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ある晩、ぼーっと海を眺めていると、いきなり後ろから肩を叩かれた。
「だれ、」
振り向こうとした瞬間、むにっと頬に指が刺さる。
「はは、成功!」
「ちょっと……エースか」
ありがちな悪戯だ。僕は溜息をつき、海に向き直った。
「何してんだ? レイシ」
「別に。見れば分かるでしょ?」
「わりいってば。怒んなよ」
「怒ってない」
エースが機嫌を取るようにそう言いながら僕の隣に座る。
漆黒の海は月明かりを僅かに反射するが、何かが見えるわけではなかった。
「……ねれない」
暫しの沈黙ののち、僕は観念したようにそう告げる。
「何で? 眠くないのか?」
「ううん、それなりに眠い」
「じゃあ何で」
「エースは何で起きてるの」
それ以上重ねて問われる前に、先に問う。
「いなかったから」
「え?」
「ちょっと目が覚めたらさ、レイシがいなかったから。トイレ行ってんのかなって思ったけど、全然帰ってこないから心配になったんだよ」
「……ごめん」
僕は小さく答える。同じ部屋で寝泊まりしているのだから、それくらいバレていて当然か。
そう言い聞かせても頬が少し熱くなるのを感じるが、この闇の中では、まさか見えないだろう。
「で、何でレイシは起きてるんだよ?」
迷った。本音を告げるかどうか。
「……恐かったから」
「え?」
「寝るのが恐い。恐い夢を見たんだ」
それ以上は告げず。海賊にあるまじき弱さだと笑うだろうか。
僕はエースの様に強くはなれない。明るくも。
「じゃあ、一緒に寝るか?」
「一緒に?」
何を言ってるんだ、同じ部屋で寝ているのに。当然寝台は異なるけれど。
僕は呆れたような声を出した。
「大丈夫、俺が守ってやるから。……ほら、戻ろう」
「!」
エースはそう言い、僕に手を差し出す。
躊躇う。けれどその葛藤がバレないように手を掴み返す。
2人して立ち上がり、部屋に戻った。
「ほら、こっち来いよ」
「え、別に子供じゃないんだし大丈夫だよ、」
「恐い夢見ないように」
自分の寝台に招き入れようとするエース。流石に、と思ったが、その誘惑には抗えなかった。
朝、もし仲間たちに見られたら、どうしようか。別にいいか。
「おやすみ、レイシ」
エースは僕の頭の下に腕を敷き、額にキスをして、目を閉じた。
さっきから高鳴って五月蝿かった心臓が余計に音を鳴らす。もう眠れないじゃないか、こんなことされたら。
「……おやすみ」
それでも何とか眠ろうと目を閉じた。多分、もう恐い夢は見なくて済むだろう。
「だれ、」
振り向こうとした瞬間、むにっと頬に指が刺さる。
「はは、成功!」
「ちょっと……エースか」
ありがちな悪戯だ。僕は溜息をつき、海に向き直った。
「何してんだ? レイシ」
「別に。見れば分かるでしょ?」
「わりいってば。怒んなよ」
「怒ってない」
エースが機嫌を取るようにそう言いながら僕の隣に座る。
漆黒の海は月明かりを僅かに反射するが、何かが見えるわけではなかった。
「……ねれない」
暫しの沈黙ののち、僕は観念したようにそう告げる。
「何で? 眠くないのか?」
「ううん、それなりに眠い」
「じゃあ何で」
「エースは何で起きてるの」
それ以上重ねて問われる前に、先に問う。
「いなかったから」
「え?」
「ちょっと目が覚めたらさ、レイシがいなかったから。トイレ行ってんのかなって思ったけど、全然帰ってこないから心配になったんだよ」
「……ごめん」
僕は小さく答える。同じ部屋で寝泊まりしているのだから、それくらいバレていて当然か。
そう言い聞かせても頬が少し熱くなるのを感じるが、この闇の中では、まさか見えないだろう。
「で、何でレイシは起きてるんだよ?」
迷った。本音を告げるかどうか。
「……恐かったから」
「え?」
「寝るのが恐い。恐い夢を見たんだ」
それ以上は告げず。海賊にあるまじき弱さだと笑うだろうか。
僕はエースの様に強くはなれない。明るくも。
「じゃあ、一緒に寝るか?」
「一緒に?」
何を言ってるんだ、同じ部屋で寝ているのに。当然寝台は異なるけれど。
僕は呆れたような声を出した。
「大丈夫、俺が守ってやるから。……ほら、戻ろう」
「!」
エースはそう言い、僕に手を差し出す。
躊躇う。けれどその葛藤がバレないように手を掴み返す。
2人して立ち上がり、部屋に戻った。
「ほら、こっち来いよ」
「え、別に子供じゃないんだし大丈夫だよ、」
「恐い夢見ないように」
自分の寝台に招き入れようとするエース。流石に、と思ったが、その誘惑には抗えなかった。
朝、もし仲間たちに見られたら、どうしようか。別にいいか。
「おやすみ、レイシ」
エースは僕の頭の下に腕を敷き、額にキスをして、目を閉じた。
さっきから高鳴って五月蝿かった心臓が余計に音を鳴らす。もう眠れないじゃないか、こんなことされたら。
「……おやすみ」
それでも何とか眠ろうと目を閉じた。多分、もう恐い夢は見なくて済むだろう。