その他
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「レイシ、いるかい?」
「ああ、ブラッド、どうしたの」
「これからお茶会を始めようと思うんだが、一緒にどうかと思ってね」
「もちろん、喜んで」
この敷地の中で部屋のドアを律儀にノックしてくれるのなんてブラッドか召使いくらいだ。そして大抵召使いは朝起こすのにしか訪ねてきてくれないので、お昼に俺がぼーっと部屋で過ごしている時に出会うのは、大体ブラッドだ。そうでないこともあるけど。
俺は机の上のノートやらを簡単に片づけると、待っていてくれたブラッドの後へついて庭へ出る。
そこには既にお茶会セットが用意されており、エリオットが座っていた。
「よう、レイシ」
「お帰り、エリオット。仕事はもう終わり?」
「ああ、この後1件あるけど急ぎじゃないしな」
「じゃあ始めようか」
俺たちは各々の席に着く。そしていつものようにブラッドは完璧なタイミングで俺たちに紅茶を淹れてくれる。
一方俺はというと、特に何をするわけでもなくブラッドの淹れてくれた紅茶を飲み、感想を言うだけだ。
「ああやっぱり美味しいな、ブラッドの淹れてくれた紅茶は」
「ありがとう。そう言ってくれると淹れがいがあるな」
「ん? こっちの茶菓子はレイシが作ったやつじゃないのか?」
「ああ、それは昨日くらいに作ったやつ」
テーブルの真ん中に鎮座しているのは紛れもなく俺が焼いたクッキーだ。召使いたちと話しながら作った普通のクッキー。
特に何の変哲もないものなのだが、エリオットは美味しそうに食べてくれている。
「やっぱり料理の才能あるな、レイシは」
「ありがと――」
そう言いながらもりもり食べてくれるのを見ると、お世辞でもやはり嬉しくなる。俺ももっとブラッドの紅茶をがぶ飲みしたいところなのだが流石に品がないだろう。
感謝を込めてエリオットに言葉を返そうとした瞬間、門の方で物凄い爆音が鳴った。
「!?」
「何か来たか?」
「……一応見てくるか?」
思わず身体が跳ねた俺のことを心配してくれたのか、ブラッドとエリオットはそう話す。彼らは日常茶飯事なのか全く動じていないがこんなのが普通でたまるか。
そうだな頼む、と言ったブラッドにエリオットは頷き、俺の隣を通る隙に俺の頭をくしゃりと撫でる。
「多分あいつらが居るから大丈夫だろうけど」
「……うん」
「すぐ戻ってくるから」
普段は犬みたいなくせに、どうしてこういう時だけ格好よく、大人っぽく見えるんだろうか。不思議でならない。
エリオットは俺の額に軽くキスを落とすと門の方へ走っていった。
「大丈夫だ。万が一ここまで何者かが来たところで、レイシには指一本触れさせない」
「……ありがとう」
普段お茶会の姿しか見かけないブラッドだが、多分戦ったら強いのだろう。マフィアのボスというだけあるし。
俺は銃声に一々怯えながらもお茶会を続けた。一刻も早くこの世界に平穏が訪れてほしい、と願いながら。
2018.06.10
「ああ、ブラッド、どうしたの」
「これからお茶会を始めようと思うんだが、一緒にどうかと思ってね」
「もちろん、喜んで」
この敷地の中で部屋のドアを律儀にノックしてくれるのなんてブラッドか召使いくらいだ。そして大抵召使いは朝起こすのにしか訪ねてきてくれないので、お昼に俺がぼーっと部屋で過ごしている時に出会うのは、大体ブラッドだ。そうでないこともあるけど。
俺は机の上のノートやらを簡単に片づけると、待っていてくれたブラッドの後へついて庭へ出る。
そこには既にお茶会セットが用意されており、エリオットが座っていた。
「よう、レイシ」
「お帰り、エリオット。仕事はもう終わり?」
「ああ、この後1件あるけど急ぎじゃないしな」
「じゃあ始めようか」
俺たちは各々の席に着く。そしていつものようにブラッドは完璧なタイミングで俺たちに紅茶を淹れてくれる。
一方俺はというと、特に何をするわけでもなくブラッドの淹れてくれた紅茶を飲み、感想を言うだけだ。
「ああやっぱり美味しいな、ブラッドの淹れてくれた紅茶は」
「ありがとう。そう言ってくれると淹れがいがあるな」
「ん? こっちの茶菓子はレイシが作ったやつじゃないのか?」
「ああ、それは昨日くらいに作ったやつ」
テーブルの真ん中に鎮座しているのは紛れもなく俺が焼いたクッキーだ。召使いたちと話しながら作った普通のクッキー。
特に何の変哲もないものなのだが、エリオットは美味しそうに食べてくれている。
「やっぱり料理の才能あるな、レイシは」
「ありがと――」
そう言いながらもりもり食べてくれるのを見ると、お世辞でもやはり嬉しくなる。俺ももっとブラッドの紅茶をがぶ飲みしたいところなのだが流石に品がないだろう。
感謝を込めてエリオットに言葉を返そうとした瞬間、門の方で物凄い爆音が鳴った。
「!?」
「何か来たか?」
「……一応見てくるか?」
思わず身体が跳ねた俺のことを心配してくれたのか、ブラッドとエリオットはそう話す。彼らは日常茶飯事なのか全く動じていないがこんなのが普通でたまるか。
そうだな頼む、と言ったブラッドにエリオットは頷き、俺の隣を通る隙に俺の頭をくしゃりと撫でる。
「多分あいつらが居るから大丈夫だろうけど」
「……うん」
「すぐ戻ってくるから」
普段は犬みたいなくせに、どうしてこういう時だけ格好よく、大人っぽく見えるんだろうか。不思議でならない。
エリオットは俺の額に軽くキスを落とすと門の方へ走っていった。
「大丈夫だ。万が一ここまで何者かが来たところで、レイシには指一本触れさせない」
「……ありがとう」
普段お茶会の姿しか見かけないブラッドだが、多分戦ったら強いのだろう。マフィアのボスというだけあるし。
俺は銃声に一々怯えながらもお茶会を続けた。一刻も早くこの世界に平穏が訪れてほしい、と願いながら。
2018.06.10
12/12ページ