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「天気の子」感想レポート 中編(於:シネシティザート)

2019/07/27 03:28
続きです。

☆花火大会
ここは、新海マジックと呼ばれる圧倒的な背景描写で有名な新海誠監督の作品でも、史上最強の画だったと思います。RADの音楽とコーラスがあってより壮大だったというのもありましょうけど、カメラワークといい、影の作り方といい、夕陽の色といい反射といい、これには誰も反論できない美しさですよ。お見事。
花火大会も無事に開催され、何十発という花火が打ち上げられました。そして六本木ヒルズ上空で花火を眺めるほだひなの二人。遠くからのアングルで映る二人のカットは、もうこのまま何も起こんないでくれってどうしても思ってしまいます。
☀️「君、真面目だにぃ~?♪」
☀️☔「だから、ありがと、帆高。」️
一方の私は、神宮球場のスポンサーが「TUSHIMA」だったことに、偶然かもしれなくても合掌しました。(「TSUSHIMA」じゃないんです。私のスペルと同じで、「S」が入ってなかったんです……!(戦慄))

☆一方の須賀&夏美コンビ
「御社が第一志望です!」を連呼する夏美さん。そりゃ入れないだろうけどさ、世の中って都合良くできてないのが何とも理不尽よね。「腰かけ」とか言ってたけど、内心こっちの仕事の方が楽しそうなのがよく分かる。
須賀も仕事があまり芳しくない。思わず煙草を吸おうとしたところを、アメの出現で思いとどまる。間宮夫人への電話をし、不機嫌なまま車に乗り込んで、取材に出かけます。
帆高を巡ってちょっとした議論を繰り広げる二人。でも月給3000円は流石に労基法違反でしょ、いくら住み込みで飯代与えてるからってw(だって映画2回観たら終わりよ……?)

☆ユアネーマー堕としの極み
いや、だってさぁ、正直全く予想してなかったよ!?だって既にテッシーとサヤちん出てるし、前作の主役だよ?もっとこう、なんかぼかして登場させるんじゃないかって思ってたのよ!!?
☀☀️️「手伝おうと思ってさ。」
鑑賞予定回数が2回増えた原因の一つです。

☆初盆
気を取り直して(笑)。この前年に亡くなってしまったらしい立花のじいちゃん。その初盆だからというわけで冨美さんは依頼をしてきたらしい。ってあれ?倍賞千恵子さんって確かハウルの動く城のソフィーだよね?ってことはなに、マルクルとソフィーが共演で、しかも祖母と孫!?(だから落ち着け。笑)
……ゴホン。同時に陽菜の母親も初盆であることが判明し、冨美さんに迎え火をまたいで行きなよと提案される。

☆気象神社
龍神と水魚の絵画、そして神主から告げられる天気の本質。観測史上とか異常気象とか、よく考えれば確かに、100年かそこらでの統計での話ですもんね。41.1℃がなんだ、エルニーニョがなんだ、全部地球の調和に則った現象なのではなかろうか。何か大事なことを我々は見落としているような気がする、そう思う地球科学専攻の大学生です。
そして、「天気の巫女」の、晴れ女の運命とは……。

☆新旧主役の会話
ただただ眼福。瀧と帆高の会話とか、普通に考えれば二次創作でしか見られないですよ本当に。公式でやるあたり、新海監督って実に自分の思いに忠実で素直だなぁと、感動してしまいます。そしてこの日が8月15日、翌週22日に陽菜の誕生日であることを思い出します。
☀️「プレゼント、あげなきゃだね。」
瀧くんの声が優しすぎるんだけど……っ!!!(歓喜)

☆安高刑事コンビ
ここに来て初登場の安井刑事と高井刑事。木村スカウトを追って走り回ります。そして拳銃を持った帆高の写真を持って聞き込み調査。………マジですか、と思った。
そんでもって蕎麦屋。安井刑事が温かいうどんで、高井刑事がざるそばという対比もなかなか面白い。冷徹そうな梶さんの声と、温厚な平泉さんの声がキャラクターを物語っていました。ホント、キャスティングお見事です。笑

