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title by spiritus
「ヴァン、」
「来るな!」
「!」
ヴァンは顔も見ずに一喝する。
いや、見なくても分かっている。彼がどんな顔をしているのか、なんて。
「お前は……他人だ」
「そんな……」
「俺のことなんか忘れて、普通に暮らしてくれ。……パンネロ、レイシのこと頼んだぞ」
「あ、ちょっと! ヴァン!」
パンネロの背中を押し、足早に飛空艇に戻っていくヴァン。
無理やり扉を閉め、内側にずるずるともたれかかると、バルフレアはいつものように笑った。
「ヴァンお前、あんまり調子に乗るんじゃねーぞ」
「乗ってねーよ」
「お前に、あいつを幸せにできっかよ。」
バルフレアの言葉が痛いほど耳に突き刺さる。
うるせー、とヴァンは口の中で言い返した。
「ねえ、元気出して、レイシ。ヴァンだって悪気があったわけじゃないのよ」
「……分かってるよ」
再び置いていかれた僕は、慰めようとするパンネロを後ろに従えながら、ミゲロさんの店へ向かう。
違う。僕とパンネロは、決定的に違う。
だからパンネロがどういう慰めを口にしようと、僕はそれを受け容れはしない。
「今回は、本当に久々に戻ってきたけれど……きっとまたすぐに寄ってくれるよ」
私が帰りたいって言ったんだけどね、とパンネロは付け加えた。
「ヴァンもレイシに会いたいって言ってたし」
「嘘だ」
条件反射で答える。
さっきのヴァンを見る限り、決してそんな風には見えなかった。
僕が、ヴァンがいると聞いて走ってきたのに。
僕の顔を見るなり、僕が名前を呼ぶなり、あれだ。
「来るな」なんて、相当嫌っているに決まっている。
「ほんとだよ。――でもヴァンは、嫌なこともたくさん見たみたいね」
パンネロの言葉が沈み、僕は思わず立ち止まって振り返った。
いつも太陽みたいに笑うパンネロの笑顔はそこにはなかった。
「あのね、私にも分からないの。ヴァンが何を見たのか、何を知ったのか。私は断片的に知っているだけで誰も教えてくれないの。――でもきっとそれは」
僕は拳を握った。
「僕たちを巻き込みたくないってことか?」
パンネロは何も答えなかったが、その瞳がそうだと言っていた。
「……下らない」
吐き捨てるように僕は答える。
「下らないよ、今更。僕たちが今までどこに生きていたのか、ヴァンはもう、忘れたのか」
街の子供たちは今日も命を削って腹を満たす。
先の戦争に負けた僕たちには、満たされた明日など用意されていない。
ダウンタウンに生きている僕たちはもうそれを知っている。
希望などなかったのに、今更。
「――下らない」
どうせ元々、綺麗ではなかっただけのことだ。
「ヴァン、」
「来るな!」
「!」
ヴァンは顔も見ずに一喝する。
いや、見なくても分かっている。彼がどんな顔をしているのか、なんて。
「お前は……他人だ」
「そんな……」
「俺のことなんか忘れて、普通に暮らしてくれ。……パンネロ、レイシのこと頼んだぞ」
「あ、ちょっと! ヴァン!」
パンネロの背中を押し、足早に飛空艇に戻っていくヴァン。
無理やり扉を閉め、内側にずるずるともたれかかると、バルフレアはいつものように笑った。
「ヴァンお前、あんまり調子に乗るんじゃねーぞ」
「乗ってねーよ」
「お前に、あいつを幸せにできっかよ。」
バルフレアの言葉が痛いほど耳に突き刺さる。
うるせー、とヴァンは口の中で言い返した。
「ねえ、元気出して、レイシ。ヴァンだって悪気があったわけじゃないのよ」
「……分かってるよ」
再び置いていかれた僕は、慰めようとするパンネロを後ろに従えながら、ミゲロさんの店へ向かう。
違う。僕とパンネロは、決定的に違う。
だからパンネロがどういう慰めを口にしようと、僕はそれを受け容れはしない。
「今回は、本当に久々に戻ってきたけれど……きっとまたすぐに寄ってくれるよ」
私が帰りたいって言ったんだけどね、とパンネロは付け加えた。
「ヴァンもレイシに会いたいって言ってたし」
「嘘だ」
条件反射で答える。
さっきのヴァンを見る限り、決してそんな風には見えなかった。
僕が、ヴァンがいると聞いて走ってきたのに。
僕の顔を見るなり、僕が名前を呼ぶなり、あれだ。
「来るな」なんて、相当嫌っているに決まっている。
「ほんとだよ。――でもヴァンは、嫌なこともたくさん見たみたいね」
パンネロの言葉が沈み、僕は思わず立ち止まって振り返った。
いつも太陽みたいに笑うパンネロの笑顔はそこにはなかった。
「あのね、私にも分からないの。ヴァンが何を見たのか、何を知ったのか。私は断片的に知っているだけで誰も教えてくれないの。――でもきっとそれは」
僕は拳を握った。
「僕たちを巻き込みたくないってことか?」
パンネロは何も答えなかったが、その瞳がそうだと言っていた。
「……下らない」
吐き捨てるように僕は答える。
「下らないよ、今更。僕たちが今までどこに生きていたのか、ヴァンはもう、忘れたのか」
街の子供たちは今日も命を削って腹を満たす。
先の戦争に負けた僕たちには、満たされた明日など用意されていない。
ダウンタウンに生きている僕たちはもうそれを知っている。
希望などなかったのに、今更。
「――下らない」
どうせ元々、綺麗ではなかっただけのことだ。