FE
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
title by spiritus
(暁)
蒼い炎は揺らめいて消えた。全てを焦がすような強大な炎だったのに、消えてしまえばあっけないものだ。
僕たちは神の眠る塔を後にし、言葉少なにそれぞれのあるべき場所へと帰っていく。
僕はもちろん、グレイル傭兵団と共に、クリミア王国へ。
「……どうする? アイク」
帰り道を往く途中、僕は団長に尋ねる。他には誰も居ない夜だ。
アイクは黙っていた。彼が口を開くのをじっと待った。
「どこへ行きたい? レイシ」
ずっと鎮められてきた悪しき神も今はいない。もうクリミア王国が他国に侵されることはないだろう。
だから僕たちは、もう自由だった。ずっと故郷に恩返しをしてきて、グレイル団長が亡くなった後も走ってきて、好い加減好きなように生きてもいい、と言われているような気がしていた。
「僕が決めていいの? ……そうだな」
僕は空を仰ぐ。月が丸い。
「地平線の果てなんて、どうかな」
僕たちが見たことがある世界なんてたった一部だ。摘まめてしまうくらいの。
海の向こうにはもっと知らない景色が広がっているだろうか? それはわくわくするな。
「いい考えだな」
「でもアイク、傭兵団は、どうするの?」
「……そうだな」
アイクは少し考えた後言う。
「もう世界は平和だ。これから先、傭兵団として仕事があるのはごく僅かだろう。いや、傭兵団の仕事なんて、本当はない方がいい」
「そうだね」
「皆、これから先は自由に生きられるよう、少し話す必要があるか」
僕もグレイル団長が居た頃からこの傭兵団に居たわけだから、人生の半分近くはもう身を捧げている。アイクなんて団長の息子だから尚更だ。
今更他の生き方を知らない、なんて誰かは言うかもしれないけど。
「他の生き方の幸せも、見てみたいよね」
地平線。その先に何があるのか見てみたい。僕の原動力はたったそれだけ。
多分アイクも同じだろう。僕は、アイクがいるならどこまでだって行ける。
「ああ」
「寂しくなったら、いつでも帰ってこようね」
皆に会いたくなった時。皆と一緒に居た時が一番幸せだったと気づけた時。
きっと皆、再び会ってくれるだろう。僕はそう信じている。
(暁)
蒼い炎は揺らめいて消えた。全てを焦がすような強大な炎だったのに、消えてしまえばあっけないものだ。
僕たちは神の眠る塔を後にし、言葉少なにそれぞれのあるべき場所へと帰っていく。
僕はもちろん、グレイル傭兵団と共に、クリミア王国へ。
「……どうする? アイク」
帰り道を往く途中、僕は団長に尋ねる。他には誰も居ない夜だ。
アイクは黙っていた。彼が口を開くのをじっと待った。
「どこへ行きたい? レイシ」
ずっと鎮められてきた悪しき神も今はいない。もうクリミア王国が他国に侵されることはないだろう。
だから僕たちは、もう自由だった。ずっと故郷に恩返しをしてきて、グレイル団長が亡くなった後も走ってきて、好い加減好きなように生きてもいい、と言われているような気がしていた。
「僕が決めていいの? ……そうだな」
僕は空を仰ぐ。月が丸い。
「地平線の果てなんて、どうかな」
僕たちが見たことがある世界なんてたった一部だ。摘まめてしまうくらいの。
海の向こうにはもっと知らない景色が広がっているだろうか? それはわくわくするな。
「いい考えだな」
「でもアイク、傭兵団は、どうするの?」
「……そうだな」
アイクは少し考えた後言う。
「もう世界は平和だ。これから先、傭兵団として仕事があるのはごく僅かだろう。いや、傭兵団の仕事なんて、本当はない方がいい」
「そうだね」
「皆、これから先は自由に生きられるよう、少し話す必要があるか」
僕もグレイル団長が居た頃からこの傭兵団に居たわけだから、人生の半分近くはもう身を捧げている。アイクなんて団長の息子だから尚更だ。
今更他の生き方を知らない、なんて誰かは言うかもしれないけど。
「他の生き方の幸せも、見てみたいよね」
地平線。その先に何があるのか見てみたい。僕の原動力はたったそれだけ。
多分アイクも同じだろう。僕は、アイクがいるならどこまでだって行ける。
「ああ」
「寂しくなったら、いつでも帰ってこようね」
皆に会いたくなった時。皆と一緒に居た時が一番幸せだったと気づけた時。
きっと皆、再び会ってくれるだろう。僕はそう信じている。