☆凪センパイ
恋愛について的確な答えを聞くために凪の元へやって来た帆高。はっきり言わせてもらうが、夏美さんに意見聞いたのは非常に間違いだと思います。笑
小学5年生に諭される高校生って、何だかだいぶ情けない気もしますが、しかし、小説版でも描かれてたように、自分のことをガキと言えるくらいに、凪は大人であり、格好いいんですよ。多分誰よりも、社会の真理を分かってる。そんな凪に、「帆高でいいのかは分かんないけどさ」と言われつつも確実な信頼を得ている帆高。すでに、真っ直ぐで想いが強いところは凪にすっかり認められていたわけです。
☀️「凪センパイって呼んでもいいスか……?」
☀️「だからさ、姉ちゃんにはもっと青春っぽいことしてほしいんだよね。」

☆Miyamizu
…………第一声コンマ3秒で分かった。本当に驚いた時ってマジで喉の奥から変な音出るんだね。
このシーン、3回目、4回目と回数を重ねる毎に感じるのが、この指輪が「プレゼントを贈ることを提案した瀧と、帆高が選ぶのに3時間も付き合った三葉」によって繋いだムスビのバトンであるということ。
すなわちです、この「天気の子」の帆高と陽菜は、ただの偶然ではなく、瀧と三葉という奇跡の二人を通じた、決定的な運命によってムスばれた二人だったんじゃないかと。奇跡かよ。
☀☀️️「頑張ってください!」
もうね、萌音ちゃんのこの声だけで癒やされるんだが。笑
鑑賞予定回数、3回追加。(爆笑)

☆須賀家
須賀さんの娘さんは「萌花」ちゃんと言うらしい。あの父親にこの娘か………ほぼ母親似なんですな。(苦笑)
そして圭介と夏美が叔父と姪の関係であることを告げられる帆高。
☀️「帆高くん、その妄想引くわー。」️「帆高ってヤラシイ。」
……フルボッコです。それが帆高の良いとこなんだけどさ笑
あと夏美さんのこの台詞好きです。笑
☀️「あぁ私も履歴書に書ける特技が欲しいなぁ就活ダルいなぁ良いな女子高生……。」

☆不穏な雨
それまでの雨の描写よりも空が黒かったのに注目してほしいところです。決して、夕方だからというだけじゃないんです、たぶん。指輪を渡そうと決心する前向きのシーンから一変、明かされる陽菜の過去と、透明になる彼女の身体。そして天野家にやってくる高井刑事と佐々木婦警。刻一刻と迫り来る別離の予感。少しずつ重なる不穏が、焦燥感を増していきます。

☆大人になれよ、少年
そこに一種のトドメを差す須賀の一言。小説版を読んで改めて分かるのですが、須賀はこの時、帆高の名前を呼びません。保身を考える点で言えば当然の結論、後に夏美に言うように、他人のガキに構ってる暇などないのが社会としては、大人としては当たり前の答えなのでしょう。だが帆高は、須賀の忠告を受け入れず、陽菜と凪と共に逃げる選択をします。
☀️☔️「俺、帰らないよ……。一緒に逃げよう!」
この時の帆高、スゴく格好良かった。絶対に二人を見捨てないっていう覚悟が見えていた。んでもってこの時、凪の顔が輝いていたのがクライマックスに向けての私の泣きポイントになってくる。

☆大雨特別警報
実際の東京であれだけ降ればそりゃもう大騒ぎになるのは必至でしょう。特別警報が発表され、まるで台風並の大型低気圧が関東を襲います。ここのシーンはまさに圧巻。特に最初の、スカイツリー&東京タワーが映っているカットと上空で雷が飛び散っているカットの、東京の闇と荒れ狂う空の描写は恐ろしいほど動的。「首都危機」の曲も相まって、自然もの凄い力を感じるシーンでした。

☆雪
ホテルを探すも、身分証が必要だったり満室だったりで断られ続ける帆高、陽菜、凪。そんな折、歩いていた先に見えたのは、雨ではなく、なんと、雪。
直前の動的な空があったが故に、ここの静寂が深みを増す気がする。自動販売機の表示がすべて「つめた~い」なのも、理由無しに息を呑んでしまう。
☀️「この空と……陽菜さんが……、繋がってる……?」

