Prologue
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「オフイズユアヘッド!!」
二人の寮長によって、暴れていた狸はものの数分で捕獲されてしまった。赤髪の男が狸に向けてそう叫ぶと、狸の首にはハート型の赤い南京錠が現れた。
「ふぎゃっ!?何じゃこりゃ!」
「ハートの女王の法律・第23条
祭典の場に猫を持ち込んではならない
猫である君の乱入は重大なルール違反だ。
即刻退場してもらおうか」
「オレ様はネコでもねぇ〜!!
こんな首はすぐに燃やして…あ、あれ?
炎が出ねぇんだゾ!?」
「フン。僕がその首輪を外すまで君は魔法が使えない。ただの猫同然さ。」
「にゃにー!?」
どうやらあの首輪は赤髪の男のユニーク魔法のようだ。相手の魔法を使えなくするとはなかなか強力な魔法だ。
(いい魔法だな…いつか解析してコピーしたい…!!)
「ま、学園からつまみ出される頃には外れてるよ。」
「アズール君、リドル君。ご協力ありがとうございます。
アリシア君の使い魔でもないようだし、この狸は学園外に放り出しておきましょう。鍋にしたりはしません。私、優しいので。」
あの狸のせいで散々な入学式だったが、学園外に放り出されるのはあまりにも可哀想な気がする…
『あの、学園長!本当は私の使い魔なんです、躾をしっかりできてなくてすみません。』
「おい、誰がお前の使い魔…ふごっ!?」
反論しようとする狸の口を手で塞ぐ。
「やっぱり君の使い魔なんじゃないですか!」
『すみません。これからは目を離さないので、一緒に学園に通ってもいいですか?』
「…ふん、仕方ありません。次はありませんからね。」
何とかごまかせたようだ。
「プハッ、お前、俺様を庇ってくれたんだゾ!?もしかしてお前、良い奴だな!!!」
『しーっ!今は静かにしてて』
…少々予定外のトラブルはありましたが、これにて入学式は閉会です。各寮長は新入生を連れて寮へ戻ってください。
ん?そう言えばディアソムニア寮のドラゴニア君の姿が見えませんね。」
「ドラコニアって、もしかしてあのマレウス・ドラコニア!?」
「この学校に通ってるって、マジだったのかよ。」
「…怖ぇぇ。」
マレウス・ドラコニア。その名前だけで生徒達が恐れるほど強大な力を持つ、この世界で5本の指に入ると言われている大魔法士。幼い頃母からもよくその名は聞かされていた。
せっかくこの学園に入ったからには、1度この目で見てみたい、あわよくば魔法も解析してみたいものだ。
「おい、サバナクロー寮の新入生、こっちに来い、じゃれてねぇで黙って目の前にある鏡に飛び込め。
1匹、2匹、3匹…よし、お前で最後だ。」
「お疲れ様っす、レオナさん。この子ウチの寮とはびっくりしたっスね〜絶対ウチはないと思ってたっス。」
新入生が順にサバナクロー寮へ続く鏡へと入っていき、最後となった私が入ろうとした時、金髪で大きな耳のついた男がサバナクロー寮長に話しかけてきた。どうやら、寮長の名はレオナと言うらしい。
「サバナクローは弱肉強食がモットーだ。気性が荒いやつも沢山いる。お前みたいな小娘、すぐ喰われねぇよう気をつけるんだな。」
『…弱肉強食、いいですね、望むところです。
すぐにその寮長の座、奪い取ってやるよ』
小娘小娘と馬鹿にされ、思わず口をついた言葉は、レオナはとって予想外だったようで、一瞬大きく目を見開く。しかし直ぐにバカにするかのようにニヤッと笑った。
「…ハッ、威勢のいい草食動物は嫌いじゃねぇよ。その元気がいつまで続くか見ものだが、なぁ、ラギー?」
「シシシッ、思ったより骨のあるお嬢さんっスねぇ。ウチ向いてるかもしれないっスよ?」
ラギーと呼びかけられた男も、獣人属特有の大きな八重歯を見せ意地悪く笑う。2人を睨みつけた後、サバナクローへと続く鏡へと飛び込んだ。
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