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「ジンもとうとう結婚か」
電話を受け、俺は驚きながらも笑って答える。
『心配かけたな』
「いや、なんかね。驚いてる」
それが率直な気持ちだ。あのジンが、ついに結婚してしまうなんて。
仲間たちを助けようとしていたひたむきな少年時代も、全てを受け入れ笑顔を見せなかった数年前のことも、そして大切な人に出会った今も。
俺はジンの全てを知っている。誰よりもジンの側にいる。
はずなのに。
「しかも、相手があのクリシュナなんてな。何が起きるか分からないな、人生は」
電話の向こうで、ジンの低い声が聞こえた。笑っているのだろう。
『レイシはいないのか』
「俺のこと知ってるだろ。いるわけないじゃん」
笑い返す。仕事に忙殺される日々を送っているのだ。ジンの比ではないが。
それに、これはこれで充実しているわけで。
「まあ、ジンとの電話が俺の息抜きだからさ。結婚しても電話掛けてきて、そんで、たまに会って」
俺がそう言うと、急にジンは黙る。
「……え? なに、どうしたジン?」
『いや……まさかそんなことを言われるとは思ってなかったからな』
「何で? 今までと同じだろ。今も昔も、ジンだけが頼りだし、本当に信頼してるから。……あ、でもクリシュナとも会いたいな。いや、もうクリシュナって呼ぶのは失礼か」
少しの沈黙ののち、聞こえるか聞こえないくらいかの声量で、ジンはぽつりと呟いた。
『……まあ、本当に欲しかった奴が手に入らなかったんだから、仕方ないな』
「え? なんか言ったか?」
『いいや、何も。また連絡する』
「ああ」
俺は携帯電話を書類の上に放り投げ、デスクの端の方に飾ってある写真立てを手に取る。
そこに収まるのは、去年撮ったばかりの、俺とジンの写真。どんなに忙しくても1年に1回は必ず会うようにしていて、その度に写真を撮っている。
これは少し特別な写真立てで、この奥にはもう、十何年分かの2人の写真が収められているわけで。
「――ジンが結婚、かあ」
なんとも言えない気持ちを抱いたまま、俺はデスクに突っ伏した。
2016.06.20
電話を受け、俺は驚きながらも笑って答える。
『心配かけたな』
「いや、なんかね。驚いてる」
それが率直な気持ちだ。あのジンが、ついに結婚してしまうなんて。
仲間たちを助けようとしていたひたむきな少年時代も、全てを受け入れ笑顔を見せなかった数年前のことも、そして大切な人に出会った今も。
俺はジンの全てを知っている。誰よりもジンの側にいる。
はずなのに。
「しかも、相手があのクリシュナなんてな。何が起きるか分からないな、人生は」
電話の向こうで、ジンの低い声が聞こえた。笑っているのだろう。
『レイシはいないのか』
「俺のこと知ってるだろ。いるわけないじゃん」
笑い返す。仕事に忙殺される日々を送っているのだ。ジンの比ではないが。
それに、これはこれで充実しているわけで。
「まあ、ジンとの電話が俺の息抜きだからさ。結婚しても電話掛けてきて、そんで、たまに会って」
俺がそう言うと、急にジンは黙る。
「……え? なに、どうしたジン?」
『いや……まさかそんなことを言われるとは思ってなかったからな』
「何で? 今までと同じだろ。今も昔も、ジンだけが頼りだし、本当に信頼してるから。……あ、でもクリシュナとも会いたいな。いや、もうクリシュナって呼ぶのは失礼か」
少しの沈黙ののち、聞こえるか聞こえないくらいかの声量で、ジンはぽつりと呟いた。
『……まあ、本当に欲しかった奴が手に入らなかったんだから、仕方ないな』
「え? なんか言ったか?」
『いいや、何も。また連絡する』
「ああ」
俺は携帯電話を書類の上に放り投げ、デスクの端の方に飾ってある写真立てを手に取る。
そこに収まるのは、去年撮ったばかりの、俺とジンの写真。どんなに忙しくても1年に1回は必ず会うようにしていて、その度に写真を撮っている。
これは少し特別な写真立てで、この奥にはもう、十何年分かの2人の写真が収められているわけで。
「――ジンが結婚、かあ」
なんとも言えない気持ちを抱いたまま、俺はデスクに突っ伏した。
2016.06.20