☆人々の選択
圭介と夏美の会話。大人としての、あるいは大人になろうとしている立場としての、彼らの選択。正しいのか正しくないのか、それすら分からなくなってしまってる夏美と、大切なものの順番を入れ替えられなくなってしまっている圭介と。それぞれに思惑はあるし選択もあるし正しいのだけれど、その決断に葛藤し苦しむのがこの世中。ここのシーンが想像以上に重苦しくならなかったのは、やはり夏美の台詞が大きかったです。
☀️「ダッサいにゃぁ……って、アメも言ってんじゃん。ほんとダッサ、超昭和。隣に座らないでもらえます加齢臭が移る。」

☆落雷
「公妨」という言葉を、初見では文字変換できなかった私です。それほどまでにリアルです。陽菜のために囮になる帆高。しかし取り押さえられ、捕まりそうになる。そこを陽菜が咄嗟に願った結果、ピンポイントで落雷が発生。
この時、陽菜は愕然としたでしょう。自分の力で人々を恐怖に堕としてしまったことへの戦慄が表情にあった気がします。
帆高が陽菜を救い出したときに拳銃を使ったことと、陽菜が帆高を助けるために雷を落としてしまったことは、実は同義だと思うのです。二人とも、まさかこんなことになるとは思ってない。結果的に誰にも危害を与えずには済んだものの、一歩間違えば人を殺してしまっていた。陽菜は帆高にその件で怒ったことがあるだけに、よけいに怖くて震えていたのかもしれません。

☆家族
警官が落雷火災に気をとられている隙に逃げ、2万8000円のホテルに宿を取ることができた三人。「俺、すっかりお尋ね者になっちゃったな……。」の台詞に「それってカッケーじゃん!」と言ったのは、単なる小学生男子としての憧れか、はたまた帆高たちへの気遣いか。(たぶん、後者。)
「三人で入ろうぜ!」と言う点も含めて、凪は本当にこの二人が大好きなんだと、はっきり感じる場面です。
風呂に入り、退職金を使っていろいろ買って、カップヌードルは2分が美味いっつって、「恋するフォーチュンクッキー」や「恋」を歌って、けいおん!ばりの枕投げをして。
☀☀️️☔☔️「もしも、神様がいるのなら、お願いです。もう大丈夫です。僕たちはなんとかやっていけます。だから、もうこれ以上僕たちに何も足さず、僕たちから何も引かないでください……僕たちを、ずっと、このままでいさせてください……。」
バックで流れる「愛にできることはまだあるかい」のピアノバージョンも相まって、もの凄く苦しくなります。観客としては、この先に何が起こるか、半ば分かってしまっているから。

☆抱擁
「帆高はさ、この雨が止んでほしいって思う……?」の言葉に頷いてしまったのが、帆高にとって、人生で一番後悔してしまう言葉だったのだろう。陽菜の透明になった身体を見て、涙が止まらなくなってしまう帆高。その辛さが痛いほど伝わってくるから、私も涙が止まらなくなる……。
☀️☔☔「……っどこ見てんのよ?」「っどこも見て……!……………っ、……………陽菜さんを……見てる……。」
天野家でのやりとりがあったから尚更、その現実に堪えきれなくなるのがありありと分かる。
☔️☔「いやだ!陽菜さんはいなくならない!ねぇ、約束しようよ……!……ずっと一緒だ……!」
必死に陽菜を引き留めようとする帆高。けれど世界の理に抗えないんだと半ば覚悟を決めている陽菜。別離の予感が、明滅する洋灯と微かに響く雷鳴、そして『大丈夫』の、閑かで優しい、ピアノアレンジによって避けられないものと化しているのがとにかく悲しかった。

