krk
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
title by spiritus
学年一モテる黄瀬くんに告白された時、僕の中にはまず、2つの思いが駆け巡った。
「……えーとあの、これ、質問ok?」
「え? え、あぁ」
「何で黄瀬くん、僕なの」
高校生にありがちな、体育館裏に呼び出されて告白されるやつ。尤もこの海常高校には体育館がいくつもあって、今回はバスケ部の体育館の裏、と指定されたわけだが。
そうしたらまさかの黄瀬くんがいたもんで、僕は間抜けにも一体どうしたんだと通常より大分柔らかく尋ねた。
すると返ってきた答えは「好きです。付き合ってください」と女子のような言葉だったので面食らって、今に至る。
「え? そりゃあ好きだからに決まってるじゃないっスか」
「いやいやいやいやまあそうだろうね、告白するくらいなんだから。でも僕と黄瀬くんの認識の前提条件からしてかなり違いがあると思うんだけど」
「前提条件?」
「そう議論は全て前提条件を共通認識とするところから始まるから」
勿論これは議論なんかじゃない。黄瀬くんが僕に対して提案をしてきているのだ。
「既知の通り、僕は男なんですが」
「それは勿論分かってる」
「それに学年一イケメンと名高い黄瀬涼太くんには、毎日女の子が群がっているだろう。可愛い女の子だって沢山いた筈だよね。その中でどうして敢えて男である僕を選んだわけ?」
海常高校はスポーツ強豪校だ。シード権をほぼ常に獲得している部活だっていくつもある。その中で僕はあえて文化系の道を進んでいる、つまり目立たない学生というわけだ。
当然僕なんかに女の子は見向きもしない。それはまあどうでもいいのだが(勿論強がりではない)それ故その分の女の子は黄瀬くんに振り向けられていると思われる。
黄瀬くんほどイケメンなら、例え取り巻きの中に好みの子がいなかったとしても、簡単に落とせてしまうだろう。
「澪士が好きだから」
だーっ! こいつ本当に話にならねぇ。僕の話本当に聞いているのだろうか、と頭が痛くなる。
でもこの時点でこうなら、もし僕と黄瀬くんが本当に付き合ったとしては、話が噛み合わないのではないかとさえ思う。大体黄瀬くんは忙しすぎてデートなんか出来ないだろうが。
「だから、そういうことじゃなくて……」
そう言って何とか取り繕い、優しく諭そうとするが、黄瀬くんが手を伸ばしてきたので驚いて口をつぐんだ。
「何て言っていいかわかんないスけど。……澪士のこと、本当に好きなんだ。大事にしたい」
「……っ」
黄瀬くんの伸びてきた手は僕の頬に触れる。僕はもう何も言えなくなる、きっと真っ赤で体温が上がったのが伝わっているだろう。
理屈は分からないが、黄瀬くんの言わんとすることは分かった。恋なんて理屈じゃないとも言うし。
でも流されてしまう前に、僕の中で、もう1つの疑問が頭をもたげてくる。
「……黄瀬くん、その」
もし僕が黄瀬くんと付き合ってしまった時、僕はどうなってしまうのだろうか? 正確には、黄瀬くんを今取り巻いている女の子たちは、僕に対してどう感じるだろうか。
勿論気持ち悪いと言う人もいるだろう。そりゃそうだろう、男同士なのだから。何も言わずに受け入れろという方が今の世の中的には無理な話である。
嫉妬の渦に巻き込まれてしまうのは避けられないさだめのように思える。
「僕も黄瀬くんのこと嫌いじゃないんだ」
「!」
「だから」
それでも尚、そこまで分かっていて理性的になれても尚、僕は道を踏み外してしまうのだろうか。
もし僕が黄瀬くんのことを好きになってしまった時、女の子が相変わらず傍に居る様子を見て、嫉妬してしまうこともあるのではないだろうか。
