虜
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title by spiritus
※これの続き
※現代パロ
「ところで」
「な、何? ココさん」
すっかりレイシも落ち着いた頃、僕は思い出して尋ねる。
「レイシは僕のこと、お見合いより前に知っていた?」
「え……?」
レイシが言っていた「あなたのことがずっと好きだったんだ」と、「妹にお願いして僕はあなたとちゃんと出会った」ということ。
僕はお見合いで初めてレイシと出会った筈だ。少なくとも僕の記憶にはない。でもレイシの言い方はまるで、前に会っていて再会したような感じだった。
なのでそう問うと、レイシは驚いたように目を丸くした。
「……そっか。覚えてないよね、ココさんは」
「え? 僕たち、やっぱり会ったこと……?」
「会った、っていうか、まあ」
苦笑いする。あまり言いたくはなさそうだが僕は聞きたい。
「……同じ高校だったよ」
「え……え?」
耳を疑った。同じ高校? そんな馬鹿な。
「ココさん、軽音楽部でバンドやってたよね」
「ああ、うん」
「文化祭の時、初めて見かけて。すごいかっこいいなって思って。遠くから見ていただけなんだけど。それに僕の方が後輩だし、知らないのも無理ないかも」
「そうだったんだ……」
確かに僕は高校の3年間、軽音楽部として活動していた。僕をあまり知らない人からすれば意外かもしれないけれど、ベースはなかなか性に合っていたと思う。
それきり楽器はやっていないが、まさかそんな縁があったとは思いもよらなかった。
「レイシ、ごめん。全然知らなかった……」
「だ、大丈夫だよココさん。そんなに謝らないで」
しかしそれなら彼の話しぶりも納得だ。でもまさか、そんな高校の頃から想われていたなんて。
「でも……だから、妹にお見合いの話が来た時、僕は凄く驚いたんだよね。何であんなにモテそうな先輩が? って。ちょっと怖かった」
「まあ確かに、軽音部だった時は色々話しかけられたりもしたけど、基本的にはボーカルとギターがモテるから、僕とドラムはそこまででもなかったかな。でも、怖かったって、何で?」
「僕はずっと、ココさんはモテる人だと思っていたから……まさかお見合いなんてしないだろうって思ってたし……本当はココさんじゃないのかも、とか……」
「はは、成る程」
僕は思わず笑う。そんなに不安ならお見合いに来なくてもよかったのに。
とはいえ、お見合いをしたからこそ、今の僕たちはあるんだけれど。
「でも……ずっとココさんに憧れていたんだ。話したこともなかったのに……不思議だよね。でも、あの人と一緒になれば幸せになれるって、漠然と思ってた」
そう言って腕の中ではにかむレイシを見ながら、もう朝のような不安な表情はそこにないことに気づく。
「――僕は、お見合いで少し話したくらいから、きっと君のこと好きになれると思ってた」
「……?」
「でもレイシは、もっと昔から僕のこと、好きでいてくれたんだね」
だったら尚更、答えは簡単だった。もっと早く、ちゃんと話をしていれば。
身体を起こし、軽いキスをする。
小さな声が漏れたのが可愛くて、もう一度、裸のお腹に触った。
※これの続き
※現代パロ
「ところで」
「な、何? ココさん」
すっかりレイシも落ち着いた頃、僕は思い出して尋ねる。
「レイシは僕のこと、お見合いより前に知っていた?」
「え……?」
レイシが言っていた「あなたのことがずっと好きだったんだ」と、「妹にお願いして僕はあなたとちゃんと出会った」ということ。
僕はお見合いで初めてレイシと出会った筈だ。少なくとも僕の記憶にはない。でもレイシの言い方はまるで、前に会っていて再会したような感じだった。
なのでそう問うと、レイシは驚いたように目を丸くした。
「……そっか。覚えてないよね、ココさんは」
「え? 僕たち、やっぱり会ったこと……?」
「会った、っていうか、まあ」
苦笑いする。あまり言いたくはなさそうだが僕は聞きたい。
「……同じ高校だったよ」
「え……え?」
耳を疑った。同じ高校? そんな馬鹿な。
「ココさん、軽音楽部でバンドやってたよね」
「ああ、うん」
「文化祭の時、初めて見かけて。すごいかっこいいなって思って。遠くから見ていただけなんだけど。それに僕の方が後輩だし、知らないのも無理ないかも」
「そうだったんだ……」
確かに僕は高校の3年間、軽音楽部として活動していた。僕をあまり知らない人からすれば意外かもしれないけれど、ベースはなかなか性に合っていたと思う。
それきり楽器はやっていないが、まさかそんな縁があったとは思いもよらなかった。
「レイシ、ごめん。全然知らなかった……」
「だ、大丈夫だよココさん。そんなに謝らないで」
しかしそれなら彼の話しぶりも納得だ。でもまさか、そんな高校の頃から想われていたなんて。
「でも……だから、妹にお見合いの話が来た時、僕は凄く驚いたんだよね。何であんなにモテそうな先輩が? って。ちょっと怖かった」
「まあ確かに、軽音部だった時は色々話しかけられたりもしたけど、基本的にはボーカルとギターがモテるから、僕とドラムはそこまででもなかったかな。でも、怖かったって、何で?」
「僕はずっと、ココさんはモテる人だと思っていたから……まさかお見合いなんてしないだろうって思ってたし……本当はココさんじゃないのかも、とか……」
「はは、成る程」
僕は思わず笑う。そんなに不安ならお見合いに来なくてもよかったのに。
とはいえ、お見合いをしたからこそ、今の僕たちはあるんだけれど。
「でも……ずっとココさんに憧れていたんだ。話したこともなかったのに……不思議だよね。でも、あの人と一緒になれば幸せになれるって、漠然と思ってた」
そう言って腕の中ではにかむレイシを見ながら、もう朝のような不安な表情はそこにないことに気づく。
「――僕は、お見合いで少し話したくらいから、きっと君のこと好きになれると思ってた」
「……?」
「でもレイシは、もっと昔から僕のこと、好きでいてくれたんだね」
だったら尚更、答えは簡単だった。もっと早く、ちゃんと話をしていれば。
身体を起こし、軽いキスをする。
小さな声が漏れたのが可愛くて、もう一度、裸のお腹に触った。