アルファの受難(FEif/ゼロ)
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「マークス兄さん、無事?」
「ハヤミか」
戦場で傷を受けた兄の許へ向かう。手を差し伸べれば、どんなに強い彼でも、ちゃんと掴んでくれるのが嬉しかった。
「すまない。心配かけたな」
「ううん、無事ならよかった」
「反撃といくか」
「そうだね」
我ら暗夜王国ともあろう者が、まさか不意打ちを食らうなんて。どれだけ罪深いことか教えてやらねば。
後から追いついたエリーゼとレオンに後ろに下がっているように告げる。
「ハヤミ兄さん、どういうつもり?」
「私だって戦えるもん!」
「大丈夫。ここは僕とマークス兄さんだけでやる」
「はあ……そう言ったら聞かないもんね」
僕の性格をよく分かっているレオンは溜息をつき、もうそれ以上は何も聞こうとしなかった。
そんな奇襲しか出来ない連中には、僕らの強さをとくと味わってもらわなければいけない。
たった50人程度で僕らに勝てるとでも思っているのだろうか?
「いこう、マークス兄さん」
「後ろは任せたぞ、ハヤミ」
僕らはそう言い、敵に向けて一気に飛び出した。
遠征を終え、父に報告を済ませるとどっと疲れた。
しかし鎧を脱ぐ間もなくレオンが近づいてくる。
「兄さん、お疲れ。相変わらずだね」
「レオンも、お疲れ」
相変わらずって何が、と問う。
「僕もマークス兄さんももちろん努力はしてる。でもハヤミ兄さんに敵わないところがある」
「そうかな? 3人の強みは皆違うと思うけど」
「兄さんはアルファなんだから、もっと前に出たらいいよ。前にマークス兄さんも言ってたように」
「はは、やめろよ」
存外に真剣な面持ちでそう言うレオンに僕は笑って返す。
そうでもしなければちゃんと返答できそうになかった。
「アルファかどうかは関係ないだろう。そういう部分もあるって言われているけれど。でも僕のこの地位は今までの僕の努力が築いたものだって思いたいからさ」
「……やっぱりハヤミ兄さんには敵わないな」
「でも僕はレオンほどの魔道の才は無いし、マークス兄さんみたく、表に出るようなカリスマ性を持っているわけでもないからね」
カミラ姉さんもあんなに普段はおしとやかなのに、戦場に出れば一変する。さすが暗夜の王女だ。
エリーゼが可憐な花というのは変わらないが、多分誰も、エリーゼが剣を持って敵の首を掻っ切るところなんて見たいとは思わないだろう。
「今みたく、マークス兄さんを陰で支える方が性分に合っている気がする」
父王は大抵は城に居るが、国民たちの前に姿を現す様な行事はマークス兄さんが担うことも多い。
他にも戦略の相談に乗ったり、国政に関することを考えたり、僕は裏方でそうして表に出る人を支える方が合っているなと感じていた。
だから、常々マークス兄さんやレオンから「お前も表に出れば」と言われているが、固辞している。
「まあ、ハヤミ兄さんも無理しないで」
「ありがとう」
遠征を終えた後はどっと疲れる。さあ休むか。
そう思ってレオンと別れて自室に戻った。
「ハヤミか」
戦場で傷を受けた兄の許へ向かう。手を差し伸べれば、どんなに強い彼でも、ちゃんと掴んでくれるのが嬉しかった。
「すまない。心配かけたな」
「ううん、無事ならよかった」
「反撃といくか」
「そうだね」
我ら暗夜王国ともあろう者が、まさか不意打ちを食らうなんて。どれだけ罪深いことか教えてやらねば。
後から追いついたエリーゼとレオンに後ろに下がっているように告げる。
「ハヤミ兄さん、どういうつもり?」
「私だって戦えるもん!」
「大丈夫。ここは僕とマークス兄さんだけでやる」
「はあ……そう言ったら聞かないもんね」
僕の性格をよく分かっているレオンは溜息をつき、もうそれ以上は何も聞こうとしなかった。
そんな奇襲しか出来ない連中には、僕らの強さをとくと味わってもらわなければいけない。
たった50人程度で僕らに勝てるとでも思っているのだろうか?
「いこう、マークス兄さん」
「後ろは任せたぞ、ハヤミ」
僕らはそう言い、敵に向けて一気に飛び出した。
遠征を終え、父に報告を済ませるとどっと疲れた。
しかし鎧を脱ぐ間もなくレオンが近づいてくる。
「兄さん、お疲れ。相変わらずだね」
「レオンも、お疲れ」
相変わらずって何が、と問う。
「僕もマークス兄さんももちろん努力はしてる。でもハヤミ兄さんに敵わないところがある」
「そうかな? 3人の強みは皆違うと思うけど」
「兄さんはアルファなんだから、もっと前に出たらいいよ。前にマークス兄さんも言ってたように」
「はは、やめろよ」
存外に真剣な面持ちでそう言うレオンに僕は笑って返す。
そうでもしなければちゃんと返答できそうになかった。
「アルファかどうかは関係ないだろう。そういう部分もあるって言われているけれど。でも僕のこの地位は今までの僕の努力が築いたものだって思いたいからさ」
「……やっぱりハヤミ兄さんには敵わないな」
「でも僕はレオンほどの魔道の才は無いし、マークス兄さんみたく、表に出るようなカリスマ性を持っているわけでもないからね」
カミラ姉さんもあんなに普段はおしとやかなのに、戦場に出れば一変する。さすが暗夜の王女だ。
エリーゼが可憐な花というのは変わらないが、多分誰も、エリーゼが剣を持って敵の首を掻っ切るところなんて見たいとは思わないだろう。
「今みたく、マークス兄さんを陰で支える方が性分に合っている気がする」
父王は大抵は城に居るが、国民たちの前に姿を現す様な行事はマークス兄さんが担うことも多い。
他にも戦略の相談に乗ったり、国政に関することを考えたり、僕は裏方でそうして表に出る人を支える方が合っているなと感じていた。
だから、常々マークス兄さんやレオンから「お前も表に出れば」と言われているが、固辞している。
「まあ、ハヤミ兄さんも無理しないで」
「ありがとう」
遠征を終えた後はどっと疲れる。さあ休むか。
そう思ってレオンと別れて自室に戻った。
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