☆想起
本編すべてを通して、帆高が家出をした具体的な理由というのは描かれずに終わるのですが、そのきっかけのようなものが描かれている唯一のシーンがここ。小説版を読むと、父親に殴られたということも書かれていますが、彼の追っていた光が、どれほど希望的なものだったか分かるものです。
一方の陽菜も、帆高によって輝けた人生を思い、嬉しかったんだと、帆高によって、自分の存在意義を見つけられたことが、本当に幸せだったのだと。
☔「だから、泣かないで………帆高。」

☆彼岸
ここの曲の担当は武田さんでしょうか。「君の名は。」の「消えた町」と同じように澄んだ空気の不協和音が新海監督の描写にもの凄くマッチする。
水の存在へ、人柱へと化した陽菜。小説版を読むと、このシーン、陽菜の感情からどんどんと、記憶も、悲しさも寂しさも喪われていくのです。自分の形が失われていくことへの恐怖。必死に指輪を探す時の声と、その後に空に響く咽び声が、驚くほど哀しい。

☆消失
目が覚めた帆高の隣には、既に陽菜はおらず、凪は陽菜が空に消えていった夢を見たと告げる。あり得ない、信じたくないその予感の瞬間に部屋に入ってくる高井刑事一行。帆高はなすすべなく、取り押さえられ連行されることとなり、重苦しい扉の音が響く。
未だかつて、あれほどの快晴がもの凄い喪失感を持っていた描写があったでしょうか。2021年8月22日朝、四葉が再登場していたり、木村スカウトマンの家族が映ったりなど衝撃的なカットがいくつもあれど、ここではほとんど呆然としてしまっている私でした。(それでも四葉が出たのには本当に嬉しかったけど苦笑)
☀️「涙が出るね……。」
そして、雲一つない空から降ってくる、一つの指輪。そう、このカット、空に雲が、映ってないんです。
情報の嵐に呑まれつつ、一つ確定した事実。陽菜が、本当に人柱になってしまったということ。帆高の慟哭と、水面に浮かぶ逆さに開いた傘が、一人の犠牲を決定的に物語っています。

☆15歳
陽菜が18歳ではなく15歳だったことを思わぬ形で知る帆高。彼の言葉は、陽菜に対しての文句よりも、刑事に対する反抗よりも、自分に対する悔しさが滲み出ていましたね……。
☔☔「なんだよ………俺がいちばん、年上じゃねぇか………。」
☔☔「陽菜さんと引き換えに、この空は晴れたんだ!!なのにみんな何も知らないで………!こんなのってないよ………。」

☆晴れ女の夢
須賀も、萌花ちゃんも見ていた陽菜の夢。その事に、須賀も認めようとしなかった可能性に気づいてしまう。恐らく、東京中の人間が見ていたであろう晴れ女の夢。帆高が「みんな何も知らないで」と言ったことが、この台詞によって重苦しくのしかかる。

☆逃亡
警察署から逃亡する帆高。きっと取調室を目の当たりにして、ここに入ったが最後出られなくなると確信したのでしょう。逃げるのは良くないことですけど、私としては「よくやった!!」って気分。入り口にいたショートカットはサヤちんなのか、そこはまだ確信持てないのでもう一度観に行きます笑
あと非常に重要なのが、帆高が道端に止まっている自転車を拝借しようとしたこと。チェーンがついていたために窃盗未遂だったものの、ここで帆高は、社会の規範から確実に外れたのだということを暗示させられました。追われている最中でこの行動ですから、もう後戻りはできない。帆高の覚悟が垣間見えた瞬間です。それがあるから、直後の夏美の不敵な笑みがとても頼もしく見えるものです。

☆策士・凪
まず思いました。アンタたちどうやって連絡取り合ったのよ!?佐々木婦警に監視されてるんじゃなかったの?端から見れば子どもだからそんなに警戒もされていないのか?まぁ設定次第でそこはどうにでもなりますけど。笑
そして、新海監督のお遊びが過ぎるギャグシーンでした。「花澤綾音」とか、まんまじゃないですか(笑)。しかも小説版読んだら、その前に来たカナちゃんが、アヤネちゃんの苗字をパクっているというまさかの文章。
ってことはあれか?この二人は元カノが「佐倉綾音」で、今カノが「花澤香菜」………ってもはや本名かよぉぉ!!!爆笑