「よろしくお願いします」
「澪士!」
そう思いながらも、僕は醜い方をあえて選ぶ。
学年一モテる黄瀬くんに告白された時、僕の中にはまず、2つの思いが駆け巡った。
「……えーとあの、これ、質問ok?」
「え? え、あぁ」
「何で黄瀬くん、僕なの」
高校生にありがちな、体育館裏に呼び出されて告白されるやつ。尤もこの海常高校には体育館がいくつもあって、今回はバスケ部の体育館の裏、と指定されたわけだが。
そうしたらまさかの黄瀬くんがいたもんで、僕は間抜けにも一体どうしたんだと通常より大分柔らかく尋ねた。
すると返ってきた答えは「好きです。付き合ってください」と女子のような言葉だったので面食らって、今に至る。
「え? そりゃあ好きだからに決まってるじゃないっスか」
「いやいやいやいやまあそうだろうね、告白するくらいなんだから。でも僕と黄瀬くんの認識の前提条件からしてかなり違いがあると思うんだけど」
「前提条件?」
「そう議論は全て前提条件を共通認識とするところから始まるから」
勿論これは議論なんかじゃない。黄瀬くんが僕に対して提案をしてきているのだ。
「既知の通り、僕は男なんですが」
「それは勿論分かってる」
「それに学年一イケメンと名高い黄瀬涼太くんには、毎日女の子が群がっているだろう。可愛い女の子だって沢山いた筈だよね。その中でどうして敢えて男である僕を選んだわけ?」
海常高校はスポーツ強豪校だ。シード権をほぼ常に獲得している部活だっていくつもある。その中で僕はあえて文化系の道を進んでいる、つまり目立たない学生というわけだ。
当然僕なんかに女の子は見向きもしない。それはまあどうでもいいのだが(勿論強がりではない)それ故その分の女の子は黄瀬くんに振り向けられていると思われる。
黄瀬くんほどイケメンなら、例え取り巻きの中に好みの子がいなかったとしても、簡単に落とせてしまうだろう。
「澪士が好きだから」
だーっ! こいつ本当に話にならねぇ。僕の話本当に聞いているのだろうか、と頭が痛くなる。
でもこの時点でこうなら、もし僕と黄瀬くんが本当に付き合ったとしては、話が噛み合わないのではないかとさえ思う。大体黄瀬くんは忙しすぎてデートなんか出来ないだろうが。
「だから、そういうことじゃなくて……」
そう言って何とか取り繕い、優しく諭そうとするが、黄瀬くんが手を伸ばしてきたので驚いて口をつぐんだ。
「何て言っていいかわかんないスけど。……澪士のこと、本当に好きなんだ。大事にしたい」
「……っ」
黄瀬くんの伸びてきた手は僕の頬に触れる。僕はもう何も言えなくなる、きっと真っ赤で体温が上がったのが伝わっているだろう。
理屈は分からないが、黄瀬くんの言わんとすることは分かった。恋なんて理屈じゃないとも言うし。
でも流されてしまう前に、僕の中で、もう1つの疑問が頭をもたげてくる。
「……黄瀬くん、その」
もし僕が黄瀬くんと付き合ってしまった時、僕はどうなってしまうのだろうか? 正確には、黄瀬くんを今取り巻いている女の子たちは、僕に対してどう感じるだろうか。
勿論気持ち悪いと言う人もいるだろう。そりゃそうだろう、男同士なのだから。何も言わずに受け入れろという方が今の世の中的には無理な話である。
嫉妬の渦に巻き込まれてしまうのは避けられないさだめのように思える。
「僕も黄瀬くんのこと嫌いじゃないんだ」
「!」
「だから」
それでも尚、そこまで分かっていて理性的になれても尚、僕は道を踏み外してしまうのだろうか。
もし僕が黄瀬くんのことを好きになってしまった時、女の子が相変わらず傍に居る様子を見て、嫉妬してしまうこともあるのではないだろうか。
「よろしくお願いします」
「澪士!」
そう思いながらも、僕は醜い方をあえて選ぶ。