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title by spiritus
「よォ、久しぶりだなレイシ」
「久しぶりだねクロコダイル」
ギャンブルの街レインベースの中でも、最大のカジノ、レインディナーズ。
数年ぶりに訪れたのだが、俺の姿を認めて近寄ってきた支配人に名を告げると、少し笑ってある場所へ案内された。
カジノの中の最も奥深く。そこの椅子に彼は座っていた。
「何年ぶりだ?」
「さあ、何年ぶりだったかな」
支配人はいつの間にか居なくなっており、この広い、無機質な部屋にはたった2人しか居ないようだった。
俺は言いながら目を逸らしたが、……何年会っていないかなど、数え忘れる筈もなかった。
でも、答えるにはあまりに気恥ずかしい。
「てめェ今まで何してやがった? 急に消えやがって」
「ああ、それについては、本当にごめん。謝るよ」
「その一言で済ませる気か?」
俺とクロコダイルは旧知の仲だ。クロコダイルがここでレインディナーズの経営者となるのを見届け、そっとアラバスタを去った。
「はあ……俺こそ言いたいことあんだけど?」
頭を掻きながら言う。
「あのさあ、あんだけ暗殺者送り込むって、俺のこと殺す気?」
「何の話だ?」
「しかも何してたとか……あんだけ俺の行く先々に密偵を送り込んどいて随分白々しいよね」
そうなのだ。俺はいくつかの海を巡ったが、どの島に辿り着いたって、安心して眠れる夜は一夜たりともなかった。
当然金で雇われたプロとして依頼主の名を吐く者はいなかったが、アラバスタに近づくにつれ、その猛攻も徐々に消え去っていった。
「クハハ! 退屈しないで済んだろう?」
「……あのさあ……」
呆れて言葉も出ず。
「……随分、趣味悪いよね」
経営者となるのは見届けたが、レインディナーズの完成を見たわけではない。勿論見たことがなくても、遠くからこの建物がそれだというのは自明だったのだが。
俺はこの部屋の壁代わりとなる大きな水槽を眺める。
「フン、どうせそれを分かってて帰ってきたんだろうが」
「その通りだね。クロコダイルの趣味がこんなに悪くなってるとは思わなかったんだけどさ」
その瞬間、外を泳いで通り過ぎる何匹かのバナナワニ。こんなものを一般人が見たら卒倒すると思う。大きければ体長30mにもなるらしいが、それなら彼らはかなり大きい部類に入るだろう。
「どうだ? 可愛いだろう」
「ふうん、クロコダイルがそんなこと言うとはね。じゃあこいつは連れてきて正解だったか」
そう言いながら再び水槽に目を遣ると、先程よりは少し小さなバナナワニが泳いでいった。
「こいつは?」
「分かんの? 違い。さっきそこで見かけて連れてきたんだ。いい土産になるかと思ったんだけど、もうこんなに飼ってるとは思わなかった」
「ほう」
クロコダイルが少し嬉しそうに言うのを見ると、ああなんかこういう表情を見るのは久しぶりだな、と思った。5年ぶりに会うのだから当然なのだが。
「これね、誕生日プレゼント」
「はァ?」
「そろそろ誕生日でしょ? だから帰ってきたんだけど」
そう、あのバナナワニは誕生日プレゼントの代わりだった。だから喜んでもらえるととても嬉しい。
「こんなんで5年分になると思ってンのか?」
「……何で5年て知ってるの?」
え? ……まさか、クロコダイルも数えていた?