☆SHINJUKU-Fierce
確実に道交法違反。切羽詰まってるシーンにギャグをぶち込んでくるところ、近年の新海誠はさらに進化を遂げているのを感じています。ここ、監督は書いてて一番楽しかったんじゃないのかな?笑
☀「私、白バイ隊員になろうかしらー!!!!」「もう雇ってくれませんよぉー!!!!!」️

☆須賀の涙
安井刑事から帆高の話を聞く須賀。冷蔵庫に「明日花」のメモがあったり、柱に「萌花」の身長が刻まれていたり。指輪を撫でるなど、それまでの描写と併せてみると、須賀も大切な人を、明日花さんを失ったことをかなり引きずっていることが分かる。そして、安井刑事の「私なんかにゃ、なんだか羨ましい気もしますな」の一言に、気がつけば涙を流していた須賀。常識に支配され、明日花を失ったことに対して何もできなかった自分に対しての涙なのだろうか。右目からも涙が流れ出したのは、自分の意思では止められないことを意味するのだろう。

☆ごめん
なりふり構わず、前だけを見続ける帆高。夏美のカブが進行不可になり、有刺鉄線をよじ登って山手線内から代々木を目指す帆高。
☀️☔「帆高ーっ、走れーーっ!!」
頬を切ろうが、作業員に警告を受けようが、ただ走り続ける。ヘルメットを取るのを忘れるほどに。
その先に見えるのは、立ち上るかなとこ雲。「ごめん」の言葉を重ねる帆高は、その雲の上にいる陽菜だけを想って走り続ける。
世界を捨てても、人生を捨てても、それでも守りたい、会いたいと願って、高田馬場から代々木までの4㎞をも走り続けるその勇気を、力を、帆高は陽菜からもらったのだ。
帆高は「ごめん」と何回も言った。陽菜さんさえいてくれれば良いんだと、君がいたから僕は大切なことに気づいたんだと。
ここでは流れなかったが、RADWIMPSの主題歌にはこうある。「君と分けあった愛だから 君とじゃなきゃ意味がないんだ」帆高の愛は、陽菜に対してしか意味を為さないのだ。だから帆高にとって、陽菜のいない人生は考えられないのだ。
陽菜さんを絶対に取り戻す。彼女にもらった勇気を胸に、帆高はひたすら走りまくるのだ。その想いの強固さに、私は心を打たれまくる。
☀️☔☔「ごめん、ごめん、陽菜さんごめん。晴れ女なんかやらせて。全部ぜんぶ、君一人に背負わせて……!」

☆帆高vs須賀
こんなタイトルにするとチープになってしまう。いや、このシーンに文字で感想を書ける方が間違っていると思う。でも僕はできる限り紡げるようにと思う。
たぶん、須賀と帆高はその容姿は全く違えど、心はとんでもなく似ているんだと思う。だからこそ、規範から外れようと、既に外れてしまっている帆高を、社会の波に引き戻したかったのだ、心の底から。代々木会館に先回りしていたのはその証拠だろう。
しかし帆高はその手を振りほどこうとした。噛み付いて蹴飛ばされた先で、捨てたはずの拳銃が帆高の手に戻るのだ。あの雨の日、人を殺してたかもしれない、恐怖で捨てたその武器を、今度は明確な彼自身の意思で握ったのだ。
そう、今度の発砲も、帆高の明確な意思だ。
☀️☀️☔☔「陽菜さんのところに……行かせてくれよっ!!!!」
今まで味方の立場にいたはずの須賀も、この時には帆高にとっては障害でしかなかった。邪魔されるのが悔しくて、辛くて、帆高は涙を流しながら、乗り込んできた警察にも震えながら銃を構えたのだ。

