手はよく知らなければならないからね、と答える。
僕が「オメガ」を避けているのはもう誰しもが知っていることなので、今更それについて申し訳ないような口ぶりはしない。
「そう。名前はオーディンとゼロ」
「ゼロ……」
「ゼロが「オメガ」だよ。オーディンは「ベータ」」
「うん」
オーディンには会ったことがあるし、事前に「ベータ」と聞いていたから、戦場に出ても共に戦ったことがある。
しかし、そうか。やはり、レオンの臣下の、ゼロ。
「何かあったの? ハヤミ兄さん」
「いや……」
昨晩見た彼はやはり名乗った通り、レオンの臣下なのだろう。あんな暗夜の森に入る民間人は居ないだろうから、あまり疑っていたわけではないから。
であれば、全て理解できる。あの森で起きたこと、全て。
「そういえば、ハヤミ兄さん、朝食は?」
「ああ、いや、朝食は食べない。コーヒーだけ貰おうかと思って」
「奇遇だね。僕も朝食は要らないと思ってた」
互いに時間があることを確認し、バルコニーで少し話そうかということになった。
レオンは何か訝しんでいるかもしれないが、僕の方にはそのゼロとのことを話すつもりはなかった。多分、ゼロの方もレオンには何も言っていないだろう。
でも、もう会うつもりもない。これまで出会わなかったのだから、昨日は本当に偶然だろう。これからは会わないように気を付けるだけだ。
「ハヤミ兄さんってば」
「っ、ん?」
「どうしたの? さっきから。なんか変だよ」
そんなことを考えている間に、レオンに話しかけられていたらしい。相当没入していたのか。
「朝だからだよ」
「ふうん。で、兄さんはコーヒーでいいの? 貰ってくるけど」
「あ、ありがとう」
明らかに信じていないような言葉。でもやっぱり話す気はない、レオンがどれだけ心配してくれていたとしても。
それだけ昨日の出来事は僕の心に重いものを残したのかもしれない。
一度カウンセラーを呼ばなくてはいけないかな、と僕は食堂へ向かうレオンの背中を見送った。