俺はあまりに驚いてそれしか尋ねられず。
「当たり前だろ。勝手に出て行きやがって」
「クロコダイル……」
「次出て行きやがったら今度こそ俺が行って殺すからな」
「本当に?」
そうか。次ここを出る時は、クロコダイルと道を共にする時か、彼に殺されたくなった時だ。
どちらもいいな。悪くないだろう。
「じゃあ、その時まで命は大事に取っておくね」
「今までの分、働いてもらうぞ」
「勿論」
邪魔な海軍の目を引き、この5年で大分邪魔を消した筈だ。クロコダイルからの追手及び海軍が同時に迫ってくるのはなかなかスリリングだったし、死を覚悟したことも何度かあった。
でも、それも全ては再びこうして彼と出会うため。
「ただいま、クロコダイル。ハッピーバースデー」
そう言ってクロコダイルの首に腕を回した。
「よォ、久しぶりだなレイシ」
「久しぶりだねクロコダイル」
ギャンブルの街レインベースの中でも、最大のカジノ、レインディナーズ。
数年ぶりに訪れたのだが、俺の姿を認めて近寄ってきた支配人に名を告げると、少し笑ってある場所へ案内された。
カジノの中の最も奥深く。そこの椅子に彼は座っていた。
「何年ぶりだ?」
「さあ、何年ぶりだったかな」
支配人はいつの間にか居なくなっており、この広い、無機質な部屋にはたった2人しか居ないようだった。
俺は言いながら目を逸らしたが、……何年会っていないかなど、数え忘れる筈もなかった。
でも、答えるにはあまりに気恥ずかしい。
「てめェ今まで何してやがった? 急に消えやがって」
「ああ、それについては、本当にごめん。謝るよ」
「その一言で済ませる気か?」
俺とクロコダイルは旧知の仲だ。クロコダイルがここでレインディナーズの経営者となるのを見届け、そっとアラバスタを去った。
「はあ……俺こそ言いたいことあんだけど?」
頭を掻きながら言う。
「あのさあ、あんだけ暗殺者送り込むって、俺のこと殺す気?」
「何の話だ?」
「しかも何してたとか……あんだけ俺の行く先々に密偵を送り込んどいて随分白々しいよね」
そうなのだ。俺はいくつかの海を巡ったが、どの島に辿り着いたって、安心して眠れる夜は一夜たりともなかった。
当然金で雇われたプロとして依頼主の名を吐く者はいなかったが、アラバスタに近づくにつれ、その猛攻も徐々に消え去っていった。
「クハハ! 退屈しないで済んだろう?」
「……あのさあ……」
呆れて言葉も出ず。
「……随分、趣味悪いよね」
経営者となるのは見届けたが、レインディナーズの完成を見たわけではない。勿論見たことがなくても、遠くからこの建物がそれだというのは自明だったのだが。
俺はこの部屋の壁代わりとなる大きな水槽を眺める。
「フン、どうせそれを分かってて帰ってきたんだろうが」
「その通りだね。クロコダイルの趣味がこんなに悪くなってるとは思わなかったんだけどさ」
その瞬間、外を泳いで通り過ぎる何匹かのバナナワニ。こんなものを一般人が見たら卒倒すると思う。大きければ体長30mにもなるらしいが、それなら彼らはかなり大きい部類に入るだろう。
「どうだ? 可愛いだろう」
「ふうん、クロコダイルがそんなこと言うとはね。じゃあこいつは連れてきて正解だったか」
そう言いながら再び水槽に目を遣ると、先程よりは少し小さなバナナワニが泳いでいった。
「こいつは?」
「分かんの? 違い。さっきそこで見かけて連れてきたんだ。いい土産になるかと思ったんだけど、もうこんなに飼ってるとは思わなかった」
「ほう」
クロコダイルが少し嬉しそうに言うのを見ると、ああなんかこういう表情を見るのは久しぶりだな、と思った。5年ぶりに会うのだから当然なのだが。
「これね、誕生日プレゼント」
「はァ?」
「そろそろ誕生日でしょ? だから帰ってきたんだけど」
そう、あのバナナワニは誕生日プレゼントの代わりだった。だから喜んでもらえるととても嬉しい。
「こんなんで5年分になると思ってンのか?」
「……何で5年て知ってるの?」
え? ……まさか、クロコダイルも数えていた?
俺はあまりに驚いてそれしか尋ねられず。
「当たり前だろ。勝手に出て行きやがって」
「クロコダイル……」
「次出て行きやがったら今度こそ俺が行って殺すからな」
「本当に?」
そうか。次ここを出る時は、クロコダイルと道を共にする時か、彼に殺されたくなった時だ。
どちらもいいな。悪くないだろう。
「じゃあ、その時まで命は大事に取っておくね」
「今までの分、働いてもらうぞ」
「勿論」
邪魔な海軍の目を引き、この5年で大分邪魔を消した筈だ。クロコダイルからの追手及び海軍が同時に迫ってくるのはなかなかスリリングだったし、死を覚悟したことも何度かあった。
でも、それも全ては再びこうして彼と出会うため。
「ただいま、クロコダイル。ハッピーバースデー」
そう言ってクロコダイルの首に腕を回した。