アルファの受難(FEif/ゼロ)
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世の中には「アルファ」「ベータ」「オメガ」の3つの性癖がある。性癖、と言うのが正しいのかは分からないが僕はそういう認識をしている。
ごく少数の人間だが、頭の回転が早く、世の中の多くを牛耳っているとされるのが「アルファ」。暗夜の兄妹たちの中では僕だけが「アルファ」だ。
加えて世の中の大半を占めるのが「ベータ」。彼らはごく平均的な能力を持ち、同じ「ベータ」と子を成すことが多い。僕以外の兄妹たちは皆「ベータ」だ。また兄妹たちの臣下も殆ど「ベータ」らしい。
そしてアルファと同じくらいの少数が「オメガ」だ。彼らの能力は非常に低い。まるでアルファが優秀な能力を持ったその代償を一身に受けているかのように。
「しかし、一つ腹立たしいことがある」
世の中の「アルファ」は「オメガ」とつがいを作る。心惹かれる人が必ず居るのだそうだ。それを「運命のつがい」と呼ぶのだとか。
僕はそれがどうにも腹立たしかった。どうして優秀な「アルファ」が劣っている「オメガ」と惹かれ合うのか?
それが嫌で、もう生まれてからずっと「オメガ」を避けて生きてきた。幸いにも「アルファ」も「オメガ」も希少種なので、僕はあまり無理をしなくても、「アルファ」にも「オメガ」にも出会うことはなかった。
しかし、だ。
「……レオンの所の臣下が」
兄妹たちのもとには臣下がそれぞれ2人ずつ居る。狩りだったり、戦場だったりに付き従う様な人々だ。
その中の殆どの人が「ベータ」だ。しかしたった1人、レオンのもとにたった1人だけ、「オメガ」がいるのだとレオンが言っていた。
「僕は、それに会わないように極力努力している」
男だか女だかも知らない。レオンの臣下だから男だと思うが。
果たして僕とその臣下が運命のつがいなのか、僕は全く知らない。聞くところによると、運命のつがいは会った瞬間に分かるのだとか。
「僕はそれが恐ろしい」
目と目が合った瞬間に、僕の今まで必死に築いてきた地位が崩れ去ってしまうのだと思うと、それはそれは恐ろしかった。
運命のつがい、と言うからにはもうその相手以外のことは考えられなくなる程狂ってしまうのだそうだ。それは僕にとって今までの全てを失うことと同義だ。
僕はそんなものに人生を狂わせるくらいなら、もう全ての「オメガ」と目を合わせないで生きると決めた。この命が終わるまで、マークス兄さんやこの暗夜王国を支え続けると決めている。
「……はあ」
随分と1人で喋ってしまった。
遠征で疲れているから、さっさと眠ってしまおうか。
ベッドに倒れこみ、白い天井を見上げた。
ごく少数の人間だが、頭の回転が早く、世の中の多くを牛耳っているとされるのが「アルファ」。暗夜の兄妹たちの中では僕だけが「アルファ」だ。
加えて世の中の大半を占めるのが「ベータ」。彼らはごく平均的な能力を持ち、同じ「ベータ」と子を成すことが多い。僕以外の兄妹たちは皆「ベータ」だ。また兄妹たちの臣下も殆ど「ベータ」らしい。
そしてアルファと同じくらいの少数が「オメガ」だ。彼らの能力は非常に低い。まるでアルファが優秀な能力を持ったその代償を一身に受けているかのように。
「しかし、一つ腹立たしいことがある」
世の中の「アルファ」は「オメガ」とつがいを作る。心惹かれる人が必ず居るのだそうだ。それを「運命のつがい」と呼ぶのだとか。
僕はそれがどうにも腹立たしかった。どうして優秀な「アルファ」が劣っている「オメガ」と惹かれ合うのか?
それが嫌で、もう生まれてからずっと「オメガ」を避けて生きてきた。幸いにも「アルファ」も「オメガ」も希少種なので、僕はあまり無理をしなくても、「アルファ」にも「オメガ」にも出会うことはなかった。
しかし、だ。
「……レオンの所の臣下が」
兄妹たちのもとには臣下がそれぞれ2人ずつ居る。狩りだったり、戦場だったりに付き従う様な人々だ。
その中の殆どの人が「ベータ」だ。しかしたった1人、レオンのもとにたった1人だけ、「オメガ」がいるのだとレオンが言っていた。
「僕は、それに会わないように極力努力している」
男だか女だかも知らない。レオンの臣下だから男だと思うが。
果たして僕とその臣下が運命のつがいなのか、僕は全く知らない。聞くところによると、運命のつがいは会った瞬間に分かるのだとか。
「僕はそれが恐ろしい」
目と目が合った瞬間に、僕の今まで必死に築いてきた地位が崩れ去ってしまうのだと思うと、それはそれは恐ろしかった。
運命のつがい、と言うからにはもうその相手以外のことは考えられなくなる程狂ってしまうのだそうだ。それは僕にとって今までの全てを失うことと同義だ。
僕はそんなものに人生を狂わせるくらいなら、もう全ての「オメガ」と目を合わせないで生きると決めた。この命が終わるまで、マークス兄さんやこの暗夜王国を支え続けると決めている。
「……はあ」
随分と1人で喋ってしまった。
遠征で疲れているから、さっさと眠ってしまおうか。
ベッドに倒れこみ、白い天井を見上げた。