☆愛にできることはまだあるかい
慌て、説得しようとする須賀と、穏便に事を進めたい安井と、是が非でも確保を狙う高井と、邪魔されることに憤る帆高と。
「撃たせないでくれよ……」とぼやく高井は、根から真面目な警察官なのでしょう。自分の職務を全うするという。
彼らみんなが、全員正しいと言わざるを得ないのです。正しいの基準が違うだけで。
帆高はそれでも、ただ一つのことだけに、世界が何と言おうと、自分の正しさを、貫き通すのです。
☀️☔☔「ほっといてくれよ!なんで邪魔するんだよ!?みんな何も知らないで、知らないふりして!!」

☀☀☀️️️☔☔☔「俺はただ、もう一度あの人に……会いたいんだっ!!!!」

銃を放り投げ、駆け出そうとする帆高を取り抑える高井。そこに、帆高の叫びに目を覚ました須賀が、遂に動くのだ。
「もう一度あの人に」。その言葉が、須賀の本音を呼び覚ましたのだ。高井らを突き飛ばし、殴り掛かったあとの
☀️☔☔「帆高ァ!!!行けェッッ!!!!」
の叫びは、「よく言った……!」とさらに涙です……。
その直後、さらに立ちはだかる安井刑事。さっきまで銃を構えてなかったところ、ここで構えたのは、もうなりふり構ってられないということなのか。
しかしすぐに、もう一人飛びかかってくる。凪です。
彼の叫びは、本当に酷なものでした。
姉と共に、一番慕える存在だった帆高。しかし、その姉を失ったのは紛れもない帆高で。
本編で彼が涙を見せたのは、これが最初で最後。今までのプレイボーイの彼はどこにもなく、家族だからこその、本気の感情を、そのまま帆高にぶつけたのです。
☀️☀☀️☔☔☔「帆高っ、全部お前のせいじゃねえか…!!!姉ちゃんを返せよっ!!!!!」️

その言葉を受け、帆高は屋上への階段をひた走る。もう邪魔するものはない。神に願いながら、ひた走りに、彼女のために勇気を使い、鳥居に駆け込んだのだ。

☆青空よりも
空の世界に入り込んだ帆高。彼の想いに神も負けたのか、遂に空の平原へと、彼岸へと辿り着く。
陽菜が、水の魚に取り囲まれていたところを見ると、もう少しで魚たちの仲間入りをしていたのだろうと思われます。
帆高の方も数匹の魚に囲まれているので、はっきり言ってしまえば生と死の境を彷徨っていたのでしょう。
陽菜も帆高に縋り付くように飛び、手を伸ばして掴む。
雲の中で一度、手が離れてしまうのは、陽菜の中で不安があったからなのかもしれません。自分が戻れば、また多くの人を不幸にしてしまうという怖れから。
しかし、帆高はそれでも、陽菜を願ったのだ。
☀️☀️☔「もういい!!陽菜はもう、晴れ女じゃない!!!」
大きくとどろく雷鳴は、世界が変わる予兆なのでしょう。
☀️☀️☀️☔☔「青空よりも、俺は陽菜がいい!!」
これ以上の愛の表現は、僕は聞いたことがない。
☀️☀️☀️☔☔☔「天気なんて、狂ったままで良いんだ!!!!!」
総てを棄てても、ただ、陽菜だけを願う。冷静に言って惚れないわけがない。陽菜にとってはそれ以上でしょう。だって、今まで晴れ女をやってくることで人々を笑顔に、幸せにできることを教えてくれたのが帆高で。でも人々の笑顔よりも自分を選び、自分を望んでくれたのも帆高なわけです。その帆高の思いを受け、陽菜は帰ることを決断した。結果として、世界が壊れることになろうとも。

☆帰還
ふたたび豪雨が降り始める東京。その空を見上げて、驚きと感傷を表情に浮かべる須賀は、帆高がとんでもないことを、そして誇れるべきことをやってのけたのだと、確信したのでしょう。鳥居には、帆高はしっかり帰ってきていました。チョーカーが二つに割れ、晴れ女としての役割を失った陽菜の手を、しっかりと握り締めて。

ここまで全く述べられませんでしたが、音楽はもう「お見事」を超えて「表現不可」。この私の感情を表現できたらそれこそRAD洋次郎さんしかいないんじゃなかろうか……?(苦笑)

さらに続